“赤あかちゃん授さずかれないのは同おなじ”「不ふ育いく症しょう」も支援しえん拡充かくじゅうを

妊娠にんしんするものの胎児たいじが育そだたずに流産りゅうざんや早産そうざん、死産しざんを繰り返くりかえす不ふ育いく症しょうは、原因げんいんを明あきらかにして適切てきせつな治療ちりょうを受うければ出産しゅっさんできるケースが増ふえていますが、検査けんさや治療ちりょうの費用ひようが高たかいことや、一般いっぱんによく知しられていないことが課題かだいとなっています。

支援しえん団体だんたいによりますと、不ふ育いく症しょうの女性じょせいが出産しゅっさんまでにかかる費用ひようは、分ぶんべんの費用ひようも含ふくめて、平均へいきんでおよそ120万まん円えんにのぼるということです。

政府せいふは不妊ふにん治療ちりょうへの保険ほけん適用てきようの拡大かくだいを検討けんとうしていて、それまでの間ま、今いまの助成じょせい制度せいどを拡充かくじゅうする方針ほうしんを明あきらかにしています。

この動うごきについて不ふ育いく症しょうの当事者とうじしゃや支援しえん団体だんたいからは、不ふ育いく症しょうの支援しえんも拡充かくじゅうするよう求もとめる声こえがあがっています。

千葉ちば県けんに住すむ37歳さいの女性じょせいは、ことし6月つきまでの1年ねん半はんの間まに4回かい妊娠にんしんしましたが、流産りゅうざんや子宮しきゅう外がい妊娠にんしんで出産しゅっさんできず、医師いしから不ふ育いく症しょうと診断しんだんされました。

これまでに検査けんさや治療ちりょうに50万まん円えん以上いじょうの費用ひようがかかったといいます。

政府せいふが不妊ふにん治療ちりょうへの保険ほけん適用てきようの拡大かくだいを掲かかげたことについて女性じょせいは、「不ふ育いく症しょうの保険ほけん外がいの診療しんりょうも、一緒いっしょに適用てきようされたらいいなと思おもいました。周囲しゅういの理解りかいも深ふかまると思おもうので認知にんちが進すすんでほしいです」と話はなしていました。

また、支援しえん団体だんたい「不ふ育いく症しょうそだってねっと」の工藤くどう智子さとこ代表だいひょうは、「不妊症ふにんしょうも不ふ育いく症しょうも赤あかちゃんを授さずかれないという意味いみでは全まったく同おなじなので、同おなじように不ふ育いく症しょうにも目めを向むけていただきたいです。ぜひ、子こどもを希望きぼうする人ひとが産うめるような社会しゃかい作づくりをしてもらいたいと思おもいます」と話はなしていました。

当事者とうじしゃは精神せいしん的てき負担ふたんも

千葉ちば県けんに住すむ37歳さいの女性じょせいは、ことし6月つきまでの1年ねん半はんの間まに4回かい、妊娠にんしんしましたが、いずれも出産しゅっさんできませんでした。

医師いしから不ふ育いく症しょうだと診断しんだんされました。

ニュースで、菅かん総理そうり大臣だいじんが不妊ふにん治療ちりょうへの保険ほけん適用てきようを拡大かくだいする方針ほうしんを示しめしたことを知しり「不ふ育いく症しょうの保険ほけん外がいの診療しんりょうも、一緒いっしょに適用てきようされたらいいと思おもった。これでたくさんの人ひとが救すくわれるのではないか」と不ふ育いく症しょうの治療ちりょうも対象たいしょうになるのではないかと期待きたいが高たかまったといいます。

これまで女性じょせいが検査けんさや治療ちりょうにかけた費用ひようは、50万まん円えん以上いじょうにのぼります。不ふ育いく症しょうのはっきりとした原因げんいんがわからず、保険ほけんが適用てきようされない検査けんさを2回かい受うけました。1回かい当あたりの金額きんがくは、12万まん2000円えんと8万まん8000円えんといずれも高額こうがくでした。

流産りゅうざんの手術しゅじゅつを繰り返くりかえす悲かなしみと、身体しんたい的てき・精神せいしん的てきな負担ふたんを抱かかえながらSNSの情報じょうほうを頼たよりに専門医せんもんいのいる遠方えんぽうの病院びょういんに通かよいました。女性じょせいはだんだん、追い詰おいつめられていったといいます。

こうした状況じょうきょうについて女性じょせいは、「結局けっきょく、答こたえがないものを探さがし続つづけているので、永遠えいえんにとけないクイズみたいな感かんじで、すごくもどかしさはずっとあります。妊娠にんしんしてもまた流産りゅうざんするのではないかという不安ふあんしかなく、妊娠にんしんして出産しゅっさんしたというニュースばかりが目めについてしまって『みんな普通ふつうにできていることなのに自分じぶんはできないのか』とすごくつらくなってしまいます」と心境しんきょうを話はなしました。

そのうえで、「認知にんちが広ひろまることで周まわりの人ひとの理解りかいも深ふかまると思おもいますし、研究けんきゅうなどがもっと進すすんで不ふ育いく症しょう治療ちりょうに特とく化かした病院びょういんが増ふえていけば、将来しょうらい的てきにすごく助たすけになると思おもいます」と述のべて、もっと多おおくの人ひとに「不ふ育いく症しょう」の存在そんざいを知しってもらうことが、十分じゅうぶんな治療ちりょうや支援しえんを受うけられる環境かんきょう作づくりにつながると、当事者とうじしゃとしての思おもいを語かたりました。

助成じょせい制度せいどに地域ちいき差さ 支援しえん団体だんたい「国くにがサポートを」

不ふ育いく症しょうの当事者とうじしゃで作つくる支援しえん団体だんたい「不ふ育いく症しょうそだってねっと」によりますと、不ふ育いく症しょうの女性じょせいが、出産しゅっさんまでにかる費用ひようは、分ぶんべんの費用ひようも含ふくめて、平均へいきんでおよそ120万まん円えんにのぼるということです。

東京とうきょう都とが不ふ育いく症しょうの検査けんさ費用ひようについて5万まん円えんを上限じょうげんに助成じょせいするなど、検査けんさや治療ちりょうの費用ひようの一部いちぶを助成じょせいする自治体じちたいは増ふえていますが、地域ちいきによって額がくに差さがあるほか、助成じょせい制度せいどがない自治体じちたいも多おおいのが実情じつじょうです。

「不ふ育いく症しょうそだってねっと」の工藤くどう智子さとこ代表だいひょうは、「どこに住すんでいても同おなじようなサポートを受うけられるようになってほしいし、国くににサポートしていただくのがいちばんじゃないかと思おもいます。また、社会しゃかい的てきなサポートがあることで次つぎに進すすんでみようと思おもえるきっかけになると思おもいます」と話はなしていました。

そのうえで、「不妊症ふにんしょうも不ふ育いく症しょうも赤あかちゃんを授さずかれないという意味いみでは全まったく同おなじなので、同おなじように不ふ育いく症しょうにも目めを向むけていただきたいです。ぜひ子こどもを希望きぼうする人ひとが産うめるような社会しゃかい作づくりをしてもらいたいと思おもいます」と話はなしていました。

医師いし「的確てきかくな治療ちりょうで約やく80％が出産しゅっさん」

不ふ育いく症しょうに詳くわしい杉すぎ俊隆としたか医師いしに聞ききました。

杉すぎ医師いしは、「不ふ育いく症しょうの原因げんいんは、例たとえば染色せんしょく体たいの異常いじょうや甲状腺こうじょうせんの病気びょうき、子宮しきゅうの形かたちの異常いじょうなどで、血液けつえきが固かたまりやすくなる血液けつえき凝固ぎょうこ系けいの異常いじょうがいちばん多おおく、年齢ねんれいが高たかいほど、不ふ育いく症しょうのリスクは増ふえる」と話はなしています。

そして「治療ちりょう法ほうがまだ確立かくりつしていないこともありますが、この10年ねんくらいでかなり確立かくりつしてきた。的確てきかくな検査けんさをしてちゃんと診断しんだんをして治療ちりょうすれば80％くらい出産しゅっさんしている」と述のべています。

そのうえで、「2回かいの流産りゅうざんを経験けいけんする女性じょせいは4％で、これは決けっして無視むしできない数字すうじだ。不妊ふにん治療ちりょうをしながら、妊娠にんしんしても流産りゅうざんを繰り返くりかえしてしまう不ふ育いく症しょうの両方りょうほうを抱かかえる患者かんじゃも多おおい」と述のべて、支援しえんの必要ひつよう性せいを強調きょうちょうしています。