来月のアメリカ大統領選挙まで1か月を切る中、共和党のペンス副大統領と、民主党バイデン氏の副大統領候補のハリス上院議員によるテレビ討論会が7日、西部ユタ州の大学で行われました。
このなかで選挙戦の争点の1つである中国への対応について、対中強硬派として知られるペンス副大統領は「バイデン氏は中国と戦ったことがなく、何十年も応援団だった」と主張しました。
そのうえで、「われわれは中国に断固として対応していく。関係を改善したいが、公平な関係を追求し、新型コロナウイルスの感染拡大の責任を問う」と述べ、断固立ち向かう姿勢を強調しました。
これに対してハリス氏は、「トランプ政権の中国政策でアメリカ国民の生命や雇用、アメリカの地位が失われた。中国との貿易戦争に敗れ、製造業を失い、農家は破産した」と批判し、激しい論争になりました。
一方、討論の最後には、司会者が中学生の質問だとして「ニュースを見ていると候補者どうしがけなしあっています。リーダーどうしがうまくやっていけないのに国民ができるでしょうか」と問いかける場面もありました。
この質問にペンス副大統領は「討論が終わればアメリカ人として団結できる」と答え、ハリス氏も「未来は明るいと信じています。あなたの行いや、投票がこの国の未来を決めるのです」と答えました。
メディアの評価は
今回の討論会についてABCテレビは「トランプ大統領とバイデン氏の侮辱だらけの混乱と比べて丁寧な討論だった」と報じていて、アメリカのメディアは先週の大統領候補者による討論会に比べて、落ち着いた討論が進行されたと報じています。
いずれの候補も大きな失敗も成功もなかったとする見方が多く、勝敗については評価が分かれています。
CNNは討論会を視聴した609人の有権者を対象に電話で聞き取った世論調査結果を公表し、「有権者の59%がハリス上院議員が優勢だったと回答し、ペンス副大統領が優勢だったと答えた有権者は38%だった」と伝えています。
また、ニューヨーク・タイムズも「ペンス副大統領がトランプ政権の新型コロナウイルス対策についての質問に答えていなかった」としてハリス上院議員が優勢だったとしています。
先週の大統領候補の討論会で司会を務めたFOXニュースのクリス・ウォレス氏は「多くの人は、今夜の討論会でハリス上院議員が、万一大統領になっても大丈夫かどうかを見ていたと思うが、彼女の知識や事実の扱い方から不適任だとは判断されなかったと思うので、バイデン陣営はリードを保つことができただろう」と述べて、今回の討論会が大きく風向きを変えることにはならなかったという見方を示しました。
一方、有力紙のワシントン・ポストはペンス副大統領が落ち着いて挑んでいたとして「トランプ大統領本人を含むほかの多くの人よりもうまく大統領を擁護した」と評価しています。