日本新聞: 東京五輪・パラ「都市ボランティア」約3500人辞退

東京とうきょうオリンピック・パラリンピックの競技きょうぎ会場かいじょうや選手せんしゅ村むらなどで活動かつどうする「大会たいかいボランティア」の辞退じたい者しゃがおよそ1万まん人にんとなる中なか、交通こうつうや観光かんこうの案内あんないをする「都市としボランティア」でも辞退じたいが相次あいつぎ、少すくなくともおよそ3500人にんに上のぼっていることがNHKの取材しゅざいでわかりました。

東京とうきょう大会たいかいのボランティアをめぐっては、主おもに競技きょうぎ会場かいじょうや選手せんしゅ村むらで活動かつどうする「大会たいかいボランティア」、およそ8万まん人にんのうちおよそ1万まん人にんが、6月つき1日にちまでに辞退じたいしたことが明あきらかになっています。

こうした中なか、4万まん人にん以上いじょうが活動かつどうする予定よていの交通こうつうや観光かんこうの案内あんないをする「都市としボランティア」について、採用さいようする全国ぜんこく11の自治体じちたいにNHKが取材しゅざいしたところ、回答かいとうがあった9自治体じちたいで、合あわせておよそ3500人にんが辞退じたいしていたことがわかりました。

最もっとも多おおかったのは千葉ちば県けんで5月末げつまつ時点じてんで1083人にんが辞退じたい、次ついで宮城みやぎ県けんでおよそ800人にん、福島ふくしま県けんで630人にん余あまりなどとなっています。

東京とうきょう都とと埼玉さいたま県けんは確認かくにん中ちゅうとしているため、辞退じたい者しゃの数かずはさらに増ふえるとみられます。

各かく自治体じちたいによりますと辞退じたいの理由りゆうは、大会たいかいが1年ねん延期えんきされ、転勤てんきんや進学しんがくなど生活せいかつ環境かんきょうに変化へんかが生しょうじたことや、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいへの不安ふあんが多おおくを占しめているということです。

また、海外かいがいから観客かんきゃくが来こなくなり、参加さんかする意義いぎを見みいだすのが難むずかしくなったという理由りゆうもあったほか、一部いちぶの自治体じちたいでは開催かいさいをめぐり賛否さんぴが別わかれる中なか、世論せろんを気きにして辞退じたいした人ひともいたということです。

各かく自治体じちたいでは、辞退じたいによる運営うんえいへの影響えいきょうはないとしつつ、大会たいかい本番ほんばんに向むけた実地じっち研修けんしゅうなどを進すすめる中なかで、感染かんせん防止ぼうし対策たいさくを説明せつめいするなどして、ボランティアの不安ふあんの払ふっしょくに取り組とりくむことにしています。

感染かんせんへの懸念けねん参加さんか辞退じたい相次あいつぐ

東京とうきょうオリンピック・パラリンピックのボランティアの中なかには、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんへの懸念けねんから、参加さんかを辞退じたいする人ひとが相次あいついでいます。

東京とうきょう文京ぶんきょう区くにある筑波つくば大学だいがく附属ふぞく視覚しかく特別とくべつ支援しえん学校がっこうでは、教員きょういん6人にんがボランティアとして参加さんかする予定よていでしたが、活動かつどうを通をつうじて感染かんせんすれば家族かぞくや職場しょくばに迷惑めいわくがかかるという理由りゆうから、すでに3人にんの教員きょういんが参加さんかを辞退じたいしています。

このうち、全盲ぜんもうの視覚しかく障害しょうがい者しゃで教員きょういんの村田むらた愛あいさん（51）は、3年ねん前まえから実際じっさいにスポーツイベントのボランティアに参加さんかするなどして準備じゅんびを進すすめてきました。

参加さんかを希望きぼうした理由りゆうについて村田むらたさんは、「視覚しかく障害しょうがい者しゃがボランティアとして参加さんかすることがあまりないのでぜひ挑戦ちょうせんしたいと考かんがえました。生徒せいとにもチャレンジしてもらいたいですし、日頃ひごろはボランティアされる側がわなので、自分じぶんたちもできることはやりたいという気持きもちでした」と語かたりました。

しかし、感染かんせん拡大かくだいが続つづく一方いっぽうで自身じしんのワクチン接種せっしゅの目途もくとが立たたず、高齢こうれいの家族かぞくと同居どうきょする中なかで家族かぞくからボランティア活動かつどうに参加さんかして欲ほしくないと言いわれ、先月せんげつ下旬げじゅんに辞退じたいを決意けついしました。

村田むらたさんは、「残念ざんねんですが家いえに持ち帰もちかえって何なにかあったら大変たいへんなので仕方しかたがないです。観客かんきゃくが入はいるのか入はいらないのか、どのくらい人ひとと接触せっしょくがあるのかわからなかったのも不安ふあんでした。いまこの状況じょうきょうで開催かいさいしてみんなが『安全あんぜん安心あんしん』と思おもうかは疑問ぎもんなので、応援おうえんはしたいですが不安ふあんを拭ぬぐい去されない状況じょうきょうです」と話はなしています。

開催かいさいめぐり賛否さんぴ分わかれ複雑ふくざつな思おもい

一方いっぽう、東京とうきょう大会たいかいのボランティアへの参加さんかを決きめたものの、開催かいさいをめぐり賛否さんぴが分わかれる中なかで複雑ふくざつな思おもいを抱かかえている人ひともいます。

大会たいかいボランティアとして参加さんかする千葉ちば県けんの会社かいしゃ員いん、海うみ東あずま靖雄やすおさん（55）は、6年ねんほど前まえに、スポーツイベントのボランティアに参加さんかして以来いらい、年としに60回かいから70回かい、ボランティア活動かつどうをしてきました。

背景はいけいの異ことなる人ひとたちとの交流こうりゅうや多おおくの知識ちしきや経験けいけんを得えられることが魅力みりょくだといい、東京とうきょうオリンピック・パラリンピックでも活動かつどうしたいとその歴史れきしや活動かつどう内容ないようを勉強べんきょうして準備じゅんびを進すすめてきました。

しかし、感染かんせん拡大かくだいが続つづく中なか、50代だいの海うみ東ひがしさんは、現在げんざいは開催かいさい期間きかんまでにワクチン接種せっしゅの対象たいしょうとなっておらず、活動かつどうを通をつうじて感染かんせんしないか不安ふあんを感かんじています。

また、5月つき下旬げじゅんには、ボランティアのユニフォームを受け取うけとり大会たいかいへの実感じっかんがわいた一方いっぽうで、開催かいさいへの賛否さんぴが分わかれる中なか、会社かいしゃの人ひとたちの受け止うけとめや社会しゃかいのまなざしが気きになるといいます。

海うみ東ひがしさんは、「コロナの影響えいきょうでボランティア活動かつどうの次つぎの日ひに、会社かいしゃに行いくことについて『大丈夫だいじょうぶかな』と思おもう同僚どうりょうもいるだろうと思おもいます。活動かつどうの際さいもボランティアのユニフォームを見みるだけで、『ああいう人ひとがいるから感染かんせんが収おさまらないんだ』と思おもわれないかとか、以前いぜんはそう考かんがえることもなかったですが、ボランティアへの攻撃こうげき的てきなことばがあるのではないかと不安ふあんがあります」と心情しんじょうを明あかしました。

そのうえで、「感染かんせん者しゃ数すうや医療いりょう状況じょうきょうが改善かいぜんし、余裕よゆうのある状態じょうたいで開催かいさいを迎むかえられることが望のぞましい。感染かんせん予防よぼうのため参加さんかする選手せんしゅも我慢がまんしながらになるが、それでもやりたいという思おもいに多おおくの人ひとが納得なっとくして、『それなら一緒いっしょに支ささえていこう』という形かたちで開催かいさいができればと思おもいます」と話はなしています。

神奈川かながわ藤沢ふじさわで研修けんしゅう会かい

東京とうきょうオリンピックの開幕かいまくまで50日にちを切きる中なか、セーリングの競技きょうぎが行おこなわれる神奈川かながわ県けん藤沢ふじさわ市しでは交通こうつうや観光かんこうの案内あんないをする「都市としボランティア」の研修けんしゅう会かいが開ひらかれました。

競技きょうぎ会場かいじょうがある神奈川かながわ県けん藤沢ふじさわ市しでは、都市としボランティアのうちおよそ90人にんが辞退じたいしていますが800人にん余あまりは参加さんかする予定よていで、大会たいかいを控ひかえ研修けんしゅうが進すすめられています。

6日にちの研修けんしゅう会かいには20人にん余あまりが参加さんかし、市しの担当たんとう者しゃから活動かつどう中ちゅうの感染かんせん防止ぼうし策さくの徹底てっていや、前後ぜんご14日間にちかんは体温たいおんの記録きろくをつけることなど注意ちゅうい事項じこうの説明せつめいを受うけたあと、市内しない各地かくちで行おこなう具体ぐたい的てきな活動かつどう内容ないようを確認かくにんし、ユニフォームを受け取うけとっていました。

東京とうきょう大会たいかいのボランティアは、延期えんきや感染かんせん拡大かくだいなどの影響えいきょうで競技きょうぎ会場かいじょうなどで活動かつどうする大会たいかいボランティアがおよそ1万まん人にん辞退じたいしたほか、都市としボランティアも少すくなくともおよそ3500人にんが辞退じたいしています。

研修けんしゅうに参加さんかした50代だいの女性じょせいは「開催かいさいまでにワクチン接種せっしゅができる状況じょうきょうではないので不安ふあんはありますが、一生いっしょうの記念きねんになりますし地元じもとの役やくに立たてたらうれしいです」と話はなしていました。

藤沢ふじさわ市し東京とうきょうオリンピック・パラリンピック開催かいさい準備じゅんび室しつの北川きたがわ麻あさ由ゆかりさんは、「コロナ禍かではありますが粛々しゅくしゅくと準備じゅんびを進すすめたい。ボランティアの人ひとたちが少すこしでも不安ふあんを拭ぬぐえるよう努つとめつつ、どんな状況じょうきょうにも対応たいおうできるよう情報じょうほう収集しゅうしゅうしていきたい」と話はなしていました。