どうなる米べい中ちゅう関係かんけい アメリカ大統領だいとうりょう選挙せんきょまであと3日にち

トランプ大統領だいとうりょうの対たい中ちゅう政策せいさく

トランプ大統領だいとうりょうは連日れんじつの選挙せんきょ集会しゅうかいで、「新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいは中国ちゅうごくのせいだ」と繰り返くりかえし主張しゅちょうし、バイデン氏しは中国ちゅうごくに弱腰よわごしだと攻撃こうげきしています。

トランプ大統領だいとうりょうはこれまで、中国ちゅうごくから輸入ゆにゅうする工業こうぎょう製品せいひんなどの関税かんぜいを引き上ひきあげ、中国ちゅうごくもこれに報復ほうふく関税かんぜいで応おうじ、激はげしく対立たいりつしてきました。

また、南シナ海みなみしなかいでアメリカ軍ぐんの艦艇かんていによる航行こうこうの自由じゆう作戦さくせんを繰り返くりかえし行おこない、ことし9月つきには、中国ちゅうごくが南シナ海みなみしなかいのほぼ全域ぜんいきの権益けんえきを主張しゅちょうするのは完全かんぜんに違法いほうだとする立場たちばを初はじめて示しめすなど、安全あんぜん保障ほしょう面めんでも中国ちゅうごくへの強硬きょうこう姿勢しせいを一段いちだんと強つよめています。

さらに、新疆ウイグルしんきょうういぐる自治じち区くの人権じんけん問題もんだいを強つよく批判ひはんし、政府せいふ幹部かんぶに制裁せいさいを科かしたほか、中国ちゅうごくが統制とうせいを強つよめた香港ほんこんでは、優遇ゆうぐう措置そちの撤廃てっぱいに踏み切ふみきり、台湾たいわんに新型しんがたのF16戦闘せんとう機きの売却ばいきゃくを決きめるなど、圧力あつりょくを強つよめてきました。

ことし7月つきにはポンペイオ国務こくむ長官ちょうかんが中国ちゅうごく政策せいさくについて演説えんぜつし、歴代れきだい政権せいけんによる「関与かんよ政策せいさく」は中国ちゅうごくの民主みんしゅ化かにつながらず、事実じじつ上じょう、失敗しっぱいしたとして、圧力あつりょくによって方針ほうしん転換てんかんを迫せまる姿勢しせいを鮮明せんめいにしています。

バイデン氏しの対たい中ちゅう政策せいさく

これに対にたいし、バイデン氏しは中国ちゅうごくに対にたいしては、圧力あつりょくをかけるだけでは不十分ふじゅうぶんで、気候きこう変動へんどうや核かくの不ふ拡散かくさん、新型しんがたコロナウイルス対策たいさくなどでは協力きょうりょくする必要ひつようもあるとして、中国ちゅうごくとの交渉こうしょうの必要ひつよう性せいを訴うったえています。

ウイルス対策たいさくを巡めぐってはオバマ前ぜん政権せいけんが中国ちゅうごくに派遣はけんした感染かんせん症しょう対策たいさくの専門せんもん家かをトランプ大統領だいとうりょうが削減さくげんしたと指摘してきし、トランプ大統領だいとうりょうの対応たいおうにこそ問題もんだいがあったと批判ひはんしています。

一方いっぽう、通商つうしょう問題もんだいを巡めぐってバイデン氏しは、トランプ大統領だいとうりょうがとった関税かんぜい引き上ひきあげによる中国ちゅうごくとの報復ほうふく合戦かっせんを批判ひはんしつつも、中国ちゅうごくに対抗たいこうするため、同盟どうめい国こくと安全あんぜんな5Gのネットワークを構築こうちくしていくことや、知的ちてき財産ざいさんを盗ぬすもうとする中国ちゅうごくの行為こういには強つよい態度たいどで臨のぞむ考かんがえを示しめしています。

また、中国ちゅうごくの人権じんけん問題もんだいに関にかんしては民主党みんしゅとうはもともと強硬きょうこうな態度たいどで、バイデン氏しは新疆ウイグルしんきょうういぐる自治じち区くの人権じんけん問題もんだいや香港ほんこんに対にたいする統制とうせい強化きょうかを強つよく批判ひはんしています。

さらに南シナ海みなみしなかいを巡めぐっても航行こうこうの自由じゆうを守まもるとして、同盟どうめい国こくや周辺しゅうへん国こくとの関係かんけい強化きょうかを主張しゅちょうするなど、中国ちゅうごくに対にたいし強つよい姿勢しせいをアピールしています。

背景はいけいにある警戒けいかい心しんと国民こくみん感情かんじょう

背景はいけいには、中国ちゅうごくが国際こくさい社会しゃかいで影響えいきょう力りょくを増まし、軍事ぐんじ的てきにも経済けいざい的てきにも、アメリカの優位ゆうい性せいを突つき崩くずしつつあることへの警戒けいかい心しんがあります。

さらに、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいが続つづく中なか、アメリカ国民こくみんの中国ちゅうごくに対にたいする感情かんじょうが悪化あっかしていることも影響えいきょうしているとみられます。

アメリカで新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんが拡大かくだいしたことし6月つきから7月つきにかけてピュー・リサーチセンターが行おこなった世論せろん調査ちょうさでは中国ちゅうごくについて73％が「好このましくない」と答こたえ、この15年ねんで最悪さいあくになりました。

このため、トランプ大統領だいとうりょうとバイデン氏しともに中国ちゅうごくに弱腰よわごしととられる態度たいどはとりづらく、どちらが勝かっても、アメリカの対たい中ちゅう強硬きょうこう姿勢しせいは変かわらないという見方みかたが大勢たいせいです。

また、中国ちゅうごくもこうしたアメリカへの反発はんぱつを強つよめていることから、米べい中ちゅうの緊張きんちょう関係かんけいは選挙せんきょ後ごも続つづくものと見みられます。

中国ちゅうごく政府せいふ けん制けんせいを強つよめる

トランプ大統領だいとうりょうとバイデン氏しが、選挙せんきょ戦せんを通をつうじてともに中国ちゅうごくに厳きびしい姿勢しせいを示しめす中なか、中国ちゅうごく政府せいふはアメリカへのけん制けんせいを強つよめています。

中国ちゅうごく国営こくえいの新華社しんかしゃ通信つうしんはアメリカ大統領だいとうりょう選挙せんきょの投票とうひょう日びまで1週間しゅうかんあまりとなった今月こんげつ26日にち、7回かいシリーズの連載れんさいを始はじめました。

タイトルは「アメリカが世界せかいの安全あんぜんを脅おびやかす7つの大罪だいざい」。

記事きじでは、アメリカの対外たいがい政策せいさくについて、イラク戦争せんそうや「アラブの春はる」などを例れいに挙あげ、「イデオロギーで敵対てきたいする国くにの政権せいけんを転覆てんぷくさせようと、軍事ぐんじ介入かいにゅうや経済けいざい制裁せいさい、選挙せんきょ操作そうさなどを行おこなってきた」として、アメリカは内政ないせい干渉かんしょうや政権せいけん転覆てんぷくの「専門せんもん業者ぎょうしゃ」だと非難ひなん。

選挙せんきょ戦せんの最終さいしゅう盤ばんに合あわせてアメリカへをけん制けんせいするねらいがあるものとみられます。

こうした中なか、中国ちゅうごくが特とくに神経しんけいをとがらせているのがアメリカの台湾たいわんへの対応たいおうです。

トランプ政権せいけんはことし8月つき以降いこう、政府せいふ高官こうかんを相次あいついで台湾たいわんに派遣はけん。

今月こんげつには、戦闘せんとう機きから発射はっしゃする地上ちじょう攻撃こうげき型がたのミサイルなど、台湾たいわんへの武器ぶきの売却ばいきゃくを相次あいついで決定けっていしました。

これに対にたいし、中国ちゅうごくは激はげしく反発はんぱつし、武器ぶき売却ばいきゃくに関かかわるアメリカ企業きぎょうや関係かんけいする個人こじんに制裁せいさいを実施じっしすると明あきらかにしました。

また、中国ちゅうごくは、アメリカによる中国ちゅうごくメディアへの対応たいおうにも強つよく反発はんぱつしています。

トランプ政権せいけんはことし2月つき、アメリカで活動かつどうする一部いちぶの中国ちゅうごくメディアについて、「中国ちゅうごく政府せいふの支配しはい下かにある」などとして、記者きしゃの個人こじん情報じょうほうなどの報告ほうこくを義務ぎむづけました。

これに対にたいして中国ちゅうごく側がわがアメリカメディアの記者きしゃ証しょうを無効むこうにすると、今度こんどはアメリカ側がわが中国人ちゅうごくじん記者きしゃの数かずを制限せいげんしました。

今月こんげつに入はいっても、アメリカがさらに別べつの中国ちゅうごくメディア6社しゃに記者きしゃの個人こじん情報じょうほうなどの報告ほうこくを義務ぎむづけたのに対にたいし、中国ちゅうごく外務省がいむしょうも、アメリカメディア6社しゃに同様どうようの報告ほうこくを求もとめる措置そちを発表はっぴょう。

大統領だいとうりょう選挙せんきょを目前もくぜんに控ひかえる中なか、米べい中ちゅうの報復ほうふく合戦かっせんとも言いえる応酬おうしゅうが続つづいています。

ネット上じょうではどちらを支持しじ？

中国ちゅうごく政府せいふは、アメリカ大統領だいとうりょう選挙せんきょについて、「アメリカの内政ないせい問題もんだいだ」として論評ろんぴょうは避さけています。

ただ、ハイテク分野ぶんやをめぐる覇権はけん争あらそいや台湾たいわん、香港ほんこんの問題もんだいなどをめぐって対立たいりつを深ふかめる中なか、アメリカとどう対たいじするかは、中国ちゅうごくの将来しょうらいを左右さゆうしかねない課題かだいなだけに、極きわめて高たかい関心かんしんを持もって注視ちゅうししているとみられます。

中国ちゅうごくの国営こくえいメディアでは、大統領だいとうりょう選挙せんきょの情勢じょうせいに関にかんする報道ほうどうはあまりみられませんが、インターネット上じょうでは、盛さかんに議論ぎろんされていて、トランプ大統領だいとうりょうの再選さいせんを望のぞむ書き込かきこみが目立めだちます。

中国ちゅうごく外交がいこうに詳くわしい、中国ちゅうごく人民じんみん大学だいがくの金きん燦栄さかえ教授きょうじゅは、「ネットに書き込かきこむ人ひとの多おおくは、トランプ氏しが再選さいせんすればアメリカの損害そんがいがさらに大おおきくなり、結果けっかとして中国ちゅうごくが有利ゆうりになると考かんがえている」と話はなしています。

アメリカで新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんが拡大かくだいしていることなどを念頭ねんとうに、トランプ氏しが再選さいせんされればアメリカの混迷こんめいが深ふかまり、結果けっかとして中国ちゅうごくにとって有利ゆうりな状況じょうきょうが生うまれると考かんがえる人ひとが多おおいという見方みかたを示しめしました。

一方いっぽうで、金きむ教授きょうじゅ自身じしんは、現在げんざい、中国ちゅうごくとアメリカには対話たいわがなくなっているとしたうえで、「バイデン氏しが当選とうせんすれば、対話たいわが再開さいかいされる可能かのう性せいがある」などと指摘してきし、バイデン氏しの当選とうせんが中国ちゅうごくにとっては望のぞましいという見方みかたを示しめしました。

また、米べい中ちゅう関係かんけいに詳くわしい、中国ちゅうごく人民じんみん大学だいがくの時とき殷いん弘ひろ教授きょうじゅは、トランプ氏しが再選さいせんすれば、中国ちゅうごくへの強硬きょうこう路線ろせんは変かわらないうえ、軍事ぐんじ衝突しょうとつのリスクもさらに増ますと指摘してきし、「トランプ氏しの再選さいせんが米べい中ちゅう関係かんけいにとって有利ゆうりなことは1つもない」と指摘してきしています。

そのうえで、時とき教授きょうじゅは、バイデン氏しが当選とうせんすれば、貿易ぼうえき問題もんだいやグローバルな課題かだいで対話たいわが再開さいかいされるなどとして、トランプ政権せいけんの時ときよりは関係かんけいが改善かいぜんする可能かのう性せいがあると指摘してきしています。

一方いっぽうで、バイデン政権せいけんになれば、ウイグルやチベットの人権じんけん問題もんだいや、香港ほんこん問題もんだいなどで、中国ちゅうごくへの強硬きょうこうな態度たいどが続つづく上うえ、各国かっこくと協調きょうちょうして、中国ちゅうごく包囲ほうい網もうを主導しゅどうする可能かのう性せいがあるなどと指摘してきし、「バイデン氏しにもそれほどの幻想げんそうを抱だいていない」と話はなしていて、どちらが次つぎの大統領だいとうりょうになってもアメリカが中国ちゅうごくに対にたいして厳きびしい姿勢しせいで臨のぞみ続つづけることに変かわりはないという見方みかたを示しめしました。