常任理事会後に会見を行ったリーディー会長は、ロシアが再び不正を行ったことについて、「われわれはロシアに対し、資格停止処分を解除する機会を与えたにもかかわらず、再びこのような不正が明らかになり残念だ」と述べました。
そのうえで今回の処分について、「いかなる不正も行っていないことが証明できたクリーンな選手を守るとともにドーピング違反という不正を繰り返し隠蔽してきた犯罪者たちを罰し、容認しないというわれわれのメッセージだ」と述べ、常任理事会の判断に理解を求めました。
そのうえで今回の処分に関して、ロシア側からCAS=スポーツ仲裁裁判所に不服の訴えが出されれば、CASによる最終的な判断は来年の3月から4月になるという見通しを示しました。
さらに、去年のピョンチャンオリンピックでロシアは国としての参加が認められない代わりにOAR=「ロシアからのオリンピック選手」という国名の入った選手団として参加しました。
今回の処分では、より処分の重みを示すため個人資格で出場する選手は、「中立選手」という名のもとに大会に出場するのがふさわしいという考えを示しました。
WADA審査委の調査結果は
WADA=世界アンチドーピング機構は、ロシアへの処分の根拠としたコンプライアンス審査委員会の調査でデータが改ざんされたり消去されたりしていた選手は少なくとも145人に上ることを明らかにしました。
WADAのコンプライアンス審査委員会は、ロシア側から提供されたモスクワの検査所に保管されていた選手のデータを解析しました。
その結果、データの削除や置き換えのほか、改ざんを隠すためにデータファイルの日付を変えたり、WADAの調査を妨げるため細工を施したりしていたことがわかったということです。
データが改ざんされたり、消去されたりしていた選手は、少なくとも145人に上り、このうちおよそ3分の1の選手は今も現役だということです。
こうした選手たちは東京大会には出場できないとしています。
WADAは、調査報告のなかで主要な国際大会に個人資格で参加できるロシア出身の選手やスタッフについて、一連の組織的なドーピングの不正に関与していないこと、提出された検体のデータが陽性でないことや改ざんされていないこと、出場する大会の前に適切なドーピング検査を受けていること、さらに今後、科される厳しい条件をクリアすることという条件を挙げています。
IOC「決定を支持」
WADA=世界アンチドーピング機構の常任理事会が、ロシアに対して出した処分について、IOC=国際オリンピック委員会は「オリンピックムーブメントの代表者たちは、今回、WADAの常任理事会が全会一致で決定した処分を支持する」というコメントを出しました。
IPC「データ改ざんした責任者は罰せられるべき」
またIPC=国際パラリンピック委員会は「モスクワの検査所のデータの改ざんは、公平でクリーンなスポーツの原則を最も損なうものだ。このように国際的なスポーツムーブメントへの敬意を欠く行為に居場所はない。データの改ざんを行った責任者は罰せられるべきだ」とするコメントを発表しました。