その後の調べで2人の事件前後の動きが分かってきました。
事件のおよそ6時間前、2人はJR東青梅駅で路線バスに乗り、現場までおよそ1キロほどのバス停で降りたということです。
そして事件の後、一度近くの山中で身を隠し、しばらくして逃走したということですが、その後の調べで2人はこのあと、新宿・歌舞伎町の漫画喫茶などを転々としていたことが捜査関係者への取材でわかりました。
また、歌舞伎町では飲食店に客を連れてくるキャッチをしていたとみられるということです。
警視庁は大勢が行き交う繁華街に紛れ込み、滞在先を変えながら逃走を続けていたとみて調べるとともに、被害者の資産情報などを流した人物についても捜査しています。
「億単位の金」実際は紙でかさ上げ
殺害された小川和男さん(67)は、周囲に億単位の金を持っていると話し、札束が詰まったジュラルミンケースを見せていたということです。
中学校の同級生だという60代の女性は、「4年ほど前の同窓会に小川さんが顔を出した際、お金がびっしり詰まったジュラルミンケースを持ってきていて驚きました」と話していました。
逮捕された2人はこうした情報を聞きつけ、小川さんの自宅に大金があると考えて事件を起こしたとみられています。
ところが、事件のあと警視庁が現場で検証を進めたところ、住宅に隣接する建物の2階からジュラルミンケースが3つ見つかりました。
このうち1つには銀行の帯封がついたままの札束が入っていました。
一見すると億単位の金が詰まっているようにみえましたが、警視庁が調べたところ、実際は紙でかさ上げされ表面だけの現金10万円ほどが敷き詰められた状態だったということです。
小川さんは自宅に隣接するように建物の増築を繰り返していて、複雑な構造になっていました。
このため、警視庁は逮捕された2人がジュラルミンケースに入ったこの金を盗もうと侵入したものの見つけることができず、事件を起こし逃走したとみて調べています。
情報を流した人物 別にいるか
今後の捜査として警視庁は、小川さんの資産情報などを流した人物がいるとみて捜査を進めています。
逮捕されたハン・イルイン容疑者(31)と野村俊希容疑者(25)は以前、京都市内の同じ建設会社で勤務していた際に知り合っていたことが分かっています。
ただ、いつごろ事件を計画するようになったのか、また、面識のなかった小川さんをなぜねらったのか詳しいことは分かっていません。
小川さんは事件当日、襲われる前に物音に気付いて通報した際、「中年で小太りの男が泥棒に入ったようだ」と伝えていました。
今回逮捕された2人とは特徴が違うことなどから、警視庁は事件にはもう1人が関わり、その人物が小川さんの資産情報などを流したとみて捜査を進めています。