宮城県大郷町は、去年10月の台風19号の大雨で吉田川の堤防が決壊し、およそ200世帯が浸水しました。
台風から3か月となる12日、町の文化会館で成人式が行われ、晴れ着やスーツ姿のおよそ50人の新成人が集まりました。
式では新成人を代表して佐藤海斗さんと大友里紗子さんが決意のことばを述べました。
2人は「台風19号の豪雨で被災された皆さんに、お見舞い申し上げます」と述べた後、「成人式を迎えられたのは家族、先生方、地域の方々など多くの支えがあったおかげです。支えて下さった方に恥ないように精いっぱい精進します」と語りました。
その後、記念撮影などを行い、同級生との久しぶりの再会を喜んでいました。
決意のことばを述べた佐藤さんは「台風で自宅が被災した同級生もいましたが、多くの仲間が集まることができてよかった。専門学校ではりやきゅうを学んでいるので、国家試験に合格できるよう頑張りたいです」と話していました。
自分の夢より家族の生活再建を優先
成人式に参加した宮崎繁勝さん(20)は、台風19号で祖父母など7人で住んでいた自宅が被害を受けました。
自宅は、床上から1メートル以上浸水し、畳が浮き上がってたんすなどの家具も倒れました。
今は町内の仮設住宅で暮らしていて、父親が中心となって新たな住まいを探しているそうです。宮崎さんはアニメーターになる夢をかなえるために、コンビニでアルバイトして貯金していましたが、台風で被災したあとは、自分の夢よりも家族の生活再建を優先したいと考えるようになったそうです。
宮崎さんは成人式に出席したあと「昔の恩師からは『自分の夢に向かって頑張ってください』といわれましたが、夢よりも家族の生活再建が優先なので覚悟を決めて動き出さないといけないと思いました。これから家族とどういう住まいにするか決めて新しい家の準備を手伝えればと思います」と話していました。