“水道すいどう 全国ぜんこく約やく９きゅう割わりで値上ねあげ必要ひつよう”と推計すいけい 背景はいけいに老朽ろうきゅう化かと人口じんこう減げん

地球ちきゅう約やく４よん周しゅう分ぶんの水道すいどう管かんが更新こうしん必要ひつよう

厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと、全国ぜんこくの水道すいどう管かんのうち法律ほうりつで定さだめられた40年ねんの耐用たいよう年数ねんすうを超こえたものは平成へいせい29年度ねんど末まつの時点じてんで、全体ぜんたいの総そう延長えんちょう71万まんキロのうち16.3％にあたる総そう延長えんちょう11万まんキロ余あまりあるということです。

老朽ろうきゅう化かした水道すいどう管かんは年々ねんねん増加ぞうかしているため、今後こんご20年間ねんかんで更新こうしんが必要ひつような水道すいどう管かんはおよそ地球ちきゅう４よん周しゅう分ぶんにあたる総そう延長えんちょう15万まん3700キロに達たっするということです。

水道すいどう管かんの整備せいびが急速きゅうそくに進すすんだ高度こうど経済けいざい成長せいちょう期きから40年ねん以上いじょうが経たった現在げんざい、各地かくちの水道すいどう管かんは一気いっきに更新こうしんの時期じきを迎むかえ、自治体じちたいなど水道すいどう事業じぎょう者しゃによる作業さぎょうが追おいつかなくなっています。

自治体じちたいからは厳きびしい財政ざいせい状況じょうきょうの中なかで必要ひつような予算よさんの確保かくほが難むずかしいとか交換こうかんや修繕しゅうぜんの必要ひつよう性せいを調しらべる人材じんざいが不足ふそくしているなどといった声こえが上あがっています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは「維持いじ管理かんりの費用ひようは水道すいどう料金りょうきんでまかなうのが原則げんそく」としていますが、財政ざいせい状況じょうきょうの厳きびしい水道すいどう事業じぎょう者しゃに限かぎり交付こうふ金きんを出だして支援しえんにあたっています。

急速きゅうそくに水道すいどう管かんの老朽ろうきゅう化かが進すすむ中なか、いかに効率こうりつよく点検てんけんや更新こうしんを進すすめていくかが喫緊きっきんの課題かだいとなっています。

人口じんこう減少げんしょうも課題かだい 経営けいえい悪化あっかで値上ねあげも…

水道すいどう管かんの老朽ろうきゅう化かに加くわえて人口じんこう減少げんしょうなどが進すすんで水道すいどう事業じぎょうの経営けいえい環境かんきょうが悪化あっかすると将来しょうらい的てきには全国ぜんこく各地かくちで水道すいどう料金りょうきんが値上ねあげされる可能かのう性せいがあります。

国内こくないの大手おおて監査かんさ法人ほうじんなどがおととしまとめた推計すいけいによりますと、人口じんこう減少げんしょうが進すすむなかで現在げんざいの水道すいどう事業じぎょうを維持いじしていく場合ばあい、2040年度ねんどまでには、全国ぜんこくの自治体じちたいなど水道すいどう事業じぎょう者しゃのおよそ90％が水道すいどう料金りょうきんの値上ねあげが必要ひつようになるとしています。

値上ねあげ率りつは全国ぜんこく平均へいきんで36％で、小しょう規模きぼの事業じぎょう者しゃほど料金りょうきんの値上ねあげ率りつが高たかくなる傾向けいこうがあり、中なかには料金りょうきんがおよそ５ご倍ばいになる自治体じちたいもあると指摘してきしています。

調査ちょうさを行おこなった水道すいどう事業じぎょうの経営けいえいに詳くわしいＥい-Ｙわい新しん日本にっぽん有限ゆうげん責任せきにん監査かんさ法人ほうじんの福田ふくだ健一郎けんいちろうシニアマネージャーは「水道すいどう事業じぎょうは将来しょうらいの施設しせつの状況じょうきょうや料金りょうきんの見通みとおしについて、見みえる化かが進すすんでいない。見みえる化かを出発しゅっぱつ点てんにして、今後こんごの水道すいどうの施設しせつや料金りょうきんをどういう水準すいじゅんにして維持いじしていくべきか、今後こんごの水道すいどう事業じぎょうのあり方ありかたを今いまこそ議論ぎろんしていくべきだ」と話はなしていました。

コストどう減へらすか 川崎かわさき市しでは…

予算よさんや人材じんざいが限かぎられる厳きびしい環境かんきょうの中なか、水道すいどう事業じぎょうをいかにして進すすめていくのか。川崎かわさき市しはコスト削減さくげんの取り組とりくみを始はじめています。

川崎かわさき市しにある水道すいどう管かんの総そう延長えんちょうは2500キロ余あまりで、このうち、法律ほうりつで定さだめられた耐用たいよう年数ねんすうの40年ねんを超こえた水道すいどう管かんは昨年度さくねんど末まつには25.8％となっています。

今後こんごも更新こうしんが必要ひつような水道すいどう管かんが増ふえると予想よそうされるほか、人口じんこうが10年ねん後ごをピークに減少げんしょうに転てんじ、需要じゅようとともに収入しゅうにゅうも減へっていくと見込みこまれ、水道すいどう事業じぎょうをめぐる経営けいえい環境かんきょうは厳きびしさを増ますとみています。

このため、川崎かわさき市しでは、財政ざいせい収支しゅうしが健全けんぜんな今いまのうちに、維持いじ管理かんりのコストを減へらすための対策たいさくに乗り出のりだしていて、給水きゅうすい能力のうりょくが需要じゅようを大おおきく上回うわまわっていた市しが管理かんりする浄水じょうすい場じょうを３さんか所かしょから１いちか所かしょに集約しゅうやくしました。

さらに、去年きょねんからは、破損はそんする確率かくりつが高たかい水道すいどう管かんをＡえいＩあい＝人工じんこう知能ちのうを使つかって予測よそくして効率こうりつ的てきに補修ほしゅうや更新こうしんを行おこなうシステムの効果こうかを民間みんかん企業きぎょうとともに検証けんしょうし、導入どうにゅうするかどうかを検討けんとうしています。

川崎かわさき市し上下じょうげ水道すいどう局きょく経営けいえい企画きかく課かの舘たて信行のぶゆき課長かちょうは「財政ざいせいが悪化あっかした後のちでは水道すいどう料金りょうきんの値上ねあげは避さけられず、家計かけいの負担ふたんが増ましてしまうので、取とりうる対応たいおう策さくはできるだけ早はやく取り組とりくんできた。今後こんごも、費用ひようの軽減けいげんにつながることは積極せっきょく的てきに取り組とりくんでいきたい」と話はなしています。