経団連と
連合の
トップによる
会談が
行われ、ことしの
春闘が
事実上スタートしました。
賃金を
引き上げる重要性について
認識は
一致しましたが、
連合が
格差是正に
向けた
賃上げに
こだわる姿勢を
示したの
に対し、
経団連は
一律の
賃上げには
消極的で
賃上げの
具体的な
方法をめぐって
立場の
違いが
浮き彫りになりました。
会談で、
連合の
神津会長は「
賃上げのうねりが
社会全体のものになっていないというのが
実感だ。
底上げ、
底支え、
格差是正をさらに
掘り下げ、
賃上げを
目指したい」と
述べました。
経団連の中西会長は「日本の賃金水準は先進国の中でも決して高くない。賃上げの勢いを維持することは重要だ」と述べ、賃上げの重要性については認識が一致しました。
ただ、賃上げの具体的な方法をめぐっては連合が、格差の是正に向けて「ベースアップ」に相当する分として、2%程度の賃上げを要求する方針を説明したのに対し、経団連は個々の企業の実情に応じて対応するとして、立場の違いが浮き彫りになりました。
また、経団連が打ち出している新卒一括採用や年功賃金などの日本型雇用システムの見直しについて、連合側は、格差の拡大といった問題の解決にはつながらないとして否定的な見解を示しました。
ことしの春闘は賃上げの水準やその方法、年功型賃金など日本型雇用の在り方に加えて、同じ内容の仕事に対して同じ水準の賃金を支払う「同一労働同一賃金」の制度がことし4月から大企業で導入されることを踏まえ、働き方全般も議論の焦点となる見通しで、来月中旬から労使間の交渉が本格化します。
経団連会長「ベア一律何%と言えない時代」
経団連の中西会長は連合の神津会長との会談のあと、記者団の取材に対し、「賃上げの勢いをキープして取り組んでいくということが大前提だが、賃上げの原資をどう分配していくかということになると、経団連の立場ではベースアップを一律何%で、全体の水準がいくらで、とはもう言えない時代になった」と述べ、基本給を引き上げるベアについては、一律に引き上げを促すことは難しいとの認識を示しました。
また、経団連が打ち出した新卒一括採用や年功型賃金など日本型雇用システムの見直しに関して、中西会長は「連合側との間で日本型雇用に関して意見の対立はないと考えているが、雇用の流動性が高まった時にセーフティーネットがないと困る、という議論はあり、その点について異論があるわけではない」と述べました。
連合会長「雇用セーフティーネットが重要」
会談のあと神津会長は「重点の置き方について異なる点はあるが、広い意味での問題意識は共有できたと思う」と述べ、賃上げの必要性については共有できたという認識を示しました。
そのうえで、基本給を引き上げる「ベースアップ」に相当する分として2%程度の賃上げを求めていることについて「連合が賃上げに力を込めるのは、これまでの20年で日本的雇用のよい部分を失ってしまい、日本がしぼんできたからだ。非正規など不安定な雇用の人たちの賃金水準が下がり、格差が広がった。この20年を取り戻し、本当の意味で反転させるためにも、雇用のセーフティーネットをしっかり張ることが重要だ」と話しました。
また、連合の神津会長は会談前のあいさつしで、経営側が求める新卒一括採用や終身雇用といった日本型の雇用システムの見直しを念頭に「先端的な問題意識だが、取り上げられ方次第ではこの20年間置き去りにされた問題の解決にならないと懸念している。将来あるべきグランドデザインについて労使で認識を深めることが極めて重要だ」と述べました。
そのうえで、ことし4月から大企業で導入される同一労働同一賃金など働き方改革関連法を踏まえ、「高齢者雇用や就職氷河期問題を始めとした不安定な雇用への対応など、課題は山積している。ことしの春闘は従来から掲げる格差是正をさらに掘り下げ、分配構造の転換につながる賃上げを目指したい」と話しました。