オーストラリアのメルボルンで開かれていた全豪オープンの車いすの部は、大会最終日の2日、男女のシングルスの決勝が行われました。
このうち、男子の決勝では世界ランキング1位の国枝選手が、世界7位でリオデジャネイロパラリンピック金メダリストのイギリスのゴードン・リード選手と対戦しました。
国枝選手は、第1セットと第2セットともに相手のサーブに苦しみ、いずれも序盤でリードを許す展開になったものの粘り強く戦い、要所でバックハンドの強打を決めました。
国枝選手は第1セットを6ー4、第2セットも6-4のセットカウント2対0のストレート勝ちで2年ぶり10回目の優勝を果たしました。
国枝選手の四大大会での優勝は、おととしの全仏オープン以来で、四大大会の通算優勝回数を「23」に伸ばしました。
一方、女子の決勝では、世界2位の上地選手が、世界3位でオランダのアニーク・ファンコート選手と対戦しました。
上地選手は去年から課題として取り組んでいるベースライン付近からの強打と、サーブが好調で、第1セットを6-2、第2セットも6-2で奪い、セットカウント2対0のストレートで勝ちました。
上地選手はこの大会、3年ぶり2回目の優勝で、女子ダブルスとの2冠を果たしました。
また、四大大会ではおととしの全仏オープン以来、2年ぶり7回目のタイトルです。
パラリンピックイヤー最初の四大大会は、東京パラリンピックの代表に内定している日本の男女のエースがともに優勝して、さい先のよいスタートを切りました。
国枝「変化恐れず挑戦し優勝」
国枝慎吾選手は「四大大会の決勝は2大会連続で負けていたので、僕自身、今月36歳になる年齢のこともあるので、ラストチャンスになるかもという思いで臨んだ。無我夢中で1ポイントにかけていた。たくさんの改造をこの1年間にやってきて、今がベストな状態だと思うし、変化を恐れずいろいろなことにチャレンジしたことがこの優勝につながったと思う」と話しました。
東京パラリンピックの年に好スタートを切ったことについては、「ライバルとの差は、わずか。急にみんな成長するのでいつ勢力が逆転するのかわからない。こちらも気を引き締めて練習を重ねたい」と浮かれる様子は全くありませんでした。
上地「この大会で優勝できてうれしい」
上地結衣選手は「暑い中で戦う環境面などで難しい大会だと思っているので、この大会で優勝できてうれしい。積極的にダウンザラインをねらうなど判断の早さと思い切りのよさが大きかった」と話しました。
その一方で、「優勝できてうれしい気持ちが大きいが、最後の1つ前の自分のサービスゲームで終わらせたかったな、と優勝した瞬間に率直に思った」と苦笑いを浮かべながら反省を忘れませんでした。