新型しんがた肺炎はいえん この先さきどうなる？現状げんじょうと見通みとおし

ＷＨＯだぶりゅ-えいちお-＝世界せかい保健ほけん機関きかんは、「国際こくさい的てきに懸念けねんされる公衆こうしゅう衛生えいせい上じょうの緊急きんきゅう事態じたい」を宣言せんげんしました。日本にっぽんでもヒトからヒトへの感染かんせんが確認かくにんされ、この先さき、新型しんがたコロナウイルスはどうなっていくのでしょうか？

現状げんじょうは？

感染かんせん症しょう対策たいさく、特とくに新あらたな感染かんせん症しょうが発生はっせいした際さいには、現状げんじょうをしっかりと把握はあくしてそれぞれの状況じょうきょうに合あわせた対策たいさくをとることが大切たいせつです。

２月にがつ３さん日にち現在げんざい、日本にっぽんはどのような状況じょうきょうに置おかれているのでしょうか。

ＷＨＯだぶりゅ-えいちお-は、「緊急きんきゅう事態じたい」を宣言せんげんした際さいの記者きしゃ会見かいけんの中なかで、新型しんがたコロナウイルスは中国ちゅうごく本土ほんどでは患者かんじゃが増ふえているものの、海外かいがいでは比較的ひかくてき、患者かんじゃは少すくなくほとんどが中国ちゅうごくの武漢ぶかんの滞在たいざい歴れきがあったり、滞在たいざい歴れきがある人ひとと接触せっしょくしたりした人ひとだと説明せつめいしました。

日本にっぽんでもヒトからヒトへの感染かんせんは確認かくにんされていますが、いずれも武漢ぶかんから来きた旅行りょこう者しゃや、感染かんせん者しゃと接触せっしょくしていたことが分わかっています。どこでどうやって感染かんせんしたかが把握はあくできるうちは、まだ、封じ込ふうじこめが可能かのうな段階だんかいとされています。

現在げんざい、日本にっぽんを含ふくめて中国ちゅうごく本土ほんど以外いがいはこの段階だんかいにあります。

次つぎの段階だんかいは？

日本にっぽん国内こくないで、中国ちゅうごく・武漢ぶかんなどの感染かんせん地域ちいきを訪おとずれたことがなく、また、感染かんせん者しゃと接触せっしょくもしていない人ひとで感染かんせんが確認かくにんされると次つぎの段階だんかいとなります。

この段階だんかいになるとすでに国内こくないで感染かんせんが広ひろがっているおそれがあり、いわゆる水際みずぎわ対策たいさくの有効ゆうこう性せいが低ひくいと考かんがえられるからです。

2009年ねんの新型しんがたインフルエンザの時ときには、海外かいがいから帰国きこくした人ひとの中なかから国内こくないで初はじめての患者かんじゃが確認かくにんされ、１いち週間しゅうかん程度ていどあとにはもう、海外かいがいへの渡航とこう歴れきがない感染かんせん者しゃが確認かくにんされました。

そしてさらにその１いち週間しゅうかん後ごには、全国ぜんこくで確認かくにんされた患者かんじゃの数かずは300人にんを超こえていました。

これを受うけて、国くにの対策たいさくも水際みずぎわで防ふせぐ対策たいさくから、医療いりょう態勢たいせいの整備せいびなど感染かんせん拡大かくだいを防ふせぐ対策たいさくに重点じゅうてんが移うつされました。

今回こんかいの新型しんがたコロナウイルスでも、同様どうようの対応たいおうになる可能かのう性せいがあります。

水際みずぎわ対策たいさくには感染かんせん症しょうをシャットアウトするという目的もくてきだけで無なく、国内こくないで感染かんせんが広ひろがり始はじめるのをできるだけ遅おくらせて、その間そのかんに態勢たいせいを整ととのえる時間じかんをかせぐという意味いみもあります。

今後こんご、感染かんせんの広ひろがりがどうなっていくかは分わかりませんが、中国ちゅうごくの状況じょうきょうを見みていると次つぎの段階だんかいに進すすむまでの時間じかんを有効ゆうこうに使つかうことが重要じゅうようです。

国内こくないで流行りゅうこうが始はじまってしまったら？

では、万が一まんがいち、国内こくないで流行りゅうこうが始はじまってしまったらどうすればいいのでしょうか。

今回こんかいの新型しんがたコロナウイルスは今いまのところインフルエンザと同どう程度ていどの感染かんせん力りょくではないかとみられています。

１いち人にんの患者かんじゃが、何なん人にんに感染かんせんを広ひろげるかをみると、新型しんがたコロナウイルスはＷＨＯだぶりゅ-えいちお-は「1.4人にんから2.5人にん」と見積みつもっていて、中国ちゅうごくの研究けんきゅうグループも「2.2人にん」と発表はっぴょうしています。

インフルエンザは「２に人にんから３さん人にん程度ていど」とされていますから、同どう程度ていどの数字すうじとみられます。

この数字すうじが「１いち人にん」を下回したまわると、感染かんせんの拡大かくだいは終息しゅうそくに向むかうとされています。

１いち人にんの患者かんじゃが他たの人ひとに感染かんせんを広ひろげる人数にんずうは適切てきせつな予防よぼう対策たいさくをとることができれば減へらすことができます。

過去かこのインフルエンザの研究けんきゅうでは手洗てあらいなどの衛生えいせい管理かんりやマスクの着用ちゃくようなど一人ひとりひとりが気きをつけることでおよそ50％感染かんせんが減へると報告ほうこくされています。

あらゆる手段しゅだんでこの数字すうじを「１いち人にん」以下いかにすることが大切たいせつです。一人ひとりひとりの地道じみちな対策たいさくを徹底てっていするのは簡単かんたんではありません。

今いまのうちから習慣しゅうかんづけていくことで効果こうかが期待きたいできます。

流行りゅうこうが広ひろがると…

医療いりょう機関きかんなどの態勢たいせい作づくりも重要じゅうようです。

仮かりに新型しんがたコロナウイルスの流行りゅうこうが広ひろがると、医療いりょう機関きかんには多おおくの患者かんじゃが訪おとずれることが予測よそくされます。2009年ねんの新型しんがたインフルエンザの際さいにも特とくに休日きゅうじつの診療しんりょう所しょなどでは長蛇ちょうだの列れつとなりました。

また、今いまは通常つうじょうのインフルエンザもまだ流行りゅうこうしている最中さいちゅうで、ただでさえ多おおくの医療いりょう機関きかんは１いち年ねんでも最もっとも忙いそがしい時期じきです。医師いしや医療いりょうスタッフの数かずを急きゅうに増ふやすことはできません。

また、検査けんさができる機関きかんやスタッフも限かぎられています。今回こんかいの新型しんがたコロナウイルスへの不安ふあんから、多おおくの人ひとが１いち度どに地域ちいきの医療いりょう機関きかんに殺到さっとうしてしまうと、2009年ねんの新型しんがたインフルエンザの際さいと同おなじように混乱こんらんするおそれがあります。

今回こんかいの新型しんがたコロナウイルスは、発症はっしょうしても症状しょうじょうが軽かるい人ひとが多おおいとされています。

ただ、患者かんじゃの数かずが増ふえると中なかには重症じゅうしょうになる人ひとも出でてくるはずです。医療いりょう機関きかんが混乱こんらんすると重症じゅうしょうの人ひとたちへの対応たいおうやそれ以外いがいの通常つうじょうの診療しんりょうへの影響えいきょうが懸念けねんされます。

今いまは国内こくないでの感染かんせんが広ひろがっている時期じきではありませんが、万が一まんがいち、国内こくないで流行りゅうこうするとこうした事態じたいが起おきることを想定そうていして国くにをはじめ、関係かんけい機関きかんは今いまから対応たいおうを検討けんとうしておくことが重要じゅうようです。