アメリカの
トランプ大統領がウクライナ
疑惑を
巡り「
権力乱用」と「
議会妨害」に
問われた
弾劾裁判で、
議会上院は
5日、いずれについても
無罪の
評決を
下しました。
これにより
裁判は
終結し、
トランプ大統領は
罷免されず
大統領職にとどまることになりました。
トランプ大統領は、みずからの
政治的利益のためにウクライナに
圧力をかけた「
権力乱用」と、
議会による
調査を
妨害した「
議会妨害」で
去年12
月に
弾劾訴追され、
議会上院で
先月から
弾劾裁判が
開かれてきました。
裁判では疑惑の核心を知るとされるボルトン前大統領補佐官を証人に呼ぶかどうかが最大の焦点になりましたが、与党・共和党の反対で動議は否決され、証言は実現しませんでした。
これを受けて5日、陪審員役の上院議員が「権力乱用」と「議会妨害」のそれぞれについて有罪か無罪かの判断を表明する手続きを行いました。
その結果、「権力乱用」については有罪が48、無罪が52、「議会妨害」については有罪が47、無罪が53となり、いずれも大統領を有罪とするのに必要な出席議員の3分の2以上に達せず、裁判長役を務めるロバーツ連邦最高裁判所長官はトランプ大統領に無罪評決を下しました。
これにより裁判は終結し、トランプ大統領は罷免されず大統領職にとどまることになりました。
トランプ大統領としてはみずからの潔白が証明されたとアピールして、秋の大統領選挙での再選に向けた運動を勢いづけたい考えですが、民主党側は政治的な幕引きで疑惑は残ったままだとして、大統領として不適格だと訴えるとみられ、対立は続くことになります。
大統領の選対本部「支持層 より大きく強くなる」
無罪評決を受けて、トランプ大統領の選挙対策本部は「トランプ大統領の無罪が完全に立証され、アメリカ国民が元の生活に戻るときが来た。トランプ大統領に選挙で勝てない民主党は弾劾裁判に訴えざるを得なかったが、この茶番によって大統領の支持層はより大きく、強くなり、アメリカの政治史上最悪の誤算になるだろう」という声明を出しました。
ホワイトハウス「無罪の完全な立証という結果に終わった」
無罪評決を受けてホワイトハウスは、「民主党による大統領弾劾の試みは、きょう、トランプ大統領の無罪の完全な立証という結果に終わった。トランプ大統領は、民主党によるこの恥ずべき行動を過去のものとして置き去りにするとともに、2020年、そしてそれ以降も、アメリカ国民のために仕事をすることを望んでいる」という声明を出しました。
また、トランプ大統領はツイッターで、無罪評決を受けて現地時間の6日正午、日本時間の7日午前2時から、ホワイトハウスで演説することを明らかにしました。
民主党「有罪だという事実は明白」
民主党全国委員会のペレス委員長は声明で「証人も呼ばず公正な裁判ではなかったが、トランプ大統領が有罪だという事実は明白だ」と述べ、無罪評決は政治的に下された結論で、トランプ大統領の不正は明らかだと主張しました。
そのうえで「共和党は国の安全保障を軽視し、外国が選挙に介入することを正当化した。これで将来の大統領が個人の利益のためにほかの国をゆすることを許したことになる」として、トランプ大統領の無罪を支持した共和党を批判しました。
さらに「われわれの民主主義にとって暗い日となった。しかし、いずれ終わりの時は来る。トランプ大統領の時代も例外ではない」として、政権奪還への決意を示しました。