女優の沢尻エリカ被告(33)は去年11月、東京 目黒区の自宅マンションで、合成麻薬のMDMAやLSDを所持していた罪に問われ、初公判で起訴された内容を認めました。
検察が懲役1年6か月を求刑する一方、弁護側は執行猶予の付いた判決を求めていました。
6日の判決で東京地方裁判所の瀧岡俊文裁判官は「違法薬物を入手できる知人とのつきあいを重ね、周囲からそうした男性との関係を絶つよう言われたこともあったのに、違法薬物を隠し持っていた。違法薬物の社会的な害悪を顧みず、発覚しなければいいなどという安直な動機による犯行で刑事責任を軽く見ることはできない」と指摘しました。
そのうえで「罪を認めて反省の態度を示し、保釈中に入院治療を受けたほか、今後も通院を続けるなどして立ち直る姿勢を明らかにした。今回にかぎり社会の中で自力で立ち直る機会を認めるべきだと判断した」として、懲役1年6か月、執行猶予3年を言い渡しました。
沢尻被告は黒いスーツを着て、後ろで髪を結び、一礼をしてから法廷に入り、裁判官にも頭を下げてから席に着きました。
判決が言い渡されている間、背筋を伸ばしてまっすぐと裁判官を見て、時折うなずきながら聞いていました。
最後に、裁判官は被告に対し「事件で社会の信頼を失ったと思いますが、女優として仕事に取り組む上で社会人としての心構えが十分でなかったと思います。今後はまず、ひとりの社会人として、年齢相応に信頼されるよう努力してほしい」などとことばをかけました。
裁判が終わると沢尻被告はカーテンで座席が隠された車で裁判所を後にし、報道陣のカメラの前に姿を現すことはありませんでした。
裁判官が説諭「信頼されるよう努力を」
判決を言い渡した後、裁判官は「2点ほど、言っておきたいことがあります」と述べ、沢尻被告に向けて語りかけました。
裁判官は「1つ目は、今後は1人の社会人として信頼されるよう努めてほしいということです。沢尻被告もこの法廷で『迷惑をかけた』と話しているように、実際に事件で社会の信頼を失ったと思います。その背景には、女優として仕事に取り組む上で、社会人としての心構えが十分でなかったのだと思います。今後はまず、1人の社会人として年齢相応に信頼されるよう努力してほしい」と述べました。
さらに続けて「2つ目は、一般的に薬物事件は再犯の可能性が高いことです。こうした裁判に関わっていると、執行猶予を受けたあと、再び薬物に手を出して裁判を受けることになり、実刑となるケースは決して珍しくありません。沢尻被告の今の反省の気持ちにうそはないと信じていますが、再犯に陥ることがないよう医療機関の治療も受けながら更生に努めてほしい」と話しました。
沢尻被告は裁判官のことばを、ときおりうなずきながら聞いていました。裁判が終わると傍聴席の方を向いて、深く頭を下げてから法廷を後にしました。