北朝鮮に
拉致された
被害者の
家族らが
活動方針を
話し合う会議を
開き、
今月3日に
亡くなった
有本恵子さんの
母親に
全員で
黙とうをささげるとともに、すべての
被害者を
一刻も
早く
帰国させるよう
北朝鮮の
最高指導者の
決断を
求めました。
会議は
東京 港区で
開かれ、
神戸市出身の
拉致被害者 有本恵子さんの
母親の
嘉代子さんが
今月3日に94
歳で
亡くなってから
初めて、
被害者の
家族や
支援組織の
メンバーが
顔を
合わせました。
はじめに、同じ娘の帰国を待つ母親として嘉代子さんと親しくしていた横田めぐみさんの母親の早紀江さんが「嘉代子さんは本当に大きなものを残してくれました。夫が入院している私にとってもひとごとではありません。『何もやり残さなかった』と思えるところまで頑張り抜きたい」と話しました。
続いて嘉代子さんの夫の明弘さんが「涙が出るから嘉代子のことは言いたくない。拉致問題はこれからが大変で、安倍総理大臣の肩にかかっている」と述べ、政府に一刻も早く被害者を取り返すよう強く求めました。
田口八重子さんの兄で家族会代表の飯塚繁雄さんは政府に対し、「機会を待つのではなく、みずから作るためにどうしたらよいかを考えていただき、被害者を取り返してほしい」と求めました。
会議では参加者全員で嘉代子さんに黙とうをささげ、ことしの活動方針として、引き続き北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長にすべての被害者を一刻も早く帰国させる決断を求めていくことや、政府に対しすべての被害者の帰国という条件を下げることなく取り組むよう働きかけていくことを決めました。
拉致家族会見「キム委員長は決断を」
会議のあとの記者会見、横田めぐみさんの弟の拓也さんは、有本嘉代子さんが亡くなったことに触れ、「一度でもいいから恵子さんに会わせてあげたかった。無念です。遺志を引き継いで一生懸命たたかっていきたい」と話しました。
そのうえで「すべての拉致被害者の帰国が約束できない中で形式的で安易な訪朝や交渉はあってはなりません。日本政府には、ハードルを下げることなく北朝鮮と粘り強く交渉してほしい」と話しました。
田口八重子さんの長男の飯塚耕一郎さんは「家族と被害者は健康な状態で会わないと真の解決になりません。嘉代子さんは恵子さんとこの世で会うことはできなくなりました。被害者が帰ってきた時に素直に喜べない状況は二度と見たくありません。キム委員長があすにでも拉致被害者全員を返すよう決断いただきたい」と話しました。