ウクライナ反転はんてん攻勢こうせい 現地げんちの専門せんもん家かは 別府べっぷキャスターが聞きく

A.私わたしたちは、今後こんご、励はげみになるような光景こうけいを見みることができると信しんじています。なぜなら、まだ分わかりませんが、メリトポリ・マリウポリ・トクマクなどの都市としが今後こんご解放かいほうされる目標もくひょうだと考かんがえられます。最高さいこう司令しれい官かんと指導しどう部ぶが、主しゅたる攻撃こうげき地ちとしてどこを選えらぶかは、大おおきく注目ちゅうもくされます。東部とうぶの都市としの１ひとつ、たとえばドネツクになる可能かのう性せいもあります。

A.とても野心やしん的てきな目標もくひょうは、ウクライナの部隊ぶたいがアゾフ海うみ沿岸えんがんに到達とうたつし、ロシア軍ぐんが占領せんりょうしている地域ちいきを２ふたつに分断ぶんだんすることです。この目標もくひょうが達成たっせいできれば、作戦さくせんは大だい成功せいこうだ言いえます。もしクリミア半島くりみあはんとうをロシア本土ほんどから孤立こりつさせることができれば、新あらたな状況じょうきょうが生うまれます。ロシアは国際こくさい社会しゃかいとの外交がいこう的てき、政治せいじ的てきな交渉こうしょうを検討けんとうせざるをえなくなるでしょう。といいますのも、クリミア半島くりみあはんとうの西側にしがわと半島はんとう内ないに封じ込ふうじこめられたロシア軍ぐんの敗北はいぼくを避さけなければならなくなります。この戦争せんそうは新あらたな局面きょくめんを迎むかえるでしょう。

A.はい、そのとおりです。

そのリスクが、反転はんてん攻勢こうせいの作戦さくせん計画けいかくの段階だんかい、そして作戦さくせんの実行じっこう段階だんかいでも十分じゅうぶん検討けんとうされただろうと、私わたしは確信かくしんしています。しかし、重要じゅうような点てんが１ひとつあります。それはもし作戦さくせんが成功せいこうすれば、西側にしがわのロシア軍ぐんへの物資ぶっしの補給ほきゅうが遮断しゃだんされるということです。そこにいるであろう数すう万まん人にんのロシア軍ぐん兵士へいしは、食料しょくりょうや燃料ねんりょう、それに弾薬だんやくの補給ほきゅうが受け取うけとれずに、非常ひじょうに困難こんなんな状況じょうきょうに陥おちいります。その結果けっか、彼かれらはおのずと、死しか降伏ごうぶくかの選択せんたくに直面ちょくめんすることなるのです。

A.最悪さいあくなシナリオということで、私わたしがあえて言いいたいのは、ロシアが再ふたたび非常ひじょうに危険きけんな行動こうどうに出でることです。例たとえば、ご存ごぞんじのように、ロシアはカホウカダムを爆破ばくはして、甚大じんだいな人災じんさいを引き起ひきおこしました。ウクライナには、非常ひじょうに危険きけんな攻撃こうげきの対象たいしょうがたくさんあります。その1つがザポリージャ原子力げんしりょく発電はつでん所しょです。またロシアが戦術せんじゅつ核兵器かくへいきを使用しようする危険きけんもあります。そういったことが最大さいだいの問題もんだいになる可能かのう性せいがあり、私わたしが最もっとも恐おそれていることです。

A.やはり時間じかん的てきな制約せいやくがあるのです。F16戦闘せんとう機きが、ウクライナ兵へいによって最初さいしょに展開てんかいできるようになるまでには4か月かげつから6か月かげつはかかると見みられています。今いまは6月つきですから、4か月かげつ後ごには季節きせつは秋あきになってしまいます。もしF16が出撃しゅつげきするのを待まっていたら、秋あきになってしまいますが、そうなれば、ウクライナでは雨あめの季節きせつになり、そして冬ふゆが来きます。反転はんてん攻勢こうせいの成功せいこうはないか、成功せいこうの可能かのう性せいは低ひくくなってしまいます。

A.あなたがウクライナでかなりの時間じかんを過すごしたことは知しっていますので、ウクライナの秋あきや冬ふゆがどのようなものかはやはりよくご存知ごぞんじですね。ウクライナの地面じめんの条件じょうけんは悪化あっかし、戦車せんしゃが進すすむことができなくなるし、場所ばしょによっては歩あるくことさえもままならなくなります。その上うえで、冬ふゆにはマイナス10度ど、時ときにはマイナス30度どにもなるウクライナでは、兵士へいしを単たんに屋外おくがいに配置はいちさせておくだけでも大変たいへん困難こんなんです。ですから、あなたがおっしゃったように、そうした好このましくない気候きこうになる前まえに、最大限さいだいげんの成果せいかを達成たっせいするよう、最善さいぜんを尽つくさなければならないのです。

野党やとう共和党きょうわとうの主要しゅような候補こうほはすでにかなり性急せいきゅうなようです。たとえばトランプ氏しは「自分じぶんならば戦争せんそうを２に４よん時間じかんで終おわらせられる」と言いっています。

A.まさにそれが、反転はんてん攻勢こうせいを始はじめた理由りゆうの一ひとつです。本来ほんらいならば、守もりに徹てっし、ロシアを消耗しょうもうさせ、武器ぶき支援しえんを待まつのが理想りそうです。しかし、残念ざんねんですが、そんな理想りそう的てきな世界せかいに私わたしたちはいません。何なによりも、戦闘せんとうが続つづいているのは、ロシアの領土りょうどではなく、私わたしたちの領土りょうどなのです。私わたしたちが活発かっぱつに行動こうどうしている理由りゆうの一ひとつは、まさに来年らいねんのアメリカ大統領だいとうりょう選せんに向むけ、ウクライナが成功せいこうし、勝者しょうしゃであることを証明しょうめいする必要ひつようがあります。トランプ氏しをめぐってはさまざまな議論ぎろんはあれども、彼かれも勝かち馬ばに乗のるのが好すきな人ひとであることはみんな知しっていることです。もっとも、幸運こううんなことにアメリカは民主みんしゅ的てきな共和きょうわ国こくで、権力けんりょくはさまざまな政府せいふ機関きかんに分わかれています。確たしかに外交がいこう政策せいさくという点てんではアメリカ大統領だいとうりょうは最もっとも重要じゅうような人物じんぶつですが、議会ぎかいのコントロールもあります。

A.ウクライナの大統領だいとうりょうが、戦争せんそうの当事とうじ国こくが即座そくざにNATOに加盟かめいできないことを理解りかいしていることは、彼かれがこれまでに行いっている声明せいめいを見みても明あきらかです。ただ、私わたしが言いえることは、「ウクライナの安全あんぜん保障ほしょうが、NATOへの加盟かめいにより強化きょうかされる必要ひつようがある」という点てんでは意見いけんは分わかれていますが、「さまざまな手段しゅだんによって強化きょうかされる必要ひつようがある」という点てんでは共通きょうつう認識にんしきは得えられているということです。

A.私わたしたちは、それをポーランドなどのNATO諸国しょこくに対にたいするロシアの脅おどしの新あらたな試こころみと捉とらえています。ただ、核かくの脅おどしは、すでに何なん回かいも繰り返くりかえされ、いわば「脅おどしのインフレ」が起おきています。この結果けっか、脅おどしの効果こうかはますます減少げんしょうしています。西側にしがわの特とくに専門せんもん家かは、ロシアの脅威きょういを相手あいてにしなくなっています。

大だい規模きぼな反転はんてん攻勢こうせいは戦争せんそうの構図こうずそのものを変かえる重大じゅうだいな可能かのう性せいをはらみながら、動うごきだしています。