災害さいがい廃棄はいき物ぶつ処理しょりめど立たたず 解体かいたい予定よていの施設しせつ活用かつようも 宮城みやぎ 丸森まるもり町まち

台風たいふうによる浸水しんすい被害ひがいの影響えいきょうで丸森まるもり町まちでは、災害さいがい廃棄はいき物ぶつが年間ねんかんのごみの排出はいしゅつ量りょうの６ろく倍ばい以上いじょうに当にあたる１いち万まん9000トンを超こえると推計すいけいされていて、住宅じゅうたくなどの解体かいたいに伴ともない、今後こんごも増ふえる見込みこみです。

仮かり置き場おきばに集あつめられた災害さいがい廃棄はいき物ぶつは現在げんざい、角田つのだ市しにある処理しょり施設しせつと仙台せんだい市しで受け入うけいれていますが、処理しょりできるのは１いち日にち当あたり合あわせて30トン余あまりにとどまっています。

また木きくずに限かぎって受け入うけいれを決きめた福島ふくしま県けん相馬そうま市しや、受け入うけいれを表明ひょうめいした山形やまがた県けんについては、廃棄はいき物ぶつの分別ふんべつや処理しょり施設しせつの選定せんていに時間じかんがかかり、受け入うけいれが始はじまっていないということです。

こうした中なか、町まちでは年内ねんないの処理しょりは不可能ふかのうだとして、広域こういきでの処理しょりを引き続ひきつづき国こくや県けんに要請ようせいするとともに、解体かいたいされる予定よていだった角田つのだ市しの別べつの処理しょり施設しせつを活用かつようすることも含ふくめて、対応たいおうを検討けんとうすることにしています。

ただ、角田つのだ市しの施設しせつを再開さいかいさせるには９きゅう億おく円えんの費用ひようがかかるうえ、周辺しゅうへんの自治体じちたいの同意どういも必要ひつようで、災害さいがい廃棄はいき物ぶつの処理しょりが今後こんごどのように進すすめられるのか、具体ぐたい的てきな見通みとおしは立たっていません。

懸念けねんされる火災かさいのリスク

災害さいがい廃棄はいき物ぶつの処理しょりが進すすまない中なか、懸念けねんされるのは火災かさいのリスクです。

有機物ゆうきぶつが混まざって発酵はっこうすると温度おんどが上あがり、火災かさいにつながるということで、専門せんもん家かは「乾燥かんそうした天気てんきも続つづいており、きちんと分別ふんべつしないとリスクはさらに高たかまる」と指摘してきしています。

廃棄はいき物ぶつの問題もんだいに詳くわしい東北とうほく大学だいがく大学院だいがくいんの吉岡よしおか敏明としあき教授きょうじゅによりますと、災害さいがい廃棄はいき物ぶつの中なかには稲いねわらや紙かみ類るいといった可燃かねんごみに加くわえ、食品しょくひんなどの有機物ゆうきぶつが含ふくまれている場合ばあいがあります。

有機物ゆうきぶつはがれきなどが積み重つみかさなっていると発酵はっこうしやすくなり、温度おんどが上あがって火災かさいになるおそれがあるということです。

吉岡よしおか教授きょうじゅは廃棄はいき物ぶつが５ごメートルを超こえる高たかさまで積つみ上あがると、そのリスクが高たかまるとしています。

先月せんげつ20日にちには、福島ふくしま県けん須賀川すかがわ市しにある災害さいがい廃棄はいき物ぶつの集積しゅうせき場じょうで、幅はば３さんメートル、高たかさ５ごメートルほどに積つまれた木きくずなどが焼やける火事かじがありました。

また、廃棄はいき物ぶつに含ふくまれる金属きんぞくも外気がいきに反応はんのうして温度おんどが上あがる場合ばあいがあるということです。

吉岡よしおか教授きょうじゅは「乾燥かんそうした天気てんきも続つづいており、火ひがすぐに回まわりやすい環境かんきょうにある。廃棄はいき物ぶつをきちんと分別ふんべつしないとリスクはさらに高たかまるので、分別ふんべつを速すみやかに行おこない、広域こういきでの処理しょりを進すすめる必要ひつようがある」と指摘してきしています。

地域ちいきの伝統でんとう行事ぎょうじ 開催かいさい危あやぶまれる事態じたいに

災害さいがい廃棄はいき物ぶつの処理しょりが進すすまない中なか、宮城みやぎ県けん丸森まるもり町まちでは地域ちいきの伝統でんとう行事ぎょうじの開催かいさいが危あやぶまれる事態じたいも起おきています。

28人にんの児童じどうが通かよう金山かなやま小学校しょうがっこうは、すぐ脇わきを流ながれる雉子尾川きじおがわの氾濫はんらんで校舎こうしゃが被災ひさいしたため、現在げんざいはおよそ５ごキロ離はなれた別べつの小学校しょうがっこうの教室きょうしつを間借まがりして授業じゅぎょうを行おこなっています。

子こどもたちが元もとの校舎こうしゃに戻もどれるめどは立たっていませんが、それを阻はばんでいるもう１ひとつの要因よういんは、校庭こうていが災害さいがい廃棄はいき物ぶつの仮かり置き場おきばになっていることです。

校庭こうていには台風たいふうから１いちか月かげつがたった今たったいまも、がれきや家電かでん製品せいひん、それに壊こわれた家具かぐなどが山積やまづみになっています。

こうした中なか、金山かなやま小学校しょうがっこうでは、およそ半はん世紀せいきにわたって続つづく伝統でんとう行事ぎょうじの開催かいさいが危あやぶまれる事態じたいとなっています。

徒競走ときょうそうやサッカーなど、すべての競技きょうぎを手作てづくりの竹馬たけうまに乗のって行おこなう「新春しんしゅん竹馬たけうま運動うんどう会かい」と呼よばれるもので、毎年まいとし１月いちがつに開ひらかれています。

冬場ふゆばの運動うんどう不足ふそくの解消かいしょうなどを目的もくてきに始はじまったとされていますが、今いまでは地域ちいきの人ひとたちが集あつまる代表だいひょう的てきな行事ぎょうじです。

しかし、災害さいがい廃棄はいき物ぶつの処理しょりが進すすまない中なか、来年らいねんは開催かいさいできるのかどうか見通みとおしは立たっていません。

一方いっぽう、手作てづくりの竹馬たけうまが川かわの氾濫はんらんですべて流ながされてしまったため、保護ほご者しゃが新あたらしい竹馬たけうまを学校がっこうに寄付きふするなど、準備じゅんびは少すこしずつ行おこなわれており、学校がっこう関係かんけい者しゃは災害さいがい廃棄はいき物ぶつの処理しょりが一いち日にちも早はやく進すすむことを願ねがっています。

金山かなやま小学校しょうがっこうの長谷川はせがわ修一しゅういち校長こうちょうは「校庭こうていがごみの山やまになっていることはとても残念ざんねんです。子こどもたちも地域ちいきの人ひとも楽たのしみにしている歴史れきしある行事ぎょうじなので、何なんとか開催かいさいできるようにしてほしい」と話はなしていました。

こうした状況じょうきょうを受うけて町まちは、金山かなやま小学校しょうがっこうの校庭こうていについては年内ねんないに処理しょりできるよう、作業さぎょうを急いそぎたいとしています。