ことしの
春、
開校予定だったさいたま
市の
公立中学校の
新築工事などを
受注した
業者が
経営破綻し
完成が
遅れた
影響で、
当初予定になかった
市の
支出が
1億7000
万円余りに
上り、
回収の
見通しが
立っていないことが、
市の
関係者への
取材でわかりました。さいたま
市の
建設業者「エム・テック」は
公立の
中学校の
新築工事と
小学校の
増築工事を
ほかの
業者と
共同で
受注しましたが、
去年10
月に
経営破綻し、
完成が
最大で
4か月ほど
遅れました。
この影響で緑区の中学校は新しい校舎での授業のスタートが9月にずれ込み、それまでの間、近隣の学校で生徒を受け入れるための空き教室の緊急工事や送迎バスの運行などに費用がかかったということです。
関係者によりますと、予定になかった市の支出の総額は1億7000万円余りに上るということです。
さいたま市はこの費用についてエム・テック側に請求を続ける方針ですが、破産管財人が支払いは困難としていることや、共同で工事を請け負った業者に対しても契約上、請求できないことから回収の見通しは立っていないということです。
さいたま市は「大変重く受け止めている。今後、契約の在り方の見直しなどを検討したい」としています。
専門家「税金をむだに使わない仕組み作りが必要」
今回のケースについて、公共事業の契約に詳しい上智大学の楠茂樹教授は、「税金で市民サービスのためのインフラ整備をしているので本来、失敗は許されず、市は事前にリスク回避するため何重もの手立てを考えるべきだった。税金をむだに使わないための仕組み作りが必要だ」と述べ、契約の在り方を見直したり、企業の経営状況について事前に見極めたりすることが重要だと指摘しました。