税制ぜいせい改正かいせい大綱たいこう固かたまる 未婚みこんの一いち人にん親おや支援しえんで大詰おおづめの調整ちょうせい

消費しょうひ税率ぜいりつ引き上ひきあげ対策たいさく 自動車じどうしゃと住宅じゅうたくが柱はしら

今回こんかいの税制ぜいせい改正かいせいでは、来年らいねんの消費しょうひ税率ぜいりつ引き上ひきあげの影響えいきょうを大おおきく受うける、自動車じどうしゃと住宅じゅうたくの販売はんばいの落ち込おちこみを防ふせぐ対策たいさくが柱はしらとなります。

（自動車じどうしゃ税ぜいの減税げんぜい）

このうち自動車じどうしゃについては、車くるまを所有しょゆうする人ひとが毎年まいとし、課税かぜいされる「自動車じどうしゃ税ぜい」を排気はいき量りょうに応おうじて4500円えんから1000円えんの範囲はんいで恒久こうきゅう的てきに引き下ひきさげます。消費しょうひ税ぜいの増税ぞうぜいが行おこなわれる来年らいねん10月つき以降いこうに新車しんしゃを購入こうにゅうした人ひとが対象たいしょうです。

具体ぐたい的てきな税額ぜいがくは、

▽排気はいき量りょうが1000ＣＣし-し-以下いかの最もっとも小ちいさなクラスの車くるまで年とし２に万まん9500円えんから２に万まん5000円えんに、

▽排気はいき量りょうが1500ＣＣし-し-の場合ばあい、年とし３さん万まん4500円えんから３さん万まん500円えんに、

▽2000ＣＣし-し-の場合ばあい、年とし３さん万まん9500円えんから３さん万まん6000円えんに

▽2500ＣＣし-し-の場合ばあい、年とし４よん万まん5000円えんから４よん万まん3500円えんにそれぞれ引き下ひきさげられます。

一方いっぽう、軽けい自動車じどうしゃを所有しょゆうする人ひとが毎年まいとし、課税かぜいされる「軽自動車けいじどうしゃ税ぜい」については、年とし１いち万まん800円えんの税額ぜいがくがそのまま維持いじされます。

（環境かんきょう性能せいのう割わりの引き下ひきさげ）

自動車じどうしゃを購入こうにゅうする際さいにかかる税金ぜいきんも期間きかん限定げんていで軽減けいげんされます。

今いまの「自動車じどうしゃ取得しゅとく税ぜい」に代かわって、来年らいねん10月つきに導入どうにゅうされる燃費ねんぴ性能せいのうを基準きじゅんとした「環境かんきょう性能せいのう割わり」について、最大さいだい３さん％となっている税率ぜいりつが、最初さいしょの１いち年間ねんかんに限かぎって１いち％引き下ひきさげられ、最大さいだい２に％となります。

（エコカー減税げんぜいは縮小しゅくしょう）

一方いっぽうで、燃費ねんぴのよい車くるまを対象たいしょうに、車検しゃけんの際さいに課税かぜいされる自動車じどうしゃ重量じゅうりょう税ぜいなどを軽減けいげんする「エコカー減税げんぜい」と、自動車じどうしゃ税ぜいや軽けい自動車じどうしゃ税ぜいを軽減けいげんする「グリーン化か特例とくれい」は、対象たいしょう車種しゃしゅや減税げんぜい幅はばが絞しぼられます。自動車じどうしゃ税ぜいの減税げんぜいに必要ひつような財源ざいげんを確保かくほするための措置そちです。

（住宅じゅうたくローン減税げんぜい延長えんちょう）

住宅じゅうたくについては、ローンの残高ざんだかに応おうじて所得しょとく税ぜいが減税げんぜいされる「住宅じゅうたくローン減税げんぜい」が拡充かくじゅうされます。

現在げんざいの仕組しくみでは、最大さいだいで年間ねんかん50万まん円えんが10年間ねんかん、減税げんぜいされますが、消費しょうひ税率ぜいりつの引き上ひきあげ以降いこうに戸建こだて住宅じゅうたくやマンションを購入こうにゅうした人ひとは、減税げんぜいを受うけられる期間きかんが３さん年間ねんかん延長えんちょうされます。

延長えんちょうされた期間きかんは、最大さいだいで建物たてものの価格かかくの２に％分ぶんを減税げんぜいし、実質じっしつ的てきに消費しょうひ税率ぜいりつ引き上ひきあげによる負担ふたん増ぞうをなくす仕組しくみになっています。

住宅じゅうたくローン減税げんぜいの詳細しょうさいは

住宅じゅうたくローン減税げんぜいは、10年ねん以上いじょうのローンを組くんで住宅じゅうたくを新築しんちくしたり増ぞう改築かいちくしたりした人ひとに対にたいし、所得しょとく税ぜいを減税げんぜいする制度せいどです。

今いまの制度せいどでは、年末ねんまつのローン残高ざんだかの１いち％にあたる金額きんがくが最大さいだいで年間ねんかん50万まん円えん、10年間ねんかん、減税げんぜいされます。

今回こんかいの税制ぜいせい改正かいせいでは、10％の消費しょうひ税率ぜいりつで新築しんちくや増築ぞうちくをした人ひとに対にたいし、減税げんぜいを受うけられる期間きかんを３さん年間ねんかん延長えんちょうします。

延長えんちょうされた期間きかん、つまり11年ねん目めから13年ねん目めまでの期間きかんの減税げんぜいの額がくは、最大さいだいで建物たてものの価格かかくの２に％分ぶんとして、実質じっしつ的てきに、増税ぞうぜいによる負担ふたんの増加ぞうかをなくす仕組しくみです。

その際さいには、建物たてもの価格かかくの２に％を３さん年間ねんかんで分割ぶんかつした金額きんがくと、年末ねんまつのローン残高ざんだかの１いち％にあたる金額きんがくとを比くらべ、どちらか少すくないほうが減税げんぜいの額がくとなります。

例たとえば、建物たてもの価格かかくが3000万まん円えんの住宅じゅうたくの場合ばあい、11年ねん目め以降いこう３さん年間ねんかんの減税げんぜい額がくは、最大さいだいで２に％にあたる60万まん円えん、１いち年ねんあたり20万まん円えんですが、11年ねん目めの年末ねんまつのローン残高ざんだかが1000万まん円えんになっていると、その年としの減税げんぜい額がくはそれよりも少すくない10万まん円えんになります。

住宅じゅうたくローン減税げんぜい拡充かくじゅうに住宅じゅうたく販売はんばいの現場げんばは

「住宅じゅうたくローン減税げんぜい」が拡充かくじゅうされることについて、住宅じゅうたくの購入こうにゅうを検討けんとうしているからは、減税げんぜいの詳くわしい内容ないようを見みたうえで買かうタイミングを見極みきわめたいという声こえが聞きかれました。

東京とうきょう 新宿しんじゅく区くにある住宅じゅうたく展示てんじ場じょうを訪おとずれていた53歳さいの男性だんせいは、「消費しょうひ税率ぜいりつの引き上ひきあげは気きにはしています。税制ぜいせいの面めんで優遇ゆうぐうもあるので、増税ぞうぜい前後ぜんごで費用ひようがどうなるのか比較ひかくをしっかりしたいなと考かんがえています」と話はなしていました。

一方いっぽう、夫おっとや子こどもと訪おとずれていた女性じょせいは、「政策せいさくの中身なかみで買かうタイミングを決きめるということはなく、自分じぶんたちのペースで決きめたいと思おもいます。タイミングがあえば減税げんぜいも利用りようするかなという感かんじです」と話はなしていました。

この展示てんじ場じょうの運営うんえい会社かいしゃによりますと、ことしの10月つきは、安倍あべ総理そうり大臣だいじんが予定よていどおり消費しょうひ税率ぜいりつを引き上ひきあげる考かんがえを示しめしたこともあって、来場らいじょう者しゃが多おおかったということですが、先月せんげつ以降いこうは、例年れいねんどおりの水準すいじゅんに戻もどっているということです。

運営うんえい会社かいしゃの喜多川きたがわ好よしみ史しさんは「前回ぜんかいの消費しょうひ税率ぜいりつの引き上ひきあげの時ときほど駆け込かけこみがおきていないのは、やはり税制ぜいせいの優遇ゆうぐうが意識いしきされているのかなと思おもいます。いままでは住宅じゅうたくの購入こうにゅうは『増税ぞうぜい前まえに』と話はなしをするケースが多おおかったですが、今後こんごはタイミングを見みて消費しょうひ税率ぜいりつの引き上ひきあげ後ごも、ローン減税げんぜいがありますよとＰＲぴ-あ-るしていこうと思おもっています」と話はなしていました。

地方ちほう法人ほうじん税ぜいや教育きょういく資金しきん贈与ぞうよなども改正かいせい

今回こんかいの税制ぜいせい改正かいせいには、相続そうぞく税ぜいや贈与ぞうよ税ぜい、それに法人ほうじん税ぜいなどの改正かいせいも盛り込もりこまれます。

（地方ちほう法人ほうじん税ぜいの偏在へんざい是正ぜせい）

都市としと地方ちほうとの税収ぜいしゅう格差かくさを是正ぜせいするため、企業きぎょうが自治体じちたいに納おさめる地方ちほう法人ほうじん税ぜいのうち、法人ほうじん事業じぎょう税ぜいを国くにが徴収ちょうしゅうし、地方ちほうに再さい配分はいぶんする仕組しくみが導入どうにゅうされます。

企業きぎょうが多おおく集あつまる東京とうきょう都とについては、新あらたにおよそ4200億おく円えんが地方ちほうに再さい配分はいぶんされることになり、すでに決きまっていた法人ほうじん住民じゅうみん税ぜいの再さい配分はいぶんと合あわせて、およそ9000億おく円えんが東京とうきょう都とから地方ちほうに移うつされます。

（教育きょういく資金しきん贈与ぞうよの所得しょとく制限せいげん）

祖父母そふぼや親おやから教育きょういくや結婚けっこん、子育こそだてにかかる資金しきんを援助えんじょしてもらう際さい、一定いっていの金額きんがくまでは贈与ぞうよ税ぜいが非ひ課税かぜいになる措置そちは、今年度こんねんど末まつまでだった期限きげんを２に年間ねんかん延長えんちょうします。

ただ、格差かくさの固定こていにつながっているという批判ひはんもあるため、援助えんじょを受うける側がわの人ひとに所得しょとく制限せいげんを設もうけ、年間ねんかんの所得しょとくが1000万まん円えん以下いかの人ひとに対象たいしょうを絞しぼります。

（その他そのた）

商店しょうてんなどを経営けいえいする個人こじん事業じぎょう主ぬしが、事業じぎょう用ようの土地とちや建物たてものを後継こうけい者しゃに引き継ひきつぐ際さい、相続そうぞく税ぜいや贈与ぞうよ税ぜいの支払しはらいを事業じぎょうを継続けいぞくする場合ばあいに限かぎって、猶予ゆうよする制度せいども新あらたに設もうけられます。

このほか、研究けんきゅう開発かいはつへの投資とうしを増ふやしたベンチャー企業きぎょうの法人ほうじん税ぜいの負担ふたんを軽かるくする制度せいどや、災害さいがいに備そなえた計画けいかくを作つくった中小ちゅうしょう企業きぎょうが排水はいすいポンプなどの防災ぼうさい設備せつびを導入どうにゅうした場合ばあい、税ぜいの優遇ゆうぐうなどを受うけられる制度せいども導入どうにゅうされます。

（未婚みこんの一いち人にん親おやに対にたいする支援しえん策さく）

一方いっぽう、未婚みこんの一いち人にん親おやに対にたいする支援しえん策さくをめぐっては、公明党こうめいとうが配偶はいぐう者しゃと死別しべつしたり離婚りこんしたりした一いち人にん親おやと同様どうように税ぜい負担ふたんを軽減けいげんするよう求もとめているのに対にたいし、自民党じみんとう内ないでは「税ぜいではなく予算よさんで対応たいおうすべきだ」といった意見いけんや、「税ぜい負担ふたんを軽減けいげんする場合ばあいでも限定げんてい的てきにすべきだ」という主張しゅちょうもあり、双方そうほうの隔へだたりは埋うまっていません。

このため、両りょう党とうの税制ぜいせい調査ちょうさ会長かいちょうらによる大詰おおづめの調整ちょうせいが行おこなわれていて、13日にちに予定よていされていた税制ぜいせい改正かいせい大綱たいこうの決定けっていは、14日にち以降いこうにずれ込ずれこむ見通みとおしとなりました。

（軽減けいげん税率ぜいりつの穴埋あなうめ）

一方いっぽう、来年らいねん10月つき以降いこう、食料しょくりょう品ひんなどに限かぎって消費しょうひ税率ぜいりつを８はち％に据え置すえおく「軽減けいげん税率ぜいりつ」の導入どうにゅうで、税収ぜいしゅうが減へる分ぶんの穴埋あなうめについても一定いっていのメドをつけました。

すでに決きまっているたばこ税ぜいの増税ぞうぜいや、所得しょとく税ぜいの見直みなおしによる増収ぞうしゅう、それに事業じぎょう者しゃの納税のうぜい額がくを正確せいかくに把握はあくするため、税率ぜいりつや税額ぜいがくを記載きさいする「インボイス」と呼よばれる請求せいきゅう書しょの導入どうにゅうで、消費しょうひ税ぜいの税収ぜいしゅうが増ふえる分ぶんを充あてることになります。

さらに社会しゃかい保障ほしょう費ひを見直みなおすことで捻出ねんしゅつした予算よさんもあて、めどが付ついていなかったおよそ6000億おく円えんを確保かくほする方針ほうしんです。

課税かぜい逃のがれ対策たいさくは

税制ぜいせい改正かいせい大綱たいこうには、課税かぜい逃のがれを防ふせぐための新あらたな対策たいさくも盛り込もりこまれます。

（仮想かそう通貨つうか・シェアエコ対策たいさく）

このうち、インターネットを通つうじた取り引とりひきのため実態じったいを把握はあくしにくかった、民泊みんぱくやフリーマーケットなどの「シェアリングエコノミー」や、仮想かそう通貨つうかについて、国税こくぜい当局とうきょくが取り引とりひきを仲介ちゅうかいする企業きぎょうに情報じょうほうを照会しょうかいできる仕組しくみが導入どうにゅうされます。

ただ情報じょうほうを紹介しょうかいする対象たいしょうは、大口おおぐちの申告しんこく漏もれや、違法いほうな取り引とりひきが疑うたがわれる場合ばあいなどに限かぎられます。

（金きんの密輸みつゆ対策たいさく）

消費しょうひ税ぜいの仕組しくみを悪用あくようして利りざやを稼かせぐ金きんの密輸みつゆの対策たいさく強化きょうかも盛り込もりこまれます。

貴金属ききんぞく店てんなどの買い取かいとり業者ぎょうしゃに対にたいし、金きんを売うりに来きた人ひとを免許めんきょ証しょうやパスポートで確認かくにんし、その写うつしを保存ほぞんするよう求もとめます。

来年らいねん10月つきに消費しょうひ税率ぜいりつが10％に引き上ひきあげられると、利りざやが拡大かくだいし、密輸みつゆがさらに増加ぞうかすることが懸念けねんされており、売り手うりて側がわの本人ほんにん確認かくにんを徹底てっていすることで不正ふせいな売買ばいばいを未然みぜんに防ふせごうという狙ねらいです。

宮沢みやざわ税調ぜいちょう会長かいちょう「大綱たいこう決定けっていはあさって以降いこうに」

自民党じみんとうの宮沢みやざわ税制ぜいせい調査ちょうさ会長かいちょうは党とうの税制ぜいせい調査ちょうさ会かいの会合かいごうのあと記者きしゃ団だんに「検討けんとう項目こうもくは異論いろんなく了承りょうしょうされ、税制ぜいせい改正かいせい大綱たいこうの中身なかみも一任いちにんを受うけた」と述のべました。

一方いっぽうで、「未婚みこんの一いち人にん親おやへの支援しえん策さくについては公明党こうめいとうと鋭意えいい調整ちょうせいを進すすめ、溝みぞを埋うめる努力どりょくをしているが、公明党こうめいとう側がわの反応はんのうは芳かんばしくない」と述のべたうえで、13日にちに予定よていされていた税制ぜいせい改正かいせい大綱たいこうの決定けっていは14日にち以降いこうにずれ込ずれこむ見通みとおしを示しめしました。