国会は30
日から
衆議院で
安倍総理大臣の
施政方針演説などに対する
各党の
代表質問が
始まりました。
厚生労働省の
統計不正問題について、
安倍総理大臣は
先月28
日に
報告を
受け、
事案の
精査を
指示したことを
明らかにしました。
最初に
質問に
立った
立憲民主党の
枝野代表は、
厚生労働省の
統計不正問題について、「
不適切な
統計数値のままでは
予算案や
法案の
適切な
審査はできない。
安倍総理大臣が
最初に
報告を
受けたのは
いつで、
どのような
指示をしたのか。
また、いいかげんな
調査で
幕引きを
図ろうとした
根本厚生労働大臣は
罷免すべきだ」と
迫りました。
これに対し、安倍総理大臣は今回の問題を陳謝し、関係省庁による経済指標への影響の調査がまとまり次第、公表する考えを示しました。
そして、「私は去年12月28日に厚生労働省から秘書官を通じて報告を受け、しっかりと事案を精査するよう指示した。再発防止に全力を尽くすことで政治の責任を果たしていく」と述べたうえで、根本大臣の罷免要求を拒否しました。
また枝野氏は沖縄のアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設計画に関連して、「安倍総理大臣はNHKの番組で、『土砂を投入していくにあたって、あそこのサンゴは、移している』と明言したが、具体的にどこの何のサンゴか」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は「現在、アメリカ軍のキャンプ・シュワブの南側の埋め立て海域はすべて護岸で閉めきって、埋め立てを進めているが、閉めきる前に、南側の埋め立て海域に生息している保護対象のサンゴは移植したと防衛省幹部から説明を受けた」と述べました。
続いて質問に立った自民党の二階幹事長は、消費税率10%への引き上げについて、「安倍内閣が目指す全世代型社会保障制度の実現のためにも、財政健全化を推し進めるうえでも避けては通れない道だ」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は全世代型社会保障制度の構築に向け、安定財源を確保するために引き上げは必要だとして、消費税率を8%に引き上げた時の反省の上に、経済運営に万全を期すことなどを説明しました。
また二階氏は厚生労働省の統計不正問題について、「原因究明を急ぎ、国民が不利益を被ることのないよう再発防止と支給策を具体的に進めていかなくてはならない」と述べました。
これに対し、安倍総理大臣は「長年にわたる誤った処理を見抜けなかった責任は重く受け止めている。雇用保険などの給付の不足分はできるかぎり速やかに簡便な手続きで支払えるよう万全を期し、現在受給している方には3月から順次、本来支給すべき金額で今後の支給を開始する予定だ」と述べました。
3人目の国民民主党の玉木代表は、厚生労働省の統計不正問題の影響で、雇用保険などが本来より低く支給されていたことについて、「平成16年から23年は、元のデータが破棄されて、追加給付額には根拠がなく、データをすべて探しだし、不正の全容を解明するのが先だ」と迫りました。
これに対し、安倍総理大臣は「必要なデータの一部が確認できていない期間も給付を行う必要があり、残されたデータから給付のための推計値を計算し、不足分の給付を行う。そのための経費を新年度予算案に計上したので速やかに審議いただきたい」と述べました。
また玉木氏は日韓関係について、「厳しい状況だからこそ、日本の主張をはっきり伝え、しっかり対話すべきだ。施政方針演説で、こうした困難な問題の言及をなぜ避けたのか」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は「日韓両国が築き上げてきた関係の前提すら否定する動きが続いていることは大変遺憾だ。施政方針演説では、非難合戦のようになることは適切ではないと考え、言及は北朝鮮問題に関する連携のみに留めた」と述べました。
一方、安倍総理大臣はロシアとの北方領土問題を含む平和条約交渉に関連して、「北方四島は日本固有の領土か」と問われ、「北方領土は、わが国が主権を有する島々であり、その立場に変わりはない」と述べました。
立民 枝野代表「正面から答えず残念な答弁」
立憲民主党の枝野代表は記者会見で、「相変わらず聞かれたことに正面から答えず、都合の悪いことから逃げるという残念な答弁だった。政治の1つの大きな争点として、こうした答弁姿勢そのものが問われなければならない」と述べました。
そのうえで枝野氏は厚生労働省の統計不正問題で安倍総理大臣が先月28日に報告を受けたと明らかにしたことについて、「28日まで空白があったこと自体が信じがたい。本当だとすれば、根本大臣を含め、厚生労働省のサボタージュ、隠蔽と言わざるをえず、今後、国会論戦などを通じて明らかにしていきたい」と述べました。
国民 玉木代表「逃げてばかりという印象」
国民民主党の玉木代表は記者団に対し、「国家の根幹に関わることや国益に直結することを直球勝負で質問したが、逃げてばかりという印象だ。特に外交や経済に関わる重要な問題について正面から答えないのは非常に残念だ。エビデンス=証拠に基づかない政策決定が行われていることが証明されており、引き続き厳しく追及したい」と述べました。