兄弟2人は今月15日と18日にそれぞれ37度7分の発熱が見られたあと入院し、21日、新型コロナウイルスへの感染が確認されました。症状はいずれも回復傾向にあるということです。
一方、40代の検疫官の女性は今月16日に微熱が出て、翌日、38度を超え、18日に医療機関を受診していました。その後、自宅で療養していましたが検体を取って検査を行ったところ、21日感染が確認されました。道によりますと女性は今後入院する予定ですが、容体は安定しているということです。
新たに感染が確認された3人について発症までの14日間に海外への渡航歴はなく、道は引き続き発症前の詳しい行動や濃厚接触した人などを確かめ、感染ルートについては調査を進めています。
北海道内で新型コロナウイルスへの感染が確認されたのは合わせて8人となりました。
専門家「子ども重症化しやすいとの報告はない」
新型コロナウイルスについては中国でも感染した子どもが重症化しやすいという報告はありません。
中国の疾病予防センターで対策にあたっているチームが今月11日までに中国本土で感染が確認された4万4672人の詳しいデータを分析したところ、10歳未満の子どもで死亡したケースはなく、10代では死亡は1人だったということです。
また、中国の武漢大学などのグループの報告では中国本土で新型コロナウイルスに感染した生後1か月から11か月までの乳児は今月6日までに9人いて、いずれも重症にはならなかったということです。
子どもの感染症に詳しい愛知医科大学の森島恒雄客員教授は「WHOや中国も注目してきたと思うが、これまで子どもが重症化しやすいという報告は出ていない。このウイルスは通常のコロナウイルスと似ている部分があり、ふだんからかぜにかかる機会が多い子どもは免疫がある可能性もある」と話しています。
一方で、「感染を広げるという意味では子どもは学校や保育園などで感染が広がりやすいため注意が必要だ。いつも以上に手洗いの徹底や、部屋の換気をよくするなどの対策を行ってほしい」と指摘しています。
富良野小は午後から臨時休校
新型コロナウイルスに感染していることが確認された兄弟2人が通っている北海道の中富良野小学校では午後から臨時休校となり、学校には子どもを迎えに次々と保護者が訪れました。
母親の1人は「『コロナウイルスの感染があったので、子どもをすぐに迎えに来てください』と学校から連絡がありました。びっくりしてしまい、どうしていいかわからない状態ですが、まずは、うがいや手洗いをしっかりしようと思います」と話していました。
道教育長「児童の感染防止徹底図る」
新たに感染が確認された小学生の兄弟2人が通う中富良野小学校での対応について道教育委員会の佐藤嘉大教育長は「校舎の消毒は保健所の指導を仰いで適切に行っていく。児童の健康管理と感染防止の徹底を図るとともに保護者への説明会を検討している。また週明けからの学校の対応についても専門家の指導を仰ぎつつ道と町の教育委員会で協議し判断したい」と述べました。
そのうえで「あすから3連休なので保護者には児童の健康問題がないか観察しながら、不要不急の外出を控えるよう徹底をお願いしたい」と話しました。
検疫官は空港で業務
新型コロナウイルスへの感染が確認された検疫官の女性は、厚生労働省小樽検疫所千歳空港検疫所支所に勤務しています。千歳空港検疫所支所によりますと、この検疫官は新千歳空港の検疫所の検査場で、サーモグラフィーのモニターを見て空港利用者の体温を確認する業務のほか、新型コロナウイルスへの注意喚起も担当していました。業務の際はマスクに加えて、ゴーグルとゴム手袋も着用する対策をとっていたということです。
鈴木知事「危機感持って対応」
北海道の鈴木知事は記者会見で「相次いで、連日、患者が発生している状況は初期の発生の状況とは異なっていると認識している」と述べました。そのうえで「発生が相次いでいる状況でさらに危機感を持って対応していかなければならない。一方、陽性が出た小学生2人について全身状態は良好だ。冷静に対処すべきだが、感染拡大の防止のために道民には協力してもらいたい」と述べました。