新型しんがたコロナ感染かんせんピーク時じ 目安めやすの病床びょうしょう数すう確保かくほ難むずかしい現状げんじょう明あきらかに

その回答かいとうによりますと、新型しんがたコロナウイルスの患者かんじゃが入院にゅういんするために確保かくほしている病床びょうしょうの数かずは、全国ぜんこく合あわせて4800床しょう余あまりで現時点げんじてんではこのうちの３さん分ぶんの２に、少すくなくとも約やく3200床しょうが空あいていました。

一方いっぽうで、厚生こうせい労働ろうどう省しょうが示しめした計算けいさん式しきをもとに、感染かんせんがピークを迎むかえた時ときに各かく都道とどう府県ふけんで入院にゅういんが想定そうていされる患者かんじゃの数かずをすべて足たし上あげると、約やく22万まん9500人にんとなりますが、各かく都道とどう府県ふけんに対にたいし、計算けいさん式しきに基もとづく病床びょうしょう数すうを確保かくほできる見通みとおしがあるか聞きいたところ、「確保かくほできる見通みとおし」と答こたえたのは神奈川かながわ県けんと岡山おかやま県けんの２に県けんで、18都府県とふけんが「確保かくほできない見通みとおし」、27道府県どうふけんが「確保かくほできるかわからない」と回答かいとうし、対応たいおうできる病床びょうしょうの確保かくほに課題かだいがあることが明あきらかになりました。

「確保かくほできない」、「確保かくほできるかわからない」とした理由りゆうについて、「多おおすぎて物理ぶつり的てきに不可能ふかのう」、「試算しさんの根拠こんきょが不ふ明確めいかく」、「実際じっさいには対策たいさくを講こうじるため必要ひつような数かずはより少すくなくなるとみられる」などと回答かいとうしています。

また、厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、今後こんご患者かんじゃが増ふえた場合ばあい、軽症けいしょう者しゃや無む症状しょうじょう者しゃは原則げんそくとして自宅じたく療養りょうようしてもらうための計画けいかくを策定さくていするよう求もとめていますが、すでに計画けいかくを策定さくてい済ずみと答こたえたのは、患者かんじゃを重症じゅうしょう度どに応おうじて振り分ふりわける「入院にゅういんフォローアップセンター」を独自どくじに設置せっちした大阪おおさか府ふや、東京とうきょう都と、神奈川かながわ県けんなど10の都府県とふけんにとどまっていました。

医療いりょう体制たいせい整備せいび求もとめる厚あつし労ろう省しょう

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいに備そなえて、ピーク時じの医療いりょう体制たいせいの整備せいびを各かく都道とどう府県ふけんに要請ようせいしています。

ピーク時じの患者かんじゃ数すうについては、計算けいさん式しきを示しめし、その人数にんずうを目安めやすにして医療いりょう体制たいせいを検討けんとうするよう求もとめています。

この計算けいさん式しきに、総務そうむ省しょうが示しめしたおととし10月つき時点じてんの人口じんこう推計すいけいをあてはめると、東京とうきょう都とでは感染かんせんの疑うたがいがあって医療いりょう機関きかんを受診じゅしんする外来がいらい患者かんじゃが１いち日にち当あたりで約やく４よん万まん5000人にん、入院にゅういんが必要ひつような患者かんじゃが約やく２に万まん500人にん、集中しゅうちゅう治療ちりょうや人工じんこう呼吸こきゅう器きが必要ひつような重症じゅうしょう患者かんじゃは約やく700人にんと推計すいけいされます。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、あくまでも目安めやすであり、実際じっさいはこの推計すいけい通どおりにならない可能かのう性せいが高たかいため、現実げんじつの状況じょうきょうも踏ふまえて体制たいせいを確保かくほしてほしいと呼よびかけています。

このほか、都道とどう府県ふけんに対にたいしては患者かんじゃの受け入うけいれ先さきを調整ちょうせいするため、救急きゅうきゅう医療いりょうや感染かんせん症しょうの専門せんもん家かで作つくる「調整ちょうせい本部ほんぶ」を設置せっちするよう求もとめています。

そのうえで、重点じゅうてん的てきに患者かんじゃを受け入うけいれる医療いりょう機関きかんを設定せっていし、感染かんせん症しょうの専門医せんもんいを集約しゅうやくするよう求もとめています。感染かんせんがさらに拡大かくだいし、患者かんじゃの受け入うけいれができなくなった都道とどう府県ふけんが出でた場合ばあいは、国くにが広域こういき的てきな調整ちょうせいにあたるとしています。

東京とうきょう都と担当たんとう者しゃ「現行げんこうの運用うんようでは確保かくほ困難こんなん」

新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんする人ひとが急増きゅうぞうし、小池こいけ知事ちじが「感染かんせん爆発ばくはつの重大じゅうだい局面きょくめん」として強つよい危機きき感かんを示しめしている東京とうきょう都とでは、患者かんじゃを受け入うけいれることができる病床びょうしょうの確保かくほや空あいている病床びょうしょうの把握はあくが課題かだいとなっています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんが今後こんご、ピークを迎むかえたときに備そなえて医療いりょう体制たいせいを整備せいびするよう自治体じちたいに要請ようせいしていて、患者かんじゃが入院にゅういんする病床びょうしょうの確保かくほが喫緊きっきんの課題かだいとなっています。

東京とうきょう都とは、患者かんじゃが入院にゅういんする病床びょうしょうとして、これまでに感染かんせん症しょう指定してい医療いりょう機関きかんにある感染かんせん症しょうに対応たいおうした病室びょうしつなどで合あわせて140床しょうを確保かくほしていましたが、26日にち時点じてんで入院にゅういんが必要ひつような患者かんじゃはすでに223人にんに上のぼっていて、一般いっぱんの医療いりょう機関きかんにも協力きょうりょくを求もとめて確保かくほしています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうが示しめした計算けいさん式しきでは、感染かんせんがピークを迎むかえると、東京とうきょう都とでは１いち日にち当あたり、集中しゅうちゅう治療ちりょうや人工じんこう呼吸こきゅう器きが必要ひつような重症じゅうしょうの患者かんじゃが約やく700人にん、肺炎はいえんの治療ちりょうなど入院にゅういんが必要ひつような患者かんじゃが約やく２に万まん500人にんに上のぼるとされ、東京とうきょう都とでは、最大さいだいで4000人にん分ぶんの病床びょうしょうを段階だんかい的てきに確保かくほしていく方針ほうしんをまとめました。

しかし、東京とうきょう都との吉田よしだ道彦みちひこ感染かんせん症しょう危機きき管理かんり担当たんとう部長ぶちょうは「重症じゅうしょう者しゃの700人にんという数かずだけでも、非常ひじょうに大おおきな数字すうじで、現行げんこうの運用うんようでは確保かくほするのが大変たいへん難むずかしい」としています。

さらに、東京とうきょう都とでは、一般いっぱんの病院びょういんを含ふくめた都内とないの283の医療いりょう機関きかんを対象たいしょうに患者かんじゃの受け入うけいれが可能かのうな病床びょうしょう数すうをインターネットの入力にゅうりょくシステムを使つかって毎日まいにち報告ほうこくするよう求もとめましたが、回答かいとうした医療いりょう機関きかんは約やく70％にとどまり、空あいている病床びょうしょうを把握はあくすることも難むずかしい状態じょうたいになっています。

吉田よしだ部長ぶちょうは「一般いっぱんの医療いりょう機関きかんにも協力きょうりょくしてもらい、患者かんじゃが出でた場合ばあいに迅速じんそくに対応たいおうしていくことが重要じゅうようだ。多おおくの医療いりょう機関きかんに回答かいとうしてもらえるよう、説明せつめい会かいなどを設もうけてお願おねがいするなど、可及的かきゅうてき速すみやかに病床びょうしょうを確保かくほしたい」と話はなしています。

大学だいがく病院びょういん「対応たいおうには限界げんかい サポート必要ひつよう」

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんが拡大かくだいし、患者かんじゃが急増きゅうぞうした場合ばあいに備そなえ、一般いっぱんの医療いりょう機関きかんでも対応たいおうできるようにするとしていますが、患者かんじゃを受け入うけいれる側がわの医療いりょう機関きかんからは、対応たいおうには限界げんかいがあるといった声こえが出でています。

東京とうきょう 品川しながわ区くにある昭和しょうわ大学だいがく病院びょういんは、感染かんせん症しょうの指定してい医療いりょう機関きかんではありませんが、今後こんご、患者かんじゃが増ふえた場合ばあい、東京とうきょう都とから受け入うけいれるための病床びょうしょうを確保かくほするよう求もとめられています。

病院びょういんには、室内しつないの空気くうきが外そとに流れ出ながれださないようにした「陰かげ圧室しつ」と呼よばれる感染かんせん症しょうに対応たいおうした病床びょうしょうが合あわせて35床しょうありますが、通常つうじょうは別べつの病気びょうきの患者かんじゃが入院にゅういんしていて、現在げんざい空あいているのは４よん床しょうのみだということです。

さらに、結核けっかくやはしかといった感染かんせん症しょうの患者かんじゃが救急きゅうきゅうで訪おとずれる可能かのう性せいもあることから、東京とうきょう都とには、新型しんがたコロナウイルスの患者かんじゃの受け入うけいれが可能かのうなのは１いち床しょうだと報告ほうこくしているということです。

昭和しょうわ大学だいがく病院びょういんで感染かんせん症しょうの治療ちりょうを行おこなっている二木ふたつぎ芳人よしひと教授きょうじゅは「地域ちいきの中核ちゅうかく病院びょういんとして高度こうどな医療いりょうが必要ひつようなさまざまな病気びょうきの患者かんじゃを診みていて、そうした患者かんじゃに対にたいする医療いりょうも崩壊ほうかいさせてはいけない。新型しんがたコロナウイルスの患者かんじゃさんだけのために病床びょうしょうを空あけておくということはなかなかできない」と話はなしています。

また、新型しんがたコロナウイルスの患者かんじゃを受け入うけいれるためには、院内いんない感染かんせんの防止ぼうしなど、さまざまな対応たいおうも必要ひつようだとして、「スタッフはある程度あるていど、新型しんがたコロナウイルスの患者かんじゃさんにかかりきりにならざるをえない。手厚てあつい医療いりょうを行おこなおうとすれば何なん人にんもの医師いしが必要ひつようになるので、大学だいがく病院びょういんといっても、患者かんじゃが２に人にん、３さん人にんと増ふえれば人手ひとでが足たりないという問題もんだいも出でてくる。医療いりょう資源しげんや人材じんざいを補填ほてん（ほてん）してもらうなどのサポートが必要ひつようだ」と指摘してきしています。

専門せんもん家か「隔へだたり埋うめる連携れんけいを」

感染かんせん症しょう対策たいさくに詳くわしい東北とうほく医科いか薬科やっか大学だいがくの賀来かく満夫みつお特とく任にん教授きょうじゅは「国くにが求もとめる医療いりょう体制たいせいと、現実げんじつとして医療いりょう現場げんばでできることに隔へだたりがあることが明あきらかになった。多おおくの自治体じちたいが『対応たいおうできない』と思おもってしまっているというのは、非常ひじょうに大おおきな問題もんだいだ。新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいのスピードが速はやく、医療いりょう現場げんばの対応たいおうが追おいついていないことが背景はいけいにある」と指摘してきしています。

その一方いっぽう、医療いりょう現場げんばの事情じじょうについて、「ほかの病気びょうきの患者かんじゃのための病床びょうしょうも必要ひつようだし、院内いんない感染かんせんの不安ふあんや、人材じんざいや医療いりょう資源しげんの不足ふそくなど、多おおくの問題もんだいを抱かかえている。どういった条件じょうけんならば新型しんがたコロナウイルスの患者かんじゃを受け入うけいれられるのか、医療いりょう現場げんばの能力のうりょくに基もとづいた実施じっし計画けいかくを自治体じちたいと医療いりょう機関きかんが連携れんけいして構築こうちくし、隔へだたりを埋うめていく努力どりょくをすることが必要ひつようだ」と述のべました。

そして、患者かんじゃが殺到さっとうすることによって、医療いりょう崩壊ほうかいの状態じょうたいになるのを防ふせぐために、「新型しんがたコロナウイルスの患者かんじゃを専門せんもんに治療ちりょうする中心ちゅうしん的てきな医療いりょう機関きかんを作つくり、専門せんもんの医療いりょう者しゃを集あつめたチームで対応たいおうするなど、有効ゆうこうな体制たいせいを早急そうきゅうに整ととのえる必要ひつようがある」と強調きょうちょうしています。