日本レスリング
協会の
幹部による
伊調馨選手などへのパワーハラスメントをめぐる
問題で、レスリング
協会には、
調査をした
第三者委員会の
提言を
踏まえ、
速やかに
再発防止に
取り組むことが
突きつけられています。
この問題で
日本レスリング
協会は
当初、パワハラがあったことを
否定していましたが、
第三者委員会の
調査報告書では、
6日辞任した
栄和人元強化本部長がオリンピック
4連覇を
果たした
伊調選手などにパワハラをしていたことが
認定されました。
報告書では、こうした問題が起きた背景について、「レスリング協会は勝つことのみに目を奪われ、その先にあるものが見失われている」と指摘して、その体質を改善すべきだとしています。
また、この問題が取り沙汰されるきっかけとなった告発状を内閣府に送った弁護士も、第三者委員会の報告では詳細な動機などは明らかになっておらず、「大切なのはなぜ問題が起きたかだ」と話しています。
レスリング協会には、こうした指摘を踏まえ、できるだけ多くの人から納得感が得られる形で意思決定ができるようにするなど、協会運営を見直し速やかに再発防止策に取り組むことが突きつけられています。
「弟子が離れたことへの逆恨みにも似た心情」
伊調選手は、平成12年に中京女子大学付属高校、現在の至学館高校に入学。栄元強化本部長の指導のもと、高校・大学と練習を積み、アテネオリンピックと北京オリンピックで連覇を果たしました。
その後、平成21年におよそ8か月、カナダに留学したことをきっかけに、帰国後、いろいろな場所で練習したいと考えるようになり、平成22年になってから拠点を東京に移しました。
この時期に行われた代表合宿で、当時、女子の強化委員長だった栄元強化本部長の「よく俺の前でレスリングできるな」という発言がありました。
これについて報告書では、長年にわたって目をかけてきた弟子が離れていったことに対する逆恨みにも似た心情としか理解できず、敬意や思いやりのかけらもない不適切な発言としています。
そして、同じ年の5月にはアジア大会の代表選考で実績のある伊調選手が外され、今回の報告書では合宿での発言とともにパワハラと認定されました。
その後も伊調選手は、栄元強化本部長とは距離を置いて警視庁のレスリング部などを拠点に練習を積み、ロンドンオリンピックとリオデジャネイロオリンピックで金メダルを獲得しオリンピック4連覇を成し遂げています。