ノーベル
文学賞の
選考を
行うスウェーデン・アカデミーは、セクハラ
問題をめぐり
失墜した
信頼の
回復に
時間が
必要だとして、ことしの
受賞者の
発表を
見送ることを
明らかにしましたが、
専門家からは
改革が
難航するのは
避けられないという、
厳しい見方もでています。スウェーデン・アカデミーは
4日、
例年10月に
予定されているノーベル
文学賞の
受賞者の
発表をことしは
見送り、
来年の
文学賞と
同時に
発表する
方針を
示しました。
その理由について、会員の夫によるセクハラ問題などの対応で揺らいだ信頼を回復させるために時間が必要だ、と説明しています。
アカデミーでは、去年11月に会員の夫で文学界に強い影響力を持つ男性によるセクハラ問題が浮上したほか、男性が会員とともに運営していた文化組織への助成金の在り方についても、疑問が投げかけられました。
会員の間では、会員が夫の問題について責任をとって辞任するべきかどうかをめぐって意見が対立し、対応が消極的だと抗議して一部の会員が辞任するなど混乱が広がっていました。
アカデミーによりますと、ノーベル文学賞の受賞者の発表が行われなかったことは過去に7回ありましたが、セクハラ問題に端を発する混乱で受賞者の発表を見送るのは異例です。
アカデミーでは今後、組織の立て直しを急ぐとしていますが、専門家からは、問題の対応に消極的だった会員が多く残留する中、改革が難航するのは避けられないという、厳しい見方も出ています。
背景にセクハラ問題への認識の甘さ
スウェーデン・アカデミーがことしの受賞者の発表を見送ると決めたことについて、地元の大手新聞で文化問題を担当するビョルン・ヴィーマン編集長は「アカデミーの会員は、終身制であるみずからの権威に酔っていて、重大な問題への対応を誤った。社会からの支持があってこその立場だということを忘れてしまっていた」と、セクハラ問題への認識の甘さが問題を深刻化させた背景にあると指摘しました。
そのうえでヴィーマン氏は「問題に無関心だった男性会員たちは残っており、アカデミーが僅か1年で信頼回復に必要な改革を進められるかどうか極めて不透明だ。予算を管理するノーベル財団が介入するなどして後押しをする必要があるのではないか」と述べ、改革の道のりは厳しいという見方を示しました。