加計学園の
獣医学部新設をめぐり、
国会では
10日、
柳瀬唯夫元総理大臣秘書官らを
参考人招致して
質疑が
行われます。
柳瀬氏が
3年前に
学園の
関係者らと
総理大臣官邸で
面会したのかや、
その際、「
この件は
首相案件だ」と
発言したのか
などが
焦点になります。
加計学園の
獣医学部新設をめぐり、
10日午前、
衆議院予算委員会で
柳瀬唯夫元総理大臣秘書官と、
政府の
国家戦略特区諮問会議ワーキンググループの
八田達夫座長を、
午後には
参議院予算委員会で
柳瀬氏と
愛媛県の
加戸守行前知事を、
それぞれ参考人として
招致し、
質疑が
行われます。
参考人質疑では、獣医学部新設が国家戦略特区に提案される2か月前の平成27年4月に、愛媛県の担当者が学園の関係者らとともに、総理大臣官邸を訪問した際のやり取りを記したとする文書のとおり、柳瀬氏が、学園の関係者らと面会したのかや、「この件は首相案件だ」と発言したのかなどが焦点になります。
さらに柳瀬氏が安倍総理大臣に面会の報告をしたのかなど、安倍総理大臣の関与の有無も注目されます。
与党側は、柳瀬氏に加え八田氏や加戸氏への質疑も通じて、獣医学部新設に至る手続きが適正だったことを明らかにし、事態の収束につなげたい考えです。
これに対して野党側は、安倍総理大臣や柳瀬氏のこれまでの国会答弁との整合性をただし、獣医学部新設の手続きが「加計学園ありき」で進められたのではないかとして、追及を続けていく方針です。
これまでの説明
柳瀬元総理大臣秘書官は、「加計学園」の獣医学部新設をめぐり、3年前、愛媛県や今治市の担当者と総理大臣官邸で面会したかどうかについて、「記憶の限りでは会っていない」などと、繰り返し説明していました。
去年の7月24日に行われた衆議院予算委員会の閉会中審査で、平成27年4月に今治市の職員が総理大臣官邸を訪れ、総理大臣秘書官と面会したのかどうかについて、柳瀬元秘書官は「面談記録は取っておらず、今治市の方にお会いしたという記憶は無い」と述べました。
翌日の参議院予算委員会の閉会中審査でも、柳瀬元秘書官は「私の記憶をたどる限り、今治市の方と会ったことはない。当時は、獣医学部新設の制度論が議論され、制度を具体的にどこに適用するかという段階ではなかった」と説明しました。
こうした中、先月、愛媛県がそれまでは「ない」と説明してきた加計学園の獣医学部新設に関連する文書が残されていることが明らかになりました。
文書は、3年前に愛媛県の担当者が加計学園の関係者らと共に総理大臣官邸を訪問した際のやり取りを記したとされるもので、当時、総理大臣秘書官だった柳瀬氏が「本件は、首相案件」などと発言したと記載されていました。
その後、先月10日に柳瀬元秘書官は「記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません」「私が外部の方に対して、この案件が首相案件になっているといった具体的な話をすることはあり得ません」などとするコメントを出しました。
こうした中、関係者によりますと、柳瀬元秘書官は、加計学園の関係者とは総理大臣官邸で面会していたことを国会で認める方向で調整を進め、今月に入ってからも記者団に対して、「国会に呼ばれましたら誠実にしっかりと答えたいと思います」と述べていました。
柳瀬元総理大臣秘書官とは
柳瀬元総理大臣秘書官は、56歳。昭和59年に当時の通産省に入省して、大臣官房総務課長や経済産業政策局長などを歴任したあと、去年7月から経済産業省の通商政策担当のトップで、事務次官に次ぐポストの経済産業審議官を務めています。
この間、平成20年9月から当時の麻生総理大臣の秘書官を、また平成24年12月からは安倍総理大臣の秘書官を務めました。