日本新聞: 水俣病の公式確認から65年患者団体主催の慰霊祭熊本

水俣病みなまたびょうの公式こうしき確認かくにんから65年ねん患者かんじゃ団体だんたい主催しゅさいの慰霊いれい祭さい熊本くまもと

May 1, 2021 21:05

Furigana

「公害こうがいの原点げんてん」と言いわれる水俣病みなまたびょうが公式こうしきに確認かくにんされてから1日にち、65年ねんになり、熊本くまもと県けん水俣みなまた市しで患者かんじゃ団体だんたいが主催しゅさいする慰霊いれい祭さいが行おこなわれました。

水俣病みなまたびょうは、1956年ねん5月つき1日にち、水俣みなまた市しの医師いしが、突然とつぜん歩あるけなくなるなどの症状しょうじょうが出でた姉妹しまいの入院にゅういんを保健所ほけんじょに届け出とどけでたことが公式こうしきな確認かくにんとされ、1日にちで65年ねんになりました。

水俣みなまた市しなどが主催しゅさいする慰霊いれい式しきは新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで去年きょねんに続つづいて中止ちゅうしとなりましたが、患者かんじゃや遺族いぞくでつくる団体だんたいが規模きぼを縮小しゅくしょうして1日にち、慰霊いれい祭さいを行おこない、参列さんれつしたおよそ40人にんが水俣病みなまたびょうで犠牲ぎせいになった命いのちに祈いのりをささげました。

水俣病みなまたびょうをめぐっては、いまも熊本くまもと県けんと鹿児島かごしま県けんの合あわせて1400人にん以上いじょうが患者かんじゃの認定にんていを求もとめて審査しんさ結果けっかを待まっているほか、国くにや原因げんいん企業きぎょう・チッソなどに損害そんがい賠償ばいしょうなどを求もとめる裁判さいばんを続つづけている人ひとも1600人にん以上いじょういて、解決かいけつが見通みとおせない状況じょうきょうが続つづいています。

公式こうしき確認かくにんの年としに生うまれた胎児たいじ性せい患者かんじゃの坂本さかもとしのぶさんは「だんだん症状しょうじょうが悪化あっかし、歩あるけなくなるなど、体からだが苦くるしくなってきています。65年ねんたってもチッソが憎にくいですし、国くにや県けんは、いまも残のこる問題もんだいにしっかり向き合むきあうべきだと思おもいます」と話はなしていました。

遺族いぞく「被害ひがい者しゃを思おもって対応たいおうを」

患者かんじゃや遺族いぞくでつくる団体だんたい、水俣病みなまたびょう互助ごじょ会かいの会長かいちょうで、娘むすめを水俣病みなまたびょうで亡なくした上村うえむら好男よしおさんは「あっという間あっというまの65年ねんだったと思おもいます。娘むすめを失うしなった悲かなしみは時間じかんがたっても消きえませんし、今いまでも夢ゆめに見みます。水俣病みなまたびょうの現状げんじょうについて、健康けんこう調査ちょうさがいまだ実施じっしされないなど、国くになどは問題もんだいから目めを背そむけていると思おもうので、きちんと被害ひがい者しゃを思おもって対応たいおうをしてほしい」と話はなしていました。

また、患者かんじゃの認定にんていなどを求もとめて14年間ねんかん、裁判さいばんを続つづけている佐藤さとう英樹ひできさんは「水俣病みなまたびょうは『公害こうがいの原点げんてん』と言いわれながらも、65年ねんがたっても、被害ひがい者しゃが裁判さいばんを続つづけています。怒いかりを感かんじますし、認定にんていの問題もんだい、裁判さいばんの問題もんだいが解決かいけつしないかぎり、水俣病みなまたびょうは終おわらないと思おもいます」と話はなしていました。