ＰＣＲ検査けんさ 必要ひつようと判断はんだんしても実施じっしまで「５ご日にち程度ていどかかる」

ＰＣＲ検査けんさはウイルスに感染かんせんしたかもしれないという人ひとが保健所ほけんじょやかかりつけ医いに相談そうだんし、必要ひつようと判断はんだんされれば専用せんようの外来がいらいを受診じゅしんして検体けんたいを採取さいしゅする仕組しくみになっていますが、感染かんせん者しゃの増加ぞうかに伴ともなって、検査けんさがなかなか受うけられないという声こえが上あがっています。

ＮＨＫえぬえいちけいが東京とうきょう23区くの保健所ほけんじょに、検査けんさが必要ひつようだと判断はんだんされた人ひとの検査けんさを行おこなうまでにどのくらい時間じかんがかかっているか尋たずねたところ、回答かいとうがあった区くはいずれも「重おもい症状しょうじょうの人ひとは優先ゆうせんしてその日ひのうちなどに検査けんさしている」としたうえで、

長ながい場合ばあいには、

▽葛飾かつしか区くと練馬ねりま区くが「５ご日にち程度ていど」、

▽豊島としま区くと荒川あらかわ区くが「４よん日にち程度ていど」、

▽中野なかの区くが「３さん日にち程度ていど」、

▽板橋いたばし区くと文京ぶんきょう区くと大田おおた区くが「２に日にち程度ていど」などと答こたえました。

さらに、検査けんさまでに最長さいちょうでどのくらいの日数にっすうがかかったか尋たずねたところ、

▽墨田すみだ区くが「１いち週間しゅうかん程度ていどかかったケースがあった」などと回答かいとうしました。

時間じかんがかかる理由りゆうについては感染かんせんが疑うたがわれる人ひとが増ふえていることに加くわえ、検査けんさができる専門せんもんの外来がいらいが少すくなく、感染かんせん予防よぼう対策たいさくをそのつど行おこなう必要ひつようもあることなどから、受け入うけいれ人数にんずうに限かぎりがあるという声こえが聞きかれました。

相談そうだん件数けんすう １いちか月かげつ前まえに比くらべ４よん倍ばい近ちかくに増ふえる

葛飾かつしか区く地域ちいき保健ほけん課かの橋口はしぐち昌明まさあき課長かちょうは検査けんさまでにかかっている時間じかんについて、「検査けんさ態勢たいせいがじわじわとひっ迫ひっぱくしてきています。翌日よくじつにお願おねがいしたいということで専門せんもんの外来がいらいで検体けんたいをとってもらっていたのが今いまではおよそ４よん日にちかかっています。ここ２に、３さん週間しゅうかんでじわじわと検査けんさ待まちの日数にっすうが延のびていて、自然しぜんに渋滞じゅうたいが起おきてしまっている状況じょうきょうです」と話はなしました。

また、その理由りゆうについては「保健所ほけんじょへの相談そうだん件数けんすうが１いちか月かげつ前まえに比くらべて４よん倍ばい近ちかくに増ふえています。しかし、検査けんさができる外来がいらいは限かぎられています。あちらこちらで検査けんさが受うけられる状況じょうきょうにはなっていません。私わたしたちの肌はだ感覚かんかくでは処理しょり能力のうりょくを超こえてしまっていると思おもいます」と話はなしました。

検査けんさの待ち時間まちじかん 短縮たんしゅくの取り組とりくみ広ひろがる

ＰＣＲ検査けんさの態勢たいせいがひっ迫ひっぱくする中なか、東京とうきょう23区くの自治体じちたいの間まではＰＣＲ検査けんさが必要ひつようだと判断はんだんされた人ひとの検体けんたいを採取さいしゅする施設しせつを独自どくじに増設ぞうせつするなど、検査けんさの待ち時間まちじかんを短縮たんしゅくする取り組とりくみも広ひろがっています。

このうち葛飾かつしか区くは独自どくじの取り組とりくみとして区内くないのスポーツ施設しせつの敷地しきち内ないにＰＣＲ検査けんさの検体けんたいを採取さいしゅする専用せんようのテントを設置せっちして17日にちから運用うんようを始はじめました。

テントはウイルスが外そとに拡散かくさんしないよう内部ないぶの気圧きあつを低ひくくできる「陰かげ圧式しき」で、区くの医師いし会かいに所属しょぞくする開業医かいぎょういなどが交代こうたいで検体けんたいの採取さいしゅにあたります。

葛飾かつしか区くは、ここで１いち時間じかんに10人にんの検体けんたい採取さいしゅができるとしていて、まずは17日にちと19日にち、20日にちの３さん日間にちかん運用うんようし、60人にん分ぶんの検体けんたい採取さいしゅを目指めざしたいとしています。

また、墨田すみだ区くでも、先週せんしゅうから区くの施設しせつの敷地しきち内ないにＰＣＲ検査けんさの検体けんたいを採取さいしゅする専用せんようの仮設かせつテントを設置せっちするなど複数ふくすうの区くで、検査けんさの迅速じんそく化かに向むけた取り組とりくみが始はじまっています。

一方いっぽう、近ちかく新あらたに検体けんたいを採取さいしゅする施設しせつを設もうけることを決きめた自治体じちたいもあります。

このうち、千代田ちよだ区くでは、区役所くやくしょ近ちかくの広場ひろばにＰＣＲ検査けんさの検体けんたいを採取さいしゅする仮設かせつテントを新あらたに設置せっちし、来週らいしゅう24日にちから、当面とうめんは週しゅう３さん回かい、１いち日にち２に時間じかん程度ていど運用うんようすることにしています。

また新宿しんじゅく区くでは、区内くないにある国際こくさい医療いりょう研究けんきゅうセンターの敷地しきち内ないに検体けんたいを採取さいしゅする「検査けんさスポット」を設置せっちし、近ちかく運用うんようを始はじめることにしています。

このほか、豊島としま区く、練馬ねりま区く、板橋いたばし区く、渋谷しぶや区く江戸川えどがわ区くなどでも、検査けんさ体制たいせいの強化きょうかに向むけて、対策たいさくの検討けんとうを進すすめているということです。

専門せんもん家か「容体ようだい急変きゅうへんが特徴とくちょう 検査けんさまで時間じかんかかりすぎ」

感染かんせん症しょう対策たいさくに詳くわしい北海道ほっかいどう医療大いりょうだい学がくの塚本つかもと容子ようこ教授きょうじゅは、都内とないの自治体じちたいの一部いちぶでＰＣＲ検査けんさを行おこなうまでに時間じかんがかかっている現状げんじょうについて「新型しんがたコロナウイルスは、容体ようだいが急変きゅうへんするのが特徴とくちょうで、検査けんさまでに４よん、５ご日にちというのは時間じかんがかかりすぎだ」と指摘してきしました。

時間じかんがかかる背景はいけいには、検査けんさにあたる人員じんいんの不足ふそくや、陽性ようせいと判明はんめいした場合ばあいに病院びょういんのベッドに空あきがあるかどうかなどの問題もんだいがあるとしたうえで、「時間じかんがかかると、病気びょうきの状態じょうたいが急激きゅうげきに悪わるくなってしまう可能かのう性せいや他たの人ひとにうつしてしまう事例じれいもある」と述のべました。

そして、検査けんさまでの時間じかんを短縮たんしゅくするため、自治体じちたいが独自どくじに検査けんさ体制たいせいを強化きょうかする動うごきについて、「とても良よい取り組とりくみだ」と評価ひょうかしたうえで、今後こんご、検査けんさ待まちの状況じょうきょうが地方ちほうでも起おきないようにするために、「１ひとつの中核ちゅうかく病院びょういんだけがすべての検査けんさを担になうのではなく、地域ちいきの開業医かいぎょういなども含ふくめて、行政ぎょうせいと地域ちいき医療いりょうが連携れんけいし、役割やくわり分担ぶんたんを進すすめるのが大事だいじだ」として、検査けんさ体制たいせいの充実じゅうじつを図はかる必要ひつようがあると指摘してきしました。

ＰＣＲ検査けんさ 今いまの流ながれと新あらたな取り組とりくみ

新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんしたか確認かくにんするＰＣＲ検査けんさは患者かんじゃが希望きぼうするだけでは受うけられません。

〈１いち 現在げんざいのしくみ〉

ウイルスに感染かんせんしたかもしれないという人ひとはまず保健所ほけんじょなどに設もうけられた「帰国きこく者しゃ・接触せっしょく者しゃ相談そうだんセンター」にみずから連絡れんらくします。

かかりつけ医いなどから連絡れんらくしてもらうこともあります。

「相談そうだんセンター」で必要ひつようと判断はんだんされたら、一般いっぱん公開こうかいされていない専用せんようの外来がいらい「帰国きこく者しゃ・接触せっしょく者しゃ外来がいらい」を受診じゅしんして検体けんたいを採取さいしゅしてもらえます。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと、４月しがつ６ろく日にち現在げんざいで「帰国きこく者しゃ・接触せっしょく者しゃ外来がいらい」などは全国ぜんこくであわせて1136か所かしょあります。

ここで採取さいしゅされた検体けんたいが自治体じちたいの研究所けんきゅうじょや民間みんかんの検査けんさ会社かいしゃなどに送おくられ、ＰＣＲ検査けんさが行おこなわれます。

ところが感染かんせんの拡大かくだいに体制たいせいが追おいつかず、かかりつけ医いや患者かんじゃが「検査けんさを受うけさせて欲ほしい」と「相談そうだんセンター」に依頼いらいしても検査けんさまでたどりつけないケースが出でてきています。

〈２に 厚あつ労ろう省しょうが促うながす新しんスキーム〉

そこで厚生こうせい労働ろうどう省しょうは検査けんさ体制たいせいを強化きょうかしようと、現在げんざいの「帰国きこく者しゃ・接触せっしょく者しゃ外来がいらい」に加くわえて新あらたな専門せんもん外来がいらい「地域ちいき外来がいらい・検査けんさセンター」を設置せっちする枠組わくぐみを示しめしています。

これは必要ひつように応おうじて地域ちいきの医師いし会かいなどに委託いたくして設置せっちしてもらう専門せんもん外来がいらいで、厚生こうせい労働ろうどう省しょうは１いち５ご日にち、全国ぜんこくの自治体じちたいにこのしくみを周知しゅうちしました。

新あらたに設置せっちされる「地域ちいき外来がいらい・検査けんさセンター」はかかりつけ医いの紹介しょうかいで受診じゅしんすることができます。この「地域ちいき外来がいらい・検査けんさセンター」で採取さいしゅされた検体けんたいが、民間みんかんの検査けんさ会社かいしゃに送おくられてＰＣＲ検査けんさが行おこなわれます。

これまでと異ことなり、かかりつけ医いが必要ひつようだと判断はんだんしたら保健所ほけんじょなどの「相談そうだんセンター」を介かいさずにＰＣＲ検査けんさを受うけられるようになるということです。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは地域ちいきの実情じつじょうに応おうじて自治体じちたいと医師いし会かいで協議きょうぎして導入どうにゅうを進すすめてほしいとしています。

〈３さん 取り組とりくみ始はじまる〉

こうした中なか、東京とうきょう都と医師いし会かいは、新あらたに「ＰＣＲセンター」を医師いし会かいのある都内とない４よん７ななか所かしょに設置せっちする方向ほうこうで検討けんとうしています。

「ＰＣＲセンター」は各かく自治体じちたいと地元じもとの医師いし会かいが中心ちゅうしんとなって立たち上あげる予定よていです。

〈４よん さらに先進せんしん的てきな取り組とりくみも〉

地域ちいきによっては、厚生こうせい労働ろうどう省しょうの示しめした枠組わくぐみを上回うわまわる先進せんしん的てきな取り組とりくみも進すすめられています。

そのひとつが東京とうきょう・新宿しんじゅく区くと医師いし会かい、国立こくりつ国際こくさい医療いりょう研究けんきゅうセンターが共同きょうどうで立たち上あげる「医療いりょう提供ていきょう新宿しんじゅくモデル」と名付なづけられたシステムです。

区内くないの診療しんりょう所しょなどで感染かんせんの疑うたがいがあると判断はんだんされた場合ばあい、国際こくさい医療いりょう研究けんきゅうセンターの敷地しきち内ないに設置せっちする「検査けんさスポット」でＰＣＲ検査けんさを受うけます。

区内くないの病院びょういんなどから交代こうたいで派遣はけんされる医師いしが検体けんたいを採取さいしゅし、民間みんかんの検査けんさ会社かいしゃに送おくるということです。このシステムではＰＣＲ検査けんさだけでなく、入院にゅういん先さきの振り分ふりわけも行おこなわれます。

陽性ようせいの場合ばあい、症状しょうじょうの重おもさに応おうじて大だい規模きぼ病院びょういん、中規模ちゅうきぼ病院びょういんなどに入院にゅういん先さきを振り分ふりわけ、それよりも症状しょうじょうが軽かるいと、都とが用意よういしたホテルに滞在たいざいするか自宅じたく療養りょうようとなります。

病院びょういんごとに役割やくわり分担ぶんたんすることで、大だい規模きぼな病院びょういんでは重症じゅうしょう患者かんじゃの治療ちりょうに専念せんねんできるメリットがあり、近ちかく運用うんようが始はじまるということです。

日本にっぽん感染かんせん症しょう学会がっかい「まん延まんえん期きに入はいる 仕組しくみ整ととのえる必要ひつよう」

ＰＣＲ検査けんさを行おこなう態勢たいせいについて、日本にっぽん感染かんせん症しょう学会がっかい理事りじ長ちょうで東邦とうほう大学だいがくの舘田たてだ一博かずひろ教授きょうじゅは「現在げんざい、国内こくないの感染かんせんはまん延まんえん期きに入はいっていて、一般いっぱんの医療いりょう機関きかんでも医師いしが必要ひつようだと判断はんだんすれば民間みんかんの検査けんさ会社かいしゃなども利用りようしながら検査けんさできる態勢たいせいを整ととのえることが重要じゅうようだ。検体けんたいを採取さいしゅするときには感染かんせんのリスクがあるため、感染かんせんを防護ぼうごする資材しざいを確保かくほするなど、対策たいさくを取とったうえで訓練くんれんを受うけた人ひとが効率こうりつよく対応たいおうする仕組しくみを整ととのえる必要ひつようがある」と話はなしています。

民間みんかんの検査けんさ会社かいしゃ 「数かずが急増きゅうぞうすると対応たいおう難むずかしくなる」

ＰＣＲ検査けんさを行おこなう民間みんかんの検査けんさ会社かいしゃからは検査けんさ数すうが急増きゅうぞうすると対応たいおうが難むずかしいなどの声こえもあがっています。

このうちの１いち社しゃは、「現在げんざいは対応たいおうできているが、検査けんさ数すうが急増きゅうぞうすると対応たいおうが難むずかしくなる。検査けんさ態勢たいせいを増強ぞうきょうするには場所ばしょや専門せんもん性せいを持もった人材じんざいも必要ひつようで、そう簡単かんたんにはできない」と話はなしていました。

また、別べつの会社かいしゃは「検査けんさに必要ひつような試薬しやくなどの確保かくほに数すう週間しゅうかんかかるため、急きゅうに増ふえると対応たいおうできない可能かのう性せいがある」と話はなしていました。