新型しんがたコロナの発生はっせい源げんは？ 真相しんそう究明きゅうめい求もとめる声こえ 世界せかいで広ひろがる

新型しんがたコロナウイルスをめぐり、アメリカでは一部いちぶのメディアが、ウイルスは湖北こほく省しょう武漢ぶかんの研究けんきゅう施設しせつから広ひろまった可能かのう性せいがあると報ほうじました。

これについてトランプ大統領だいとうりょうは、政府せいふとして調査ちょうさを進すすめていることを明あきらかにしたのに続つづいて、ポンペイオ国務こくむ長官ちょうかんもウイルスなどが適切てきせつに管理かんりされているか確たしかめるため、武漢ぶかんの研究けんきゅう施設しせつなどを公開こうかいするよう求もとめました。

23日にちに記者きしゃ会見かいけんしたオーストラリアのモリソン首相しゅしょうは、新型しんがたコロナウイルスが感染かんせん拡大かくだいしていることについて、「何なにが起おこったかを調しらべる独立どくりつした調査ちょうさが必要ひつようだ」と述のべ、ウイルスの発生はっせい源げんや感染かんせんが拡大かくだいした背景はいけいなどを調査ちょうさする必要ひつよう性せいを強調きょうちょうしました。

そのうえで、「ＷＨＯだぶりゅ-えいちお-＝世界せかい保健ほけん機関きかんのような組織そしきに加盟かめいする場合ばあいは、それに伴ともなう責任せきにんと義務ぎむがあるはずだ」と述のべ、中国ちゅうごくをはじめＷＨＯだぶりゅ-えいちお-の加盟かめい国こくは、この調査ちょうさに協力きょうりょくするべきだという考かんがえも示しめしました。

モリソン首相しゅしょうは22日にちまでに、アメリカやフランス、それに、ドイツの首脳しゅのうと電話でんわ会談かいだんを行おこなっていて、調査ちょうさへの理解りかいを求もとめたものとみられます。

中国ちゅうごくに透明とうめい性せい求もとめる声こえ 欧州おうしゅう

新型しんがたコロナウイルスの発生はっせい源げんを巡めぐり、ヨーロッパの国々くにぐにからは、中国ちゅうごくの対応たいおうについて透明とうめい性せいを求もとめる声こえがあがっています。

ドイツのメルケル首相しゅしょうは20日にち、記者きしゃ団だんに対にたいし、「新型しんがたコロナウイルスの発生はっせい源げんについて、中国ちゅうごくの透明とうめい性せいが高たかまれば高たかまるほど、世界せかいの皆みなが教訓きょうくんを学まなぶことができる」と述のべ、中国ちゅうごくに対にたいして透明とうめい性せいのある対応たいおうを求もとめました。

また、イギリスのラーブ外相がいしょうは「世界せかい的てきな大だい流行りゅうこうがどのようにして起おきたのか、防ふせぐことができたのかどうか、中国ちゅうごくは厳きびしい質問しつもんに答こたえなければならなくなる」と述のべ、情報じょうほうを隠かくさず公開こうかいするよう求もとめました。

中国ちゅうごく「独立どくりつ調査ちょうさは国際こくさい協力きょうりょくを妨害ぼうがい」

オーストラリアのモリソン首相しゅしょうが新型しんがたコロナウイルスの発生はっせい源げんなどを調しらべるため、独立どくりつした調査ちょうさが必要ひつようだという考かんがえを示しめしたことについて、中国ちゅうごく外務省がいむしょうの耿爽報道ほうどう官かんは、23日にちの記者きしゃ会見かいけんで「オーストラリアが提起ていきしたいわゆる独立どくりつ調査ちょうさは政治せいじをもてあそび、感染かんせん防止ぼうしのための国際こくさい協力きょうりょくを妨害ぼうがいするもので、支持しじは得えられない」と述のべ、強つよく反発はんぱつしました。

また、耿報道ほうどう官かんはアメリカのポンペイオ国務こくむ長官ちょうかんがウイルスへの対応たいおうをめぐって中国ちゅうごく政府せいふを批判ひはんし、武漢ぶかんの研究けんきゅう施設しせつなどを公開こうかいするよう求もとめたことについて、「アメリカの政治せいじ家かはみずからの失敗しっぱいをよそのせいにして責任せきにんを逃のがれようとしているが、アメリカ国内こくないの感染かんせん状況じょうきょうの改善かいぜんや国際こくさい協力きょうりょくに役立やくだたない」と述のべました。

発生はっせい源げん 「武漢ぶかん説せつ」とは

アメリカでは、新型しんがたコロナウイルスの発生はっせい源げんをめぐる議論ぎろんが高たかまっています。

発生はっせい源げんについては、これまで中国ちゅうごく湖北こほく省しょうの武漢ぶかんにある海鮮かいせん市場しじょうが指摘してきされてきましたが、このウイルスを体内たいないに持もつとみられるコウモリが売買ばいばいされていた痕跡こんせきがなく、最もっとも早はやく発症はっしょうしたとされる患者かんじゃが海鮮かいせん市場しじょうを訪おとずれていないという情報じょうほうもあることから、発生はっせい源げんでないのではないかという見方みかたが出でています。

その一方いっぽうで、発生はっせい源げんの可能かのう性せいとしてアメリカのメディアが指摘してきし始はじめているのが、武漢ぶかんにある中国ちゅうごく科学かがく院いん武漢ぶかんウイルス研究所けんきゅうじょと、武漢ぶかん市し疾病しっぺい予防よぼうコントロールセンターの研究けんきゅう施設しせつです。

アメリカのメディアは、研究けんきゅう施設しせつでウイルスが人工じんこう的てきに作つくられた可能かのう性せいは極きわめて低ひくいものの、これらの２ふたつの研究けんきゅう施設しせつでは、研究けんきゅう員いんがコウモリを捕獲ほかくし、コロナウイルスについて研究けんきゅうしてきたことから、何なんらかの理由りゆうでコウモリから人ひとに感染かんせんした可能かのう性せいが排除はいじょできないと伝つたえています。

このうち、中国ちゅうごく科学かがく院いん武漢ぶかんウイルス研究所けんきゅうじょは、アメリカ政府せいふも370万まんドルの資金しきんを提供ていきょうし、ウイルスの研究けんきゅうが進すすめられてきた施設しせつで、中なかでも女性じょせい研究けんきゅう者しゃの石いし正せい麗うらら氏しはコウモリのコロナウイルスの研究けんきゅうで著名ちょめいな存在そんざいです。

アメリカの新聞しんぶんワシントンポストは、この研究所けんきゅうじょを２に年ねん前まえに視察しさつしたアメリカの外交がいこう官かんが当時とうじ、コロナウイルスの研究けんきゅうの危険きけん性せいとともに、研究所けんきゅうじょの安全あんぜん面めんの体制たいせいが不十分ふじゅうぶんだと警告けいこくする公電こうでんを送おくっていたと伝つたえています。

また、武漢ぶかん市し疾病しっぺい予防よぼうコントロールセンターの研究けんきゅう施設しせつも同様どうようにコウモリのコロナウイルスを研究けんきゅうしてきた施設しせつで、発生はっせい源げんとしてこれまで疑うたがわれてきた海鮮かいせん市場しじょうに極きわめて近ちかい場所ばしょにあります。

動画どうが投稿とうこうサイトには、この研究けんきゅう施設しせつの田た俊しゅん華はな研究けんきゅう員いんが洞窟どうくつでコウモリを捕獲ほかくし、検体けんたいを採取さいしゅする様子ようすを描えがいた、中国ちゅうごくで制作せいさくされたドキュメンタリーとみられる動画どうがも投稿とうこうされていますが、アメリカの新聞しんぶんワシントン・タイムズやワシントン・ポストは、田た研究けんきゅう員いんの捕獲ほかくの方法ほうほうが安全あんぜん性せいに欠かけるなどと伝つたえています。

ただ、これらの研究けんきゅう施設しせつについても海鮮かいせん市場しじょうと同おなじく、新型しんがたコロナウイルスの発生はっせい源げんであるという具体ぐたい的てきな証拠しょうこはありません。

トランプ大統領だいとうりょうは、政府せいふとして調査ちょうさしていることを明あきらかにする一方いっぽう、アメリカ政府せいふは、情報じょうほうが限かぎられているとして、中国ちゅうごく政府せいふに対にたいして研究けんきゅう施設しせつの情報じょうほうを国際こくさい社会しゃかいと共有きょうゆうするよう求もとめています。

これに対にたいし、中国ちゅうごく政府せいふは、これらの研究けんきゅう施設しせつからウイルスが広ひろがった可能かのう性せいを否定ひていしています。

武漢ぶかんのウイルス研究所けんきゅうじょとは

「中国ちゅうごく科学かがく院いん武漢ぶかんウイルス研究所けんきゅうじょ」は、中国ちゅうごく政府せいふが設立せつりつしたウイルスの研究けんきゅう機関きかんで、研究所けんきゅうじょのホームページでは、「中国ちゅうごくで初はじめて正式せいしきに運用うんようを開始かいししたバイオセーフティーレベル４よんの実験じっけん室しつがあり、国家こっか級きゅうのウイルスと細菌さいきんの保存ほぞんセンターがある」と説明せつめいしているほか、「中国ちゅうごくで唯一ゆいいつのウイルス標本ひょうほんの展示てんじ館かん」が設もうけられているとしています。

バイオセーフティーレベル４よんの指定していを受うけた施設しせつでは、エボラウイルスなど危険きけん性せいが特とくに高たかい病原びょうげん体たいを取り扱とりあつかうことができ、研究所けんきゅうじょではおととし正式せいしきに稼働かどうしました。

研究所けんきゅうじょは、ことし１月いちがつ下旬げじゅん、新型しんがたコロナウイルスはコウモリから検出けんしゅつされたウイルスと遺伝子いでんしの配列はいれつが96％の割合わりあいで一致いっちするという分析ぶんせき結果けっかを発表はっぴょうしています。

当初とうしょ、多おおくの感染かんせん者しゃが見みつかった海鮮かいせん市場しじょうから直線ちょくせんでおよそ12キロの距離きょりにあります。

一方いっぽう、「武漢ぶかん市し疾病しっぺい予防よぼうコントロールセンター」の研究けんきゅう施設しせつは、ホームページでは「感染かんせん病びょうの病原びょうげん体たいをいち早いちはやく明あきらかにすることや検査けんさ技術ぎじゅつの研究けんきゅうを行おこなっている」などと説明せつめいしています。

中国ちゅうごくの国営こくえいメディアは、ことし２月にがつ、「バイオセーフティーレベル２にの立ち入たちいり厳禁げんきんの実験じっけん室しつで、現在げんざい、24時間じかん体制たいせいで新型しんがたコロナウイルスの検体けんたいの検査けんさを行おこなっている」と伝つたえています。

インターネット上じょうには、田た俊しゅん華はな研究けんきゅう員いんが野生やせいのコウモリを捕つかまえるドキュメンタリーが投稿とうこうされているほか、地元じもとメディアには2017年ねんに、「コウモリの血ちが何なん度ども皮膚ひふにかかったことがある」などと体験たいけん談だんを語かたっています。

この研究けんきゅう施設しせつは、海鮮かいせん市場しじょうからは直線ちょくせんでわずか300メートルの距離きょりにあります。

ことし２月にがつ、広東かんとん省しょうの華南かなん理工りこう大学だいがくの肖あやか波涛はとう教授きょうじゅは論文ろんぶんを発表はっぴょうし、武漢ぶかんウイルス研究所けんきゅうじょか、最初さいしょに患者かんじゃが集中しゅうちゅうした海鮮かいせん市場しじょうのすぐ近ちかくにある武漢ぶかん市し疾病しっぺい予防よぼうコントロールセンターからウイルスが漏もれた可能かのう性せいを指摘してきしましたが、この論文ろんぶんは現在げんざい、削除さくじょされています。

アメリカのメディアが、武漢ぶかんの研究けんきゅう施設しせつからウイルスが広ひろまった可能かのう性せいがあるなどと伝つたえたことについて、中国ちゅうごく科学かがく院いん武漢ぶかんウイルス研究所けんきゅうじょの袁志明しめい研究けんきゅう員いんは、中国ちゅうごくの国営こくえいメディアに対にたいし「このウイルスは絶対ぜったいにわれわれのところから漏もれ出でたものではない。研究所けんきゅうじょには厳格げんかくな管理かんり制度せいどがある」と述のべて、強つよく否定ひていしています。