学費がくひ減免げんめんなど求もとめる署名しょめい活動かつどう 160大学だいがくに広ひろがる 新型しんがたコロナ

こうした中なか、大学生だいがくせいが授業じゅぎょう料りょうの減免げんめんやオンライン授業じゅぎょうの導入どうにゅうに伴ともなう負担ふたん補助ほじょなどを求もとめるインターネット上じょうの署名しょめい活動かつどうが広ひろがっていて、29日にちの時点じてんで全国ぜんこくの160以上いじょうの大学だいがくで署名しょめい活動かつどうが行おこなわれていることがＮＨＫえぬえいちけいの調しらべで分わかりました。

署名しょめい活動かつどうを行おこなっている埼玉さいたま県内けんないの大学だいがく４よん年生ねんせいは「母子ぼし家庭かていで、奨学しょうがく金きんとアルバイト収入しゅうにゅうで学費がくひや生活せいかつ費ひを賄まかなってきたが、収入しゅうにゅうがなくなり後期こうきの学費がくひは払はらえないかもしれない。このままでは大学だいがくを辞やめてしまう人ひとも出でてくると思おもうので声こえを上あげなければならない」と話はなしています。

こうした状況じょうきょうを受うけて文部もんぶ科学かがく省しょうは給付きゅうふ型がたの奨学しょうがく金きんが支給しきゅうされる「修学しゅうがく支援しえん制度せいど」の活用かつようを呼よびかけるとともに、大学だいがくに対にたいしても授業じゅぎょう料りょうの納付のうふ期限きげんの延長えんちょうや減免げんめんなどに配慮はいりょするよう求もとめています。

一方いっぽう、大学だいがく側がわが独自どくじの給付きゅうふ金きんを支給しきゅうするなどして学生がくせいを支援しえんする動うごきも出でていますが、私立しりつ大学だいがくは収入しゅうにゅう全体ぜんたいの８はち割わり近ちかくを授業じゅぎょう料りょうなど学生がくせいからの納付のうふ金きんが占しめていて、学費がくひの減免げんめんについては大学だいがく運営うんえいが圧迫あっぱくされるとして消極しょうきょく的てきな大学だいがくも多おおいということです。

大学だいがくの学費がくひの問題もんだいに詳くわしい桜美林おうびりん大学だいがくの小林こばやし雅之まさゆき教授きょうじゅは「日本にっぽんの高等こうとう教育きょういくへの公費こうひ負担ふたんは国際こくさい的てきにも低ひくく、国くにの支援しえんの対象たいしょうにならない中間ちゅうかん層そうの学生がくせいも厳きびしい状況じょうきょうに追い込おいこまれている。このままでは新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで未来みらいを奪うばわれる若者わかものが続出ぞくしゅつしかねず、大学だいがく任まかせにするのではなく国くにや自治体じちたいによる支援しえんをさらに拡充かくじゅうすべきだ」と指摘してきしています。

「食費しょくひは１いち日にち500円えん以内いないに」それでも…

浜松はままつ市しの大学だいがくに通かよう米田よねだ凌りょうさん（22）は、母子ぼし家庭かていで育そだち、親おやからの仕送しおくりの５ご万まん円えんとアルバイトで稼かせぐ月つき７なな万まん円えんほどを家賃やちんや生活せいかつ費ひに充あててきました。

しかし、ことし２月にがつからアルバイト先さきの居酒屋いざかやの仕事しごとが減へりはじめ、先月せんげつの仕事しごとはわずか２に日にち、収入しゅうにゅうは２に万まん円えんに減へりました。

さらに今月こんげつからはアルバイト先さきが休業きゅうぎょうとなり、収入しゅうにゅうはゼロになりましたが、休業きゅうぎょう手当てあてなどは支払しはらわれていません。

このため現在げんざいは、食費しょくひを１いち日にち500円えん以内いないに切り詰きりつめ即席そくせきラーメンやレトルト食品しょくひんばかり食たべているといいます。

米田よねださんは来年らいねん、大学院だいがくいんへの進学しんがくを希望きぼうしていますが、母親ははおやには、これ以上いじょうの負担ふたんはかけられないと考かんがえていて、このままアルバイト収入しゅうにゅうがない状態じょうたいが続つづけば入学にゅうがく金きんを払はらえず、進学しんがくをあきらめざるを得えないと感かんじています。

米田よねださんは、「アルバイトで生活せいかつ費ひや大学院だいがくいんの進学しんがく費用ひようを稼かせごうと思おもっていましたが、お金おかねのやりくりが出来できなくなってしまうと親おやに頼たよりきりの状態じょうたいになってしまいます。大学院だいがくいんへの進学しんがくは諦あきらめたくはないですが、今いまよりもひどい状況じょうきょうになったら生いきていくために就職しゅうしょくするしかありません」と話はなしていました。

アンケートには学生がくせいからの悲痛ひつうな声こえ

学生がくせい団体だんたいには経済けいざい的てきに困窮こんきゅうする大学生だいがくせいなどから悲痛ひつうな声こえが相次あいついで寄よせられています。

学費がくひや奨学しょうがく金きん制度せいどの改善かいぜんを目指めざす学生がくせい団体だんたい、「高等こうとう教育きょういく無償むしょう化かプロジェクトＦＲＥＥ」が大学生だいがくせいなどを対象たいしょうに行いったアンケートには、今月こんげつ９きゅう日にちからおとといにかけて全国ぜんこくの1200人にんから回答かいとうがあり、「アルバイトの収入しゅうにゅうが減へった」または「ゼロになった」と回答かいとうした人ひとが68％、「親おやの収入しゅうにゅうが減へった」または「ゼロになった」と回答かいとうした人ひとが54％に上のぼりました。

そして、「収入しゅうにゅう減げんによって退学たいがくを検討けんとうしている」と回答かいとうした学生がくせいは全体ぜんたいの20％に上のぼり、「大学だいがくをやめることにした」と回答かいとうした学生がくせいも２に人にんいたということです。

アンケートにはアルバイト収入しゅうにゅうの減少げんしょうによって学費がくひの支払しはらいに苦くるしむ学生がくせいの声こえが記しるされています。

（私立しりつ大学だいがく２に年生ねんせい）

「親おやの収入しゅうにゅうも減へり私わたしも働はたらけない。学費がくひなどが払はらえず借金しゃっきんが膨ふくらむくらいなら大学だいがくをやめたい」

（国立こくりつ大学だいがく１いち年生ねんせい）

「県けん外がいで１いち人にん暮くらしのため家賃やちんや食費しょくひの仕送しおくり、学費がくひ負担ふたんを考かんがえると大学だいがく生活せいかつを続つづけることは無理むりかもしれない」

また多おおくの大学だいがくが新しん学期がっきから導入どうにゅうするオンライン授業じゅぎょうについても、30％の学生がくせいが「パソコンなどの環境かんきょう整備せいびによって経済けいざい負担ふたんが増ふえる」と回答かいとうしたほか、41％が「オンライン授業じゅぎょうを落ち着おちついて受講じゅこうできる環境かんきょうがない」と回答かいとうしたということです。

そして国くにや大学だいがくに経済けいざい的てきな支援しえんを求もとめる声こえも相次あいついでいます。

（私立しりつ大学生だいがくせい）

「このまま学業がくぎょうを続つづけるためにも大学だいがく授業じゅぎょう料りょうの政府せいふ支援しえんや奨学しょうがく金きんを無む利子りしにしてほしい」

（国立こくりつ大学生だいがくせい）

「学費がくひの減免げんめん措置そち。遠隔えんかく授業じゅぎょう受講じゅこう環境かんきょうを構築こうちくする事ことへの援助えんじょ」

（国立こくりつ大学生だいがくせい）

「学費がくひ減免げんめんを必要ひつようとしているのは収入しゅうにゅうが激減げきげんした家庭かていだけではありません。元々もともとギリギリのところでやりくりしている家庭かていでは少すこしの収入しゅうにゅう減げんでも大学だいがくで学まなぶことが難むずかしくなりかねません」

ネット上じょうの署名しょめい活動かつどうでは「大学だいがくだけでなく 国くににも支援しえんを」

インターネット上じょうで広ひろがる大学生だいがくせいの署名しょめい活動かつどう。28日にちは16の大学だいがくの学生がくせいによるオンライン会議かいぎが行おこなわれ、集あつめた署名しょめいを確実かくじつに大学だいがくに届とどける方法ほうほうなどについて情報じょうほう交換こうかんしていました。

学生がくせいによりますと署名しょめいを届とどけたあと、大学だいがく側がわが独自どくじの給付きゅうふ金きん制度せいどの導入どうにゅうを決きめたケースもあるということですが、学費がくひの免除めんじょや減額げんがくについては大学だいがく運営うんえいが圧迫あっぱくされるとして消極しょうきょく的てきな大学だいがくが多おおいということです。

会議かいぎでは「私わたしたち学生がくせいは大学だいがくにしか窮状きゅうじょうを訴うったえることが出来できないが、大学だいがくと対立たいりつしても前まえに進すすまない」とか「大学だいがくだけで出来できることも限かぎられているので、国くににも支援しえんを求もとめるようお願おねがいしたらどうか」という意見いけんが出でていました。

また多おおくの大学だいがくが導入どうにゅうするオンライン授業じゅぎょうについても「大学だいがくからパソコンを買かうように言いわれたがアルバイト出来できないのでお金おかねがない」とか「Ｗｉ－Ｆｉの契約けいやくにもお金おかねがかかるので大学だいがくが貸し出かしだしをして欲ほしい」という声こえが上あがっていました。

私学しがく経営けいえい厳きびしく 学生がくせいはアルバイト収入しゅうにゅうに依存いぞん

文部もんぶ科学かがく省しょうによりますと私立しりつ大学だいがくは少子しょうし化かの影響えいきょうなどで全国ぜんこくの４よん割わりの大学だいがくで収支しゅうしが赤字あかじになるなど経営けいえい状況じょうきょうが厳きびしくなっています。私立しりつ大学だいがくでは授業じゅぎょう料りょうなどの学生がくせいからの納付のうふ金きんが収入しゅうにゅう全体ぜんたいに占しめる割合わりあいが77％に上のぼり、年間ねんかんの授業じゅぎょう料りょうも年々ねんねん増ふえています。2018年度ねんどの授業じゅぎょう料りょうは私立しりつ大学だいがくで平均へいきんおよそ90万まん円えん、国立こくりつ大学だいがくでおよそ53万まん円えんとなり、いずれも30年ねん前まえの1.6倍ばいになりました。

一方いっぽう、大学生だいがくせいの生活せいかつ環境かんきょうは家庭かてい収入しゅうにゅうの減少げんしょうや学費がくひの値上ねあげなどを背景はいけいに年々ねんねん厳きびしくなっていて、学生がくせい団体だんたいが行おこなったアンケートでは回答かいとうした8700人にんのうち５ご割わりの学生がくせいがアルバイト収入しゅうにゅうを生活せいかつ費ひに充あてていると回答かいとうしています。