行き場いきばのない高齢こうれい者しゃ 「お泊とまりデイ」長期ちょうき利用りようの実態じったい明あきらかに

この調査ちょうさは東京とうきょう都と社会しゃかい福祉ふくし協議きょうぎ会かいが去年きょねん、都内とないにある449の地域ちいき包括ほうかつ支援しえんセンターに調査ちょうさを行おこない、およそ半数はんすうの226から回答かいとうがありました。

それによりますと、病気びょうきや介護かいごをする家族かぞくがいないなどの理由りゆうで自宅じたくで暮くらせない高齢こうれい者しゃの受け入うけいれ先さきとして介護かいご施設しせつに一時いちじ的てきに宿泊しゅくはくできる「お泊とまりデイ」と呼よばれるサービスや、「ショートステイ」などを長期間ちょうきかん、利用りようしたことがあると回答かいとうしたのは78か所かしょで35％に上のぼりました。

「お泊とまりデイ」は介護かいごをする家族かぞくが病気びょうきになった時ときなどに使つかわれるもので、国くにのガイドラインでは緊急きんきゅう時じや短期たんき的てきな利用りように限かぎるとしています。しかし特別とくべつ養護ようご老人ろうじんホームの空あきがないことなどから同おなじ介護かいご施設しせつに半年はんとし以上いじょう滞在たいざいしたり、複数ふくすうの施設しせつを転々てんてんとしたりするケースも出でています。

短期たんき的てきな介護かいごサービスであるのに受け入うけいれ先さきの見みつからない高齢こうれい者しゃが長期間ちょうきかん、利用りようしている実態じったいが明あきらかになったということです。

調査ちょうさに協力きょうりょくした淑徳しゅくとく大学だいがくの結城ゆうき康博やすひろ教授きょうじゅは「１いち人にん暮くらしで介護かいごが難むずかしい高齢こうれい者しゃは増ふえている一方いっぽう、こうした人ひとたちの受け入うけいれ先さきが十分じゅうぶんになく、やむをえず『お泊とまりデイ』などで対応たいおうしている。早急そうきゅうな対策たいさくが必要ひつようだ」と話はなしています。

「お泊とまりデイ」長期ちょうき化かの現場げんばは

東京とうきょう・足立あだち区くにある介護かいご施設しせつ「桜花おうか乃郷さと」は、日にち中ちゅうは食事しょくじや入浴にゅうよくなどのサービスを提供ていきょうし、夕方ゆうがたからは一時いちじ的てきに宿泊しゅくはくできる「お泊とまりデイ」を行おこなっています。

「お泊とまりデイ」は介護かいごをする家族かぞくが病気びょうきや外出がいしゅつするときなど、高齢こうれい者しゃの夜間やかんの受け入うけいれ先さきとして利用りようされるサービスです。しかし最近さいきんでは介護かいごをする家族かぞくがいないなどの理由りゆうで自宅じたくで暮くらせない高齢こうれい者しゃが長期間ちょうきかん、介護かいご施設しせつに滞在たいざいするケースが増ふえているといいます。

このうち地域ちいき包括ほうかつ支援しえんセンターからの要請ようせいで緊急きんきゅう的てきに受け入うけいれた80代だいの女性じょせいは、認知にんち症しょうの症状しょうじょうが悪化あっかして、同居どうきょしていた家族かぞくが介護かいごをすることが難むずかしくなり、「お泊とまりデイ」を利用りようしています。

現在げんざい、特別とくべつ養護ようご老人ろうじんホームへの入所にゅうしょ待まちをしていますが、受け入うけいれ先さきが見みつかないため女性じょせいの滞在たいざい期間きかんは半年はんとしを超こえています。この介護かいご施設しせつでは「お泊とまりデイ」の定員ていいん９きゅう人にんのうち、１いちか月かげつ以上いじょう滞在たいざいしている高齢こうれい者しゃは取材しゅざいした今月こんげつ22日にち時点じてんでは２に人にん、多おおいときでは４よん人にんや５ご人にんとなることもあるということです。

施設しせつの統括とうかつ責任せきにん者しゃを務つとめる角田つのだ裕ひろしさんは「老ろう老ろう介護かいごで一方いっぽうの高齢こうれい者しゃが入院にゅういんしたり、１いち人にん暮くらしで病気びょうきで生活せいかつできなくなったりして、突然とつぜん、施設しせつにやってきて滞在たいざいが長期ちょうき化かするケースが相次あいついでいます。なんとか支援しえんを続つづけていきたい反面はんめん、今いまのままでは本来ほんらいのお泊とまりデイとしてのサービスを利用りようしたい人ひとが利用りようできない事態じたいになってしまうおそれもあるのでもどかしい気持きもちです」と話はなしていました。

お泊とまりデイに頼たよらざるをえない現状げんじょうも

「足立あだち区く地域ちいき包括ほうかつ支援しえんセンター千住せんじゅ西にし」の久保くぼ谷たに美恵子みえこセンター長ちょうは、「特別とくべつ養護ようご老人ろうじんホームは順番じゅんばんがまわってくるまでに年月としつきを要ようするほか、身寄みよりがない場合ばあいは入所にゅうしょの際さいに求もとめられる身元みもと保証ほしょう人じんが立たてられないなどの理由りゆうから『お泊とまりデイ』や『ショートステイ』をやむをえずに長期ちょうき利用りようすることがあります。食事しょくじや排はいせつ、入浴にゅうよくなど誰だれかが在宅ざいたくでの介護かいごを担になうことができれば、問題もんだいは解消かいしょうできますが、そうでなければ緊急きんきゅう的てきに受け入うけいれてもらえる施設しせつに頼たよらざるをえない」と話はなしていました。

また今回こんかいの調査ちょうさの中なかでは地域ちいき包括ほうかつ支援しえんセンターの職員しょくいんから「施設しせつをつないで空あきを待まつしかない」、「セーフティネットとしてお泊とまりデイなどが必要ひつようだ」といった意見いけんも出でています。