ことしの東京大学の入学式で、名誉教授で社会学者の上野千鶴子さんが、「大学に入る時点で隠れた性差別が始まっている。東京大学も例外ではない」などと女性差別に触れたうえで、大学で学ぶ意義について述べた祝辞について、ネット上では賛否の声が広がるなど大きな関心を集めました。
これについて東大の学生が編集する東京大学新聞社は、今月10日にかけてホームページ上などでアンケートを行い、東大生603人を含む4921人から回答を得ました。
このうち東大生で、祝辞を「たいへん評価する」「評価する」としたのは61.7%、「評価しない」「まったく評価しない」と答えたのは25.7%でした。
自由記述では「見えにくいジェンダーの話をしたことは意義がある」「東大生に性について考えさせ知を深めさせた」といった意見が寄せられた一方、入学生が祝われるべき祝辞としては評価できないといった声や、合コンで東大の男子学生がもてるというのは必ずしも正しくないのではないか、といった指摘もあったということです。
アンケートでは、東大生以外の4300人余りも同じ質問に答えていて、「評価する」と答えた人は東大生より多い87.5%、「評価しない」とした人は8.6%となっています。自由記述では、「女性が向上心を持って行動すればするほど壁が高くやる気をなくす経験を代弁してもらった」など、社会人の女性を中心に共感する声が寄せられているということです。
東京大学新聞社編集部の山口岳大さんは「想定より多くの人にアンケートに答えてもらった。性差別などの問題が回答者1人ひとりにとって、また日本にとっても切実だということを物語っているのではないか」と話しています。