最高さいこう血圧けつあつ130未満みまんに 目標もくひょう引き下ひきさげ 日本にっぽん高だか血圧けつあつ学会がっかい

日本にっぽん高だか血圧けつあつ学会がっかいはガイドラインで、高こう血圧けつあつと診断しんだんして治療ちりょうを開始かいしする基準きじゅんの値ねを最高さいこう血圧けつあつ140以上いじょう、最低さいてい血圧けつあつ90以上いじょうと定さだめていて、治療ちりょう中ちゅうの患者かんじゃは国民こくみんのおよそ５ご人にんに１いち人にんに当にあたる2400万まん人にんいるとされています。

こうした中なか、日本にっぽん高だか血圧けつあつ学会がっかいは、治療ちりょうを始はじめた患者かんじゃが目標もくひょうとする血圧けつあつの値ねを引き下ひきさげる治療ちりょうのガイドラインの改定かいていを行おこないました。

75歳さい未満みまんの成人せいじんの患者かんじゃでは、目標もくひょうとする血圧けつあつの値ねを最高さいこう血圧けつあつ130未満みまん、最低さいてい血圧けつあつ80未満みまんと、いずれもこれまでより10ずつ引き下ひきさげました。

また75歳さい以上いじょうの患者かんじゃでは、最高さいこう血圧けつあつを140未満みまんとこれまでよりも10引き下ひきさげ、最低さいてい血圧けつあつはこれまでと変かえず90未満みまんとしました。

学会がっかいによりますと、これにより脳卒中のうそっちゅうや心臓しんぞう病びょうを発症はっしょうするリスクは10％から20％余あまり下さがるということです。

これまでのガイドラインでは、治療ちりょうの目標もくひょう値ちを達成たっせいしていた500万まん人にん程度ていどが目標もくひょう値ちに達たっしていないことになり、今回こんかいの改定かいていで血圧けつあつを目標もくひょう値ちに下さげる治療ちりょうが必要ひつような患者かんじゃは合あわせておよそ1700万まん人にんに上のぼるとみられています。

高こう血圧けつあつの治療ちりょうは食事しょくじや運動うんどうなど生活せいかつ習慣しゅうかんの改善かいぜんを行おこないますが、十分じゅうぶんに下さがらない場合ばあいには血圧けつあつを下さげる薬くすりが処方しょほうされています。

日本にっぽん高だか血圧けつあつ学会がっかいの伊藤いとう裕ひろし理事りじ長ちょうは「今回こんかいの改定かいていは、生死せいしに関かかわる重大じゅうだいな病気びょうきのリスクを下さげることにつながる」と話はなしています。

引き下ひきさげの背景はいけいは

高こう血圧けつあつが原因げんいんとみられる脳卒中のうそっちゅうや心臓しんぞう病びょうで死亡しぼうする人ひとは、年間ねんかんおよそ10万まん人にんに上のぼると推計すいけいされていて、血圧けつあつをどこまで下さげれば脳卒中のうそっちゅうや心臓しんぞう病びょうを発症はっしょうするリスクを抑おさえられるのか研究けんきゅうが進すすめられてきました。

日本にっぽん高だか血圧けつあつ学会がっかいによりますと、国内こくない外がいで行おこなわれた14の臨床りんしょう研究けんきゅうのデータを解析かいせきした結果けっか、高こう血圧けつあつの患者かんじゃが、最高さいこう血圧けつあつ140未満みまん、最低さいてい血圧けつあつ90未満みまんの場合ばあいと、それより10ずつ低ひくい最高さいこう血圧けつあつ130未満みまん、最低さいてい血圧けつあつ80未満みまんに下さげた場合ばあいでは、脳卒中のうそっちゅうの発症はっしょうリスクが22％、心臓しんぞう病びょうの発症はっしょうリスクが14％抑おさえられることがわかったということです。

ヨーロッパでは去年きょねん、今回こんかいの日本にっぽんと同おなじように治療ちりょうの目標もくひょう値ちを引き下ひきさげたほか、アメリカではおととし、高こう血圧けつあつの診断しんだん基準きじゅんを最高さいこう血圧けつあつ130以上いじょう、最低さいてい血圧けつあつ80以上いじょうに引き下ひきさげています。

日本にっぽん高だか血圧けつあつ学会がっかいの伊藤いとう裕ひろし理事りじ長ちょうは「血圧けつあつを従来じゅうらいの目標もくひょう値ちよりさらに下さげたほうが、生死せいしに関かかわる病気びょうきの発症はっしょうを抑おさえられることがわかってきた。多おおくの国くにが診断しんだん基準きじゅんや治療ちりょうの目標もくひょう値ちを引き下ひきさげる方向ほうこうになっている」と話はなしています。

また、学会がっかいは高こう血圧けつあつとして治療ちりょうが必要ひつような人ひとは国民こくみんのおよそ３さん人にんに１いち人にんにあたる4300万まん人にんいると試算しさんしていて、50歳さい代だいでは男性だんせいのおよそ６ろく割わり、女性じょせいのおよそ４よん割わり、70歳さい代だいでは男女だんじょともにおよそ７なな割わりにのぼるということです。

このうち、1900万まん人にんは治療ちりょうを受うけていないとみられていて、学会がっかいはこうした人ひとたちに治療ちりょうを届とどけることも課題かだいだとしています。

専門せんもん家か「生活せいかつ習慣しゅうかんの改善かいぜんが重要じゅうよう」

血圧けつあつを下さげる薬くすりには腎臓じんぞうなどに障害しょうがいが起おきる副作用ふくさようが報告ほうこくされているほか、薬くすりが効ききすぎて血圧けつあつが下さがりすぎるとふらついて転倒てんとうするなどのリスクがあることが指摘してきされていて、専門せんもん家かは生活せいかつ習慣しゅうかんの改善かいぜんで血圧けつあつを下さげることが重要じゅうようだと指摘してきしています。

高こう血圧けつあつなどの生活せいかつ習慣しゅうかん病びょうと予防よぼう医学いがくに詳くわしい新潟にいがた大学だいがく名誉めいよ教授きょうじゅの岡田おかだ正彦まさひこ医師いしは「高こう血圧けつあつの治療ちりょうは、できるだけ薬くすりに頼たよらず、減げん塩しおや運動うんどうといった生活せいかつ習慣しゅうかんの改善かいぜんを行おこなうことが重要じゅうようで、患者かんじゃさんも自宅じたくで習慣しゅうかん的てきに血圧けつあつを測はかり、血圧けつあつの上あがりすぎだけでなく下さがりすぎにも注意ちゅういしながら数値すうちを記録きろくして、医師いしと薬くすりの量りょうなどについて適切てきせつか相談そうだんしながら治療ちりょうを行おこなってほしい」と話はなしています。