トランプ大統領だいとうりょう イランへの報復ほうふく攻撃こうげき「10分ふん前まえに中止ちゅうし指示しじ」

トランプ大統領だいとうりょうは21日にち、ツイッターで、イランがアメリカの大型おおがたの無人むじん偵察ていさつ機きを撃墜げきついしたことの報復ほうふくとして、20日にち夜よるに３さんか所かしょへの攻撃こうげきを実際じっさいに予定よていしていたと明あきらかにしました。

そして「何なん人にんが死しぬかと聞きいたら、軍ぐんの高官こうかんからは150人にんとの回答かいとうがあったので空爆くうばくが始はじまる10分ふん前まえにやめさせた。無人むじん偵察ていさつ機きの撃墜げきついとは釣り合つりあいがとれないからだ」と投稿とうこうし、150人にんが死亡しぼうする可能かのう性せいがあると聞きいて、攻撃こうげきのわずか10分ふん前まえに中止ちゅうしを指示しじしたと明あきらかにしました。

また、トランプ大統領だいとうりょうは21日にち、サウジアラビアのムハンマド皇太子こうたいしと電話でんわ会談かいだんを行おこない、イランとの対立たいりつや石油せきゆ市場しじょうの安定あんていについて意見いけんを交かわしました。

今月こんげつ23日にちには、安全あんぜん保障ほしょう政策せいさくを担当たんとうするボルトン大統領だいとうりょう補佐ほさ官かんがイスラエルを訪おとずれネタニヤフ首相しゅしょうと会談かいだんする予定よていで、トランプ政権せいけんとしては中東ちゅうとうの主要しゅような同盟どうめい国こくと連携れんけいしながら、イランへの対応たいおうを検討けんとうするものとみられます。

ただ、こうした協議きょうぎが緊張きんちょう緩和かんわにつながるのかは不透明ふとうめいで、国際こくさい社会しゃかいでは軍事ぐんじ衝突しょうとつが起おきることへの懸念けねんが広ひろがっています。

メディアは疑問ぎもん視し 野党やとうは一定いってい評価ひょうか

トランプ大統領だいとうりょうが、イランへの攻撃こうげきの10分ふん前まえに150人にんが死亡しぼうする可能かのう性せいがあると聞きいて攻撃こうげき中止ちゅうしを判断はんだんしたと明あきらかにしたことについて、アメリカのメディアは大統領だいとうりょうの適格てきかく性せいを疑問ぎもん視しする専門せんもん家かなどの声こえを紹介しょうかいしています。

このうち、ニューヨーク・タイムズは「今回こんかいの出来事できごとは軍事ぐんじ対立たいりつに発展はってんする可能かのう性せいがある危機きき対応たいおうをめぐる、政権せいけんの決断けつだん力りょくのなさを示しめしている」と指摘してきしています。

また、ワシントン・ポストは「トランプ大統領だいとうりょうが一貫いっかんした外交がいこう戦略せんりゃくもなく攻撃こうげきを行おこなっていたら、イランとの対立たいりつをいたずらに高たかめたかもしれない」として、攻撃こうげきの影響えいきょうをどこまで検討けんとうしたうえで決断けつだんしたのか疑問ぎもんを呈ていしています。

こうした中なか、アメリカの野党やとう・民主党みんしゅとうのペロシ下院かいん議長ぎちょうは21日にち、記者きしゃ団だんに対にたいし「軍事ぐんじ攻撃こうげきがどこまで差し迫さしせまったもであったのかは知しらないが、攻撃こうげきするということは非常ひじょうに挑発ちょうはつ的てきであり、大統領だいとうりょうがその選択せんたくをしなくてよかった」と述のべ、トランプ大統領だいとうりょうが軍事ぐんじ攻撃こうげきに踏み切ふみきらなかったことについて一定いっていの評価ひょうかをしました。

そのうえで「軍事ぐんじ攻撃こうげきではない、数かずある選択肢せんたくしを大統領だいとうりょうに検討けんとうしてもらいたい。とにかく、ひと息ひといきついて緊張きんちょうを緩和かんわさせることが重要じゅうようだ」と述のべ、拙速せっそくな判断はんだんを避さけ、あくまで平和へいわ的てきな解決かいけつを目指めざすべきだと強調きょうちょうしました。

イラン情勢じょうせいめぐり安保理あんぽり会合かいごうへ

アメリカ政府せいふは、国連こくれんの安全あんぜん保障ほしょう理事りじ会かいにイラン情勢じょうせいをめぐって非公式ひこうしきの会合かいごうを開ひらくことを要請ようせいし、24日にち午後ごごに会合かいごうが開ひらかれることになりました。

会合かいごうでは、ホルムズ海峡かいきょうに近ちかい海域かいいきでタンカーが攻撃こうげきを受うけた事件じけんやイランの精鋭せいえい部隊ぶたい、革命かくめい防衛ぼうえい隊たいがアメリカ軍ぐんの大型おおがたの無人むじん偵察ていさつ機きを撃墜げきついしたことについて協議きょうぎが行おこなわれる見通みとおしです。

アメリカはこれまで、タンカーの攻撃こうげきにイランの革命かくめい防衛ぼうえい隊たいが関かかわったとする映像えいぞうを公開こうかいして、攻撃こうげきはイランによるものだと主張しゅちょうしていますが、国際こくさい社会しゃかいからは、証拠しょうこが不十分ふじゅうぶんで、どの国くにが関与かんよしたのかは慎重しんちょうに見極みきわめるべきだという意見いけんが出でています。

このため、アメリカのトランプ政権せいけんとしては安保理あんぽりの会合かいごうを通をつうじて各国かっこくの支持しじを取り付とりつけたいものとみられます。