大坂選手は第1セット、相手のネット際すれすれにボールを落とす、絶妙なドロップショットや弾みにくいスライスショットにリズムを崩されてミスを重ね、タイブレークの末6-7で落としました。
第2セットはラリーで積極的に前に出てネット際で素早い反応を見せてポイントを奪う場面もありましたが、粘り強いストロークを見せる相手に対してミスが続き2-6で落としました。
大坂選手は、セットカウント0対2のストレートで敗れ、初戦で敗退しました。
大坂選手が四大大会の初戦で敗れるのは、おととしの全仏オープン以来で、この大会後の世界1位復帰はなくなりました。
大坂「もう泣きそうだから この場から離れたい」
ウィンブルドン選手権で初戦敗退となった大坂なおみ選手は、試合後の記者会見で「きょうはもっといいプレーができたはずだと思っている。これまでどうやって試合を楽しむかを考えることがプレッシャーを和らげてくれたし、立ち直る鍵になっていた。今回も、そうやって立ち直ることができたらいいと思う」と話しました。
また、全豪オープンで優勝したあとの2月にサーシャ・バジンコーチから今のジャーメイン・ジェンキンスコーチに変更したことが今回の結果に影響しているか聞かれると「全く関係ないと思う」と答えていました。
大坂選手は記者会見で4分余り、質問に答えたあと「もう泣きそうだからこの場を離れたい」と話して席を立ち、会見を終えました。
持ち味生かせず
大坂なおみ選手は、ウィンブルドン選手権の芝のコートでみずからの持ち味を生かせず、また相手のショットへの対応にも苦しみ、初戦敗退となりました。
ウィンブルドン選手権が行われる芝のコートは球足の速さが特徴で、サーブを得意とする選手に有利とされます。
最高時速201キロを誇るサーブを持つ大坂選手にとってはその持ち味を生かせる大会で、大会前には「サーブが生きるコートなので、サーブに頼る必要が出てくる」と話していました。
1回戦のファーストサーブの成功率は73%と低くない数字でしたが、コースが偏り、粘り強くミスの少ないプレーが持ち味のユリア・プティンツェバ選手にサーブを読まれて着実にリターンを返される場面が続きました。
試合を通じてサーブを返された確率は76%と、去年のこの大会の初戦と比べておよそ10%も高い数字となり、持ち味のサーブを生かすことができていませんでした。
さらに苦しめられたのが精度の高い相手のスライスショットでした。
芝のコートではボールがより弾まず、スライスの有効性が高まります。
大坂選手は、大会を前にスライスへの対応に力を入れて取り組んできましたが、弾まないこのショットを持ち上げようとしてボールをアウトにしたりネットにかけたりして、流れを引き寄せられませんでした。
粘り強く丁寧な試合運びだったプティンツェバ選手とは対象的に、大坂選手は攻め急いでのミスが目立ちました。
この大会の女子シングルスでシードのトップ3の選手が初戦で敗れたのは、2015年以来、4年ぶりです。
全仏オープンでは、世界1位のプレッシャーにも苦しんで3回戦で敗れ、世界2位の今大会は「ランキングを守ることを気にせずただプレーすることを考えればよい」と臨んだ大会でしたが、初戦敗退となりました。