商業捕鯨のうち、沿岸での捕鯨は北海道の釧路港を拠点に行われ、和歌山県太地町の漁協が所有する捕鯨船「第七勝丸」も参加しています。
第七勝丸が水揚げしたミンククジラの肉の一部、66キロが太地町に届き、4日、漁協のそばにある施設で午前8時から競りが始まると、およそ10人の仲買人が、並べられた肉の品質を見極めながら次々に競り落としていきました。
仲買人の1人は「やっとこの日が来たかという感じです。商業捕鯨では血抜きなどの処理が素早くできるので、これまでの調査捕鯨の肉に比べて新鮮でおいしい。太地に行けば、いつでもおいしい鯨が食べられるようにしたい」と話していました。
太地町漁協の参事で、日本小型捕鯨協会の会長でもある貝良文さんは「自分たちの代で捕鯨をやめるわけにはいかないと頑張ってきて、ようやくここまで来た。おいしい鯨の肉を皆さんに食べてもらいたい」と話していました。
競り落とされた肉の一部は早速近くのスーパーで販売され、購入した地元の男性は「楽しみにしていました。家に帰って、これで一杯やりたいです」と話していました。
ベーコンに最高値 1キロ1万5000円 仙台
仙台市中央卸売市場でもミンククジラの肉の初競りが行われました。
部位ごとに切り分けられたおよそ260キロ分の鯨の肉が並び、仲卸業者が品定めをしたあと、競り人の掛け声に合わせて次々と競り落とされました。
中でも「ウネス」と呼ばれるベーコンなどに使われる部位の値段が最も高く、1キロ当たり1万5000円で競り落とされたということです。
鯨を捕獲した捕鯨会社の大壁孝之所長は「感無量の気持ちです。クジラ離れが進んでいるので、若い世代に新鮮な肉を食べてもらいたい」と話していました。
卸売会社の山口清一取締役は「よい価格帯で取り引きできました。今後も流通が拡大できるように努力していきたい」と話していました。
競り落とされた鯨の肉は宮城県内の飲食店などで提供されるということです。
早くも店頭に 鯨の丼が人気 釧路
釧路市内では、店頭で鯨の肉が販売されました。
釧路港を拠点にした小型の捕鯨船による商業捕鯨では、再開初日の今月1日にミンククジラ2頭が水揚げされ、釧路市内の店などでは4日から鯨の肉の販売が始まりました。
観光名所の「和商市場」にある鮮魚店では、赤身の肉や皮などが小分けにされて並べられました。
店には観光客らが訪れ、好みのネタを選んでごはんにのせる名物の「勝手丼」にして鯨を味わっていました。
東京から来た30代の男性は「新鮮で生臭さがなく、身も厚くてとてもおいしいです」と話していました。
鮮魚店の矢部守社長は「仕入れ価格は調査捕鯨の時よりも高めだったが、釧路では鯨の肉は昔から食べられてきたので、これからおいしくて安い肉が入ってくることを期待したい」と話していました。