今月1日、「食品ロス削減推進法」が施行され、ことしから10月30日は「食品ロス削減の日」として定められました。
消費者庁によりますと、国内の食品ロスは平成28年度の推計で年間643万トンにのぼり、国民1人当たりに換算すると毎日、茶わん1杯分のごはんを捨てている計算になるということです。
削減の取り組み 実施の自治体は57.5%
一方で、消費者庁が、ことし3月時点で全国の自治体に「食品ロス」削減の取り組みの実施状況を調査したところ、「実施している」と答えた市区町村は57.5%にとどまり、地域ごとで取り組みにばらつきがあるとも指摘されています。
国の基本方針 今年度中にも公表へ
これについて30日、会見を行った消費者庁の伊藤明子長官は「自治体には基本計画の策定を促していくとともに、行政や事業者、それに消費者がそれぞれの立場で一緒に取り組むことの大切さを呼びかけていきたい」と述べ、国として全国の自治体に対策を促していく考えを示しました。
消費者庁では、現在、農林水産省や環境省などとともに食品ロス削減に向けた国としての基本方針の策定を進めていて、今年度中にも公表したいとしています。
食品ロス削減に向け 初の全国大会
消費者庁のオフィスが設置されている徳島市では、「食品ロス削減全国大会」が初めて開かれ、自治体や企業、学校関係者などおよそ600人が参加しました。
大会では削減の先進事例が報告され、このうち徳島市に本社を置くスーパーの「キョーエイ」は、包装が破れるなどして、販売には適さないものの品質に問題のない食品を生活に困っている人などに配る独自の事業を30店舗で行っていると報告しました。
また、上板町立高志小学校からは、JAなどと連携し、規格外で廃棄される農産物を給食で活用して、食品ロス削減の大切さを教える取り組みが紹介されました。
スーパーでキャンペーンも
三重県伊勢市のスーパーでは、「食品ロス削減」を呼びかけるキャンペーンが始まり、伊勢市の職員やカモシカをモチーフにしたゴミ分別をPRする市のキャラクターが、買い物前に冷蔵庫を確認することなどを呼びかけるチラシを配りました。
また売り場では消費期限が近づいた鮮魚や肉などが一目でわかるように「すぐ食べるならつれてって」などと書かれたシールが商品に貼られました。
買い物客は「きょう使うものは賞味期限の近いものを買うように心がけています」とか、「冷蔵庫を見て、足りないものを買うようにしています」などと話していました。
伊勢市環境生活部の出口昌司清掃課長は「食品ロスの削減で最終的に清掃工場で燃やすゴミの量が減り環境にもいい。定期的に冷蔵庫の中身を確かめるなどしてほしい」と話していました。