医療いりょう現場げんばが厳きびしい状況じょうきょうに 欧米おうべい 新型しんがたコロナ感染かんせん拡大かくだいで

アメリカ 入院にゅういん患者かんじゃ８はち万まん人にん超こえる

新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん者しゃが今月こんげつ21日にちまでの1週間しゅうかんで100万まん人にん以上いじょう増ふえるなど、感染かんせんが拡大かくだいし続つづけているアメリカでは、民間みんかん団体だんたいのまとめによりますと、21日にちの時点じてんで8万まん3000人にん以上いじょうが入院にゅういんし、ICU＝集中しゅうちゅう治療ちりょう室しつで治療ちりょうを受うけている人ひとも1万まん6000人にんを超こえています。

医療いりょう従事じゅうじ者しゃに感染かんせん拡大かくだい 人出ひとで不足ふそくに

感染かんせんが拡大かくだいする中なか、医療いりょう従事じゅうじ者しゃの間まで感染かんせんが拡大かくだいする例れいも出でていて、ミネソタ州しゅうの「メイヨークリニック」では今月こんげつに入はいり900人にんを超こえる医療いりょう従事じゅうじ者しゃなどで感染かんせんが確認かくにんされました。

そのほとんどは病院びょういんの外そとで感染かんせんしたとみられていますが、この病院びょういんでは引退いんたいした医療いりょう従事じゅうじ者しゃを再さい雇用こようするなどして人手ひとで不足ふそくを補おぎなっています。

また、感染かんせん拡大かくだいが深刻しんこくな中西部ちゅうせいぶノースダコタ州しゅうでは、医療いりょう従事じゅうじ者しゃの不足ふそくを解消かいしょうするため州しゅう知事ちじが感染かんせんが確認かくにんされた医療いりょう従事じゅうじ者しゃも、症状しょうじょうがなければそのまま医療いりょう現場げんばで働はたらくことを認みとめました。

これに対にたいし、看護かんご師しらが「人手ひとで不足ふそくの根本こんぽん的てきな対策たいさくになっておらず、感染かんせんをさらに拡大かくだいさせる結果けっかを招まねく」として、強つよく反発はんぱつしています。

医療いりょう従事じゅうじ者しゃの抗議こうぎ 全米ぜんべい各地かくちに広ひろがる

さらにニューヨーク市しでも、医療いりょう従事じゅうじ者しゃがマスクやガウンなどの物資ぶっしの十分じゅうぶんな供給きょうきゅうや、看護かんご師しの増員ぞういんなどを求もとめ、抗議こうぎの行進こうしんを行おこないました。

この中なかで参加さんか者しゃたちは「看護かんご師しや患者かんじゃを尊重そんちょうせよ」などと書かいた紙かみを掲かかげて、「地域ちいきや、私わたしたち看護かんご師しが春はるに味あじわった苦くるしみや死しを繰り返くりかえしてはならない」と訴うったえました。

また、ペンシルベニア州しゅうの大だい都市としフィラデルフィアでは数すう百ひゃく人にんの看護かんご師しが労働ろうどう環境かんきょうの改善かいぜんを求もとめて一時いちじ、職場しょくばを離脱りだつするなど、医療いりょう従事じゅうじ者しゃの抗議こうぎ活動かつどうは全米ぜんべい各地かくちに広ひろがっています。

フランス 看護かんご師しの半数はんすう以上いじょう「燃え尽もえつきた状態じょうたいだ」と回答かいとう

ヨーロッパでも、今月こんげつだけで70万まん人にんを超こえる感染かんせん者しゃが確認かくにんされたフランスでは、政府せいふが集中しゅうちゅう治療ちりょう室しつのベッドを1360床しょう増ふやしたり、重症じゅうしょう患者かんじゃを比較的ひかくてき余裕よゆうのある地域ちいきや隣国りんごくドイツに搬送はんそうしたりするなど対応たいおうに追おわれています。

政府せいふは先月せんげつ末まつから行おこなっている外出がいしゅつ制限せいげんで、一部いちぶの数値すうちに改善かいぜんがみられるとの認識にんしきを示しめしていますが、3万まん人にん以上いじょうが入院にゅういんし、4000人にん以上いじょうが集中しゅうちゅう治療ちりょう室しつで治療ちりょうを受うけている状況じょうきょうは続つづいており、医療いりょう現場げんばが厳きびしい環境かんきょうに置おかれていることに変かわりはありません。

フランスの医療いりょう関係かんけいの団体だんたいが先月せんげつ行おこなった調査ちょうさでは、回答かいとうしたおよそ6万まん人にんの看護かんご師しのうち57％が疲労ひろうの度合どあいや健康けんこう状態じょうたいについて「燃え尽もえつきた状態じょうたいだ」と答こたえたほか、3人にんに1人にんが「転職てんしょくしたい」と答こたえるなど、疲労ひろう感かんが広ひろがっていることが浮き彫うきぼりになり、医療いりょう現場げんばをどう支ささえるか、大おおきな課題かだいとなっています。

“21年間ねんかん、勤務きんむを続つづけてきた病院びょういんをやめたい”

フランス西部せいぶの人口じんこうおよそ5万まん人にんの町まち、ラバルにある公立こうりつ病院びょういんで看護かんご助手じょしゅを務つとめる、セリーヌ・シュドゥメルさん（49）は、21年間ねんかん、勤務きんむを続つづけてきた病院びょういんをやめたいと考かんがえています。

ラバルがある地域ちいきでは、夏なつにも大だい規模きぼな集団しゅうだん感染かんせんがあり、春はるの感染かんせん拡大かくだい以降いこう、現場げんばの医療いりょう従事じゅうじ者しゃはほぼ切れ目きれめのない対応たいおうを強しいられてきました。

シュドゥメルさんも連日れんじつ対応たいおうにあたり、1日にち数すう時間じかんの残業ざんぎょうに加くわえ、休日きゅうじつの呼び出よびだしにも応おうじてきました。

過酷かこくな勤務きんむの中なかで、職場しょくばを去さっていく同僚どうりょうもいましたが、人員じんいんは補充ほじゅうされず、負担ふたんは増ますばかりだといいます。

「体力たいりょく的てきにもひどく疲つかれました。いつも仕事しごとのことが頭あたまに浮うかんで薬くすりを飲のまないと眠ねむれなくなってしまいました」と身体しんたい的てきにも精神せいしん的てきにも疲つかれが蓄積ちくせきしたと訴うったえています。

先月せんげつ上旬じょうじゅん、仕事しごとから帰宅きたくしたシュドゥメルさんは、同僚どうりょうにあてたメッセージで、「病院びょういんは私わたしたちを自殺じさつに追い込おいこむつもりだ。もううんざり」と書かきました。

シュドゥメルさんは、「その夜よる、もし考え直かんがえなおすことがなければ、もし息子むすこがいなかったら、ばかなことをしたかもしれません。それほど仕事しごとがいやになっていたんです」とその時ときの心境しんきょうを明あかしました。

「燃え尽もえつき症候しょうこう群ぐん」と診断しんだん受うける

医師いしの診察しんさつを受うけたシュドゥメルさんは、強つよい使命しめい感かんや責任せきにん感かんで仕事しごとに取り組とりくんだ人ひとに起おきる、「バーンアウトシンドローム＝燃え尽もえつき症候しょうこう群ぐん」と診断しんだんされました。

2週間しゅうかん休やすみを取とった後のち、再ふたたび職場しょくばに復帰ふっきしましたが、呼び出よびだしには応おうじていません。

町まちの近郊きんこうにある工場こうじょうなど、生活せいかつのために一定いっていの収入しゅうにゅうが見込みこめる仕事しごとが見みつかればすぐにやめたいと考かんがえています。

シュドゥメルさんは、「工場こうじょうに転職てんしょくする心こころ積つもりはできています。

体力たいりょく的てきに工場こうじょうはとても大変たいへんなことはわかっていますが、もう病院びょういんでのプレッシャーには耐たえられません」と話はなしました。

病院びょういんによりますと、春はるの感染かんせん拡大かくだい以降いこう、病院びょういんを辞やめる人ひとが相次あいついでいて、今いまでは定員ていいんの9％が不足ふそくしているということです。

手術しゅじゅつを減へらしたり、近隣きんりんの病院びょういんから応援おうえんをもらったりしてしのいでいるものの、現場げんばの負担ふたんを軽減けいげんする根本こんぽん的てきな解決かいけつ策さくは見みつかっていません。

アンドレグエナエル・ポルス院長いんちょうは、「感染かんせん状況じょうきょうが落ち着おちつくのを祈いのっているが、外出がいしゅつ制限せいげんの中なかでもウイルスは広ひろがっているので楽観らっかんはできない」と警戒けいかい感かんをにじませました。