「大人が子どもを1人の人間として尊重し、自分たちの声に耳を傾けてくれるのはうれしい。子ども主体の社会になっていったらいいなと思います」(中学3年 女子生徒)
「自分の意見を伝える機会があることで、行政の取り組みも身近に感じられるようになった。子どもが安心して意見を言うことができる環境作りを進めてほしい」(中学2年の男子生徒)
「『こども家庭庁』ができたのはいいことだと思うが、子どもが知らなければ意味がないと思うので、もっと知る機会を増やしてほしい」 「こども家庭庁」を初めて聞いたといった声や、どういった役割を担う省庁なのか知らないといった声もありました。
主な担当業務は、 ▽児童手当の支給 ▽妊娠から出産・子育てまでの一貫した支援 ▽保育行政 ▽児童虐待、いじめ、貧困対策 横断的に取り組むべき政策を幅広く企画立案するとともに、着実に実施されるよう総合調整にあたり、各府省庁に改善を求める「勧告権」も与えられ、政府全体の政策の推進を主導する役割を担います。
こども家庭庁は、次の3つの部局からなります。
「成育局」=子どもの育ちを支える政策を中心に担う部局で、児童手当の支給や、妊娠から出産・子育てまでの一貫した伴走型支援、それに保育所やこども園の制度運営などを所管します。 「支援局」=児童虐待やいじめ、それに貧困や自殺対策のほか、家族の介護などに追われる「ヤングケアラー」と呼ばれる子どもへの支援など、困難に直面する子どもや家庭を支援する業務を担います。 一方、教育行政は、引き続き文部科学省が所管し、連携をとりながら業務を進めることになります。
およそ430人の職員のうち1割が民間企業やNPO法人などからの採用で、子どもに関する事業に携わってきた経験豊富な人材を登用することで、より現場の声を生かした政策策定につなげようというねらいです。
こうした経験をいかして、こども家庭庁では「こどもの居場所づくり」についての政策を担当することになり、今年度中に指針を策定する予定です。
また、厚生労働省から異動した職員は「長く公務員として働いていると考え方が凝り固まってしまう中で、民間の人と一緒に働くと新たな視点に気付くことが多いです」と話していました。
そうした中で重要な取り組みの1つとなるのが施策などへの「こどもの意見反映」です。
しかし、学校側にも支援にあたる職員の配置などの課題があったため、「友達と一緒に学びたい」と、親子で一つずつ、困りごとなどを伝える努力を重ねてきました。
今、咲貴さんは中学生になってもこれまでのように支援を得ながら学び続けられるよう地元の中学校との話し合いを進めていますが、自分の困りごとを説明してわかってもらうことは簡単ではないと感じています。
「家族だったら言えるけど、先生だと言いづらいし、遠慮してしまう。ほかの子がいる中でもゆっくり意見を聴いてくれると言いやすいです」と話していました。 (咲貴さんの母親) 「子どもの意見を聞いてくれることは画期的だと思う。親が必要以上に頑張らなくても安心して子育てできる環境になってほしいと期待しています。元気で意見を言える子どもばかりではなく、本当に困っている子どもの声を拾ってほしいです」
子ども家庭庁は、子どもや若者およそ1万人から意見を聴き政策に反映する事業を始め、小学生から20代までを対象に意見を伝えたい人にホームページからの登録を呼びかけています。 小学1年生から20代までの子どもや若者であれば誰でも登録することができ、こども家庭庁だけでなく、さまざまな省庁が子どもに関する政策について意見を募るほか、子どもや若者自身が、意見を聴いてほしいテーマを提案することもできます。
また、意見を聴いたあとは、政策にどのように反映されたかや反映されなかった場合の理由などを説明することにしています。 この事業への登録はこども家庭庁のホームページで始まっていて、いつでも登録ができるということです。
関係府省の議論を経て、先月まとめられた少子化対策のたたき台をもとに、施策の具体化や予算規模、それに財源などの検討を進めます。
幅広い施策の裏付けとなる財源を確保しながら役所間の縦割りを打ち破り、効果的な取り組みを主導していけるかが問われることになります。 また、こども家庭庁は、内閣府や厚生労働省から子どもに関係する業務が一元化された一方、学校や幼稚園などの教育行政は引き続き文部科学省が所管することとなっていて、円滑に政策を進めていけるかも課題となりそうです。
【こども家庭庁ってなに】
Q.何をする省庁なの?
Q.どんな組織があるの?
Q.どんな人が働いているの?
民間の経験を生かす
「国と現場の架け橋として」
【どんな社会を目指すのか】
Q.「こどもまんなか社会」って?
「困っている子の意見も聞いてほしい」
Q.どのように子どもの意見を聞くのか?
SNSでも 対面でも
【課題は何か】
Q.当面の大きな課題は?
「政府の少子化対策たたき台 具体的な中身は?今後は?【詳しく】
財源確保、教育行政のとの連携も課題
【専門家は】
Q.子どもの意見がなぜ必要?
Q.こども家庭庁に求めることは?