奈良なら県けん 半数はんすう超ちょうの自治体じちたいで違法いほうに時間じかん外がい労働ろうどう ＮＨＫえぬえいちけい調査ちょうさ

この36協定きょうていの締結ていけつの状況じょうきょうをＮＨＫえぬえいちけいが、奈良なら県内けんない39の全ぜん市町村しちょうそんを対象たいしょうに調査ちょうさした結果けっか、ことし７月しちがつ１いち日にちの時点じてんで奈良なら市しや大和やまと郡山こおりやま市し、大和やまと高田たかだ市しなど半数はんすうを超こえる22の市町村しちょうそんで締結ていけつせずに、違法いほうに時間じかん外がい労働ろうどうをさせていたことがわかりました。

なかには過労かろう死しラインとされる月つき80時間じかんを超こえる時間じかん外がい労働ろうどうをさせていた自治体じちたいもあり、このうち河合かわい町まちでは昨年度さくねんどまでの３さん年ねんで延のべ33人にんが月つき80時間じかんを超こえていました。

なかには150時間じかん近ちかい月つきもあったということです。

河合かわい町まちの田中たなか敏彦としひこ副ふく町長ちょうちょうは「痛恨つうこんの極きわみだ。行政ぎょうせいには無む関係かんけいだという認識にんしきだったのだと思おもう。36協定きょうていの趣旨しゅしをかみしめ今年度こんねんど中ちゅうに協定きょうていを結むすびたい」と話はなしています。ほかの自治体じちたいも「36協定きょうていの対象たいしょうにならない職種しょくしゅとして扱あつかっていた」などと説明せつめいし、締結ていけつに向むけて調整ちょうせい中ちゅうだとしています。

ＮＨＫえぬえいちけいの調査ちょうさ

過労かろう死しや過重かじゅう労働ろうどうが社会しゃかい的てきな問題もんだいとなる中なか、ことし６月ろくがつ、奈良なら市しが36協定きょうていを結むすばないまま違法いほうに時間じかん外がい労働ろうどうをさせていたことがＮＨＫえぬえいちけいの取材しゅざいで明あきらかになりました。

これを受うけてＮＨＫえぬえいちけい奈良なら放送ほうそう局きょくは、奈良なら市しを含ふくむ県内けんない39の全ぜん市町村しちょうそんに対にたいし、同様どうようの問題もんだいがないか、独自どくじに調査ちょうさを実施じっししました。

調査ちょうさでは、労務ろうむ管理かんりを担当たんとうする部署ぶしょに調査ちょうさ用紙ようしを送付そうふし、36協定きょうていの対象たいしょうとなる職種しょくしゅの職員しょくいんが何なん人にんいるかや、36協定きょうていを締結ていけつしているかどうかなどを質問しつもんしました。

これに対にたいし８月はちがつまでにすべての市町村しちょうそんから回答かいとうが寄よせられました。

「36協定きょうてい」とは

36協定きょうていはその名なのとおり労働ろうどう基準きじゅん法ほうの36条じょうに基もとづき企業きぎょうなどの経営けいえい側がわと労働ろうどう組合くみあいが取り交とりかわす協定きょうていです。

労働ろうどう基準きじゅん法ほうは、原則げんそくとして労働ろうどう者しゃの時間じかん外がい労働ろうどうを禁止きんししています。

ただ36条じょうに基もとづいて労使ろうしが時間じかん外がい労働ろうどうの上限じょうげんなどについて取り決とりきめ、協定きょうていを交かわしたうえで、労働ろうどう基準きじゅん監督かんとく署しょなどに届け出とどけでれば、労働ろうどう者しゃに時間じかん外がい労働ろうどうを命めいじることができます。

この仕組しくみが「36協定きょうてい」と呼よばれています。

一方いっぽう警察官けいさつかんや消防しょうぼう署しょ員いん、それに役場やくばなどで勤務きんむする地方ちほう公務員こうむいんは、労働ろうどう基準きじゅん法ほうでも公務こうむで必要ひつような場合ばあいには時間じかん外がい労働ろうどうを行おこなうことができると明記めいきされ、原則げんそく「36協定きょうてい」の規制きせいが適用てきようされません。

ただ、水道すいどうや保健所ほけんじょ、ごみ焼却しょうきゃく施設しせつで働はたらく職員しょくいんなど一部いちぶの職種しょくしゅは、36協定きょうていを結むすばなければ、時間じかん外がい労働ろうどうをさせられないことになっています。

労働ろうどう局きょくなどによりますと、こうした職種しょくしゅの業務ぎょうむは民間みんかんでも実施じっしできるとされるため、民間みんかんと同様どうようの労働ろうどう者しゃ保護ほごの規制きせいが適用てきようされるということです。

専門せんもん家か“非常ひじょうに問題もんだいだ”

元もと労働ろうどう基準きじゅん監督かんとく官かんで、社会しゃかい保険ほけん労務ろうむ士しの北岡きたおか大介だいすけさんは「法令ほうれいに基もとづき民間みんかんを指導しどう監督かんとくする立場たちばの市町村しちょうそんが、法令ほうれいを順守じゅんしゅしていないのは非常ひじょうに問題もんだいだ。労使ろうし間かんでルールを大事だいじにしていないという側面そくめんがあるのではないか」と批判ひはんしています。

そのうえで「36協定きょうていがないということは労働ろうどう時間じかんのルールが基本きほん的てきにないということなので働はたらき方かた改革かいかくが進すすまず、長時間ちょうじかん労働ろうどうをある種たね黙認もくにんしてしまう要因よういんになってしまうことが懸念けねんされる」としています。

違法いほう時間じかん外がい労働ろうどうの市町村しちょうそん

ことし７月しちがつ１いち日にち時点じてんで36協定きょうていを結むすばず違法いほうに時間じかん外がい労働ろうどうをさせていたのは以下いかの市町村しちょうそんです。

▽奈良なら市し

▽大和やまと高田たかだ市し

▽大和やまと郡山こおりやま市し

▽天理てんり市し

▽桜井さくらい市し

▽五條ごじょう市し

▽宇陀うだ市し

▽三郷みさと町まち

▽安堵あんど町まち

▽川西かわにし町まち

▽三宅みやけ町まち

▽田原本たわらもと町まち

▽曽爾そに村むら

▽明日香あすか村むら

▽上牧うえまき町まち

▽王寺おうじ町まち

▽広陵こうりょう町まち

▽河合かわい町まち

▽黒滝くろたき村むら

▽下北山しもきたやま村むら

▽上北山かみきたやま村むら

▽川上かわかみ村むら

内訳うちわけは市しが７ななつ、町まちが９ここのつ、村むらが６むっつです。

このうち大和やまと郡山こおりやま市しは、36協定きょうていの対象たいしょうとなる職種しょくしゅのうち水道すいどう事業じぎょうに関かかわる職員しょくいんとは協定きょうていを締結ていけつしていましたが、平成へいせい22年ねん以降いこう、結むすばれなくなりました。それ以外いがいの職種しょくしゅは協定きょうていを締結ていけつしたことはなかったということです。

市しの笠原かさはら淳あつし秘書ひしょ人事じんじ課長かちょうは「協定きょうていが必要ひつようだという認識にんしきは労使ろうしともにあったが、多おおくの職員しょくいんは法律ほうりつの適用てきようから除外じょがいされるのでどうしても認識にんしきが低ひくくなってしまったと思おもう」と話はなしていました。

ほかにも五條ごじょう市しや三郷みさと町まちなど多おおくの自治体じちたいが協定きょうていを締結ていけつしていなかった、理由りゆうについて認識にんしき不足ふそくという趣旨しゅしの回答かいとうをしました。