全国一の
真珠の
産地 愛媛県の
宇和海沿岸で、
真珠の
養殖に
使うアコヤガイの
稚貝が
大量に
死んでいることがわかり、
県などが
被害の
実態を
調べるとともに、
原因の
究明を
進めています。
愛媛県によりますと、ことし
7月下旬、
県内の
漁業関係者から「アコヤガイの
稚貝が
今までにないほど
多く
死んでいる」という
連絡が
県にありました。
県が調べたところ、宇和島市から愛南町にかけての養殖場で、アコヤガイの稚貝が大量に死んでいるのが確認されたということです。
アコヤガイは真珠の養殖に使われる貝で、2年ほどかけて稚貝を母貝まで育てたあと真珠の芯になる核を入れ、半年から1年半ほどかけて真珠に仕上げて出荷します。
宇和海沿岸のアコヤガイは、過去には貝が赤く変色する「赤変病」で大量死したことがありますが、今回は「赤変病」ではなく原因はわかっていないということで、県や国は被害の実態を詳しく調べるとともに、海水の環境変化や感染症の発生がなかったかなど原因の究明を進めています。
愛媛県はおととしの時点で、真珠の生産量が7664キロと全国一のほか、母貝の生産量も1242トンと全国の9割近くを占め、一部は三重県などほかの真珠の産地にも出荷されています。
今回の稚貝の大量死は再来年以降の全国の真珠の生産に影響が出るおそれもあるとして、県などは、新たな稚貝の確保など生産者の支援も進める方針です。
真珠養殖発祥の地でも
三重県志摩市の英虞湾でも養殖に使うアコヤガイが大量に死んでいることが分かり、県が原因を調査しています。
三重県の伊勢志摩地域は真珠養殖発祥の地で、全国有数の産地としても知られています。
三重県水産研究所によりますと、ことし7月、志摩市の英虞湾で養殖のアコヤガイが、「がいとう膜」と呼ばれるいわゆる貝ひもの部分が縮んだ状態で死んでいるのが見つかり、その後、隣の南伊勢町でも同様の被害が確認されたということです。
研究所が英虞湾で養殖を行うおよそ300の業者に調査したところ、回答があった業者のうち8割以上からアコヤガイが死んだという回答があったということです。
アコヤガイが死んだ原因は今のところ分かっておらず、研究所は現在、国などに調査を依頼して原因の特定を急いでいます。
愛媛県ではアコヤガイの稚貝が被害に遭っているのに対し、三重県の場合は、稚貝に加えて真珠の芯になる核を入れて真珠に仕立てるための母貝も被害に遭っているということで、三重県真珠養殖連絡協議会によりますと、県内の真珠の出荷量は、ことし以降減少すると見られるということです。
三重県水産研究所の栗山功さんは「これまでにないことで原因究明に時間がかかりそうだが、業者に調査しながら対策を探っていきたい」と話しています。