イスラム教の断食月ラマダンまでに合意に至るのは難しい情勢で、ラマダン中も戦闘が続けば中東全域に緊張が広がることが懸念されています。
イスラエルとハマスの戦闘が始まってから7日で5か月となり、ガザ地区の保健当局はイスラエル軍の攻撃による死者はこれまでに3万800人にのぼるとしています。
エジプトの首都カイロでは、仲介国のエジプトとカタール、それにアメリカが、今月10日ごろに始まるラマダンまでに戦闘休止や人質の解放などをめぐる合意を実現しようとハマス側との協議を続けていました。
しかしハマスは7日、声明を出し「交渉団は指導部と相談するためカイロから引き上げた。イスラエル軍の攻撃を止め、住民を帰還させるための交渉と努力は続く」として、協議がいったん中断されたことを明らかにしました。
一部のアラブメディアは10日にも交渉が再開される見通しを伝えていますが、ハマスが持続的な停戦を求めているのに対し、イスラエル側は拒否していて、ラマダン前に合意に至るのは難しい情勢です。
こうした中、イエメン沖のアデン湾では6日、航行していた貨物船がハマスとの連帯を掲げるイエメンの反政府勢力、フーシ派による攻撃を受け、3人が死亡しました。
これについてインド海軍は貨物船の乗組員を救助したと発表し、報道官がSNSに投稿した動画では、乗組員とみられる人たちが担架で運ばれ、治療を受けている様子などが確認できます。
ラマダンに入ってもガザ地区で戦闘が続けば、これに反発するフーシ派やレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラなどが攻勢を強めることも予想され、中東全域に緊張が広がることが懸念されています。
アデン湾の貨物船攻撃 インド海軍は21人を救出
中東イエメン沖のアデン湾で6日、貨物船がイエメンの反政府勢力、フーシ派によるミサイル攻撃を受け、3人が死亡しました。
去年11月のフーシ派による攻撃以降、初めて死者が出たと伝えられています。
インド海軍はヘリコプターやボートを使ってこの貨物船の21人の乗組員を救助したと発表しました。
インド海軍報道官のSNSに掲載された動画では、救助された乗組員とみられる人たちがボートに横たわっていたり、両脇を抱えられながらヘリコプターから降りたりする様子のほか、担架で運ばれたあとに治療を受けている様子などが確認できます。
インド海軍によりますと、乗組員は救助されたあと、ジブチにある病院に搬送されたということです。
この貨物船はバルバドス船籍で、アメリカ中央軍によりますと、フーシ派のミサイル攻撃でこれまでに3人が死亡し、4人がけがをしました。
フーシ派は去年11月以降、紅海周辺で船舶への攻撃を繰り返していますが、地元メディアなどによりますと、フーシ派が一連の攻撃を始めてから、死者が出たのは今回が初めてだと伝えています。
貨物船の船体は大きな損傷を受け、乗組員はこの船から避難したということです。