内閣府などが公表している4分野、30指標のデータについて、世界各国の男女間の格差について調べている世界経済フォーラムとほぼ同様の手法で分析し、男女平等を「1」とした場合の指数を都道府県ごとに出しました。
行政の1位は、鳥取県。 県や市町村で課長級の女性の比率が全国で最も高かったほか、県の男性職員の育休取得率も44.3%と、最も高くなりました。一方、2位の徳島県など5つの県が0.3台、7位以下のほとんどが0.2台となり、こちらも男女平等を示す「1」にはほど遠い状況となりました。 教育は、高知県が1位でした。 女性の4年制大学の進学率が男性を上回ったことなどが影響し、指数は0.665でした。ほかの都道府県は0.4以上でした。 経済は、社長に就く女性の比率が全国で最も高い沖縄県が1位で指数は0.388でした。ほかの都道府県も0.3台でした。
また鳥取県では、仕事と子育て、介護の両立を支援する上司として「イクボス・ファミボス宣言」を管理職全員が行い、職員の家庭の事情に応じて業務を再配分するなどして定時で帰りやすい環境づくりをすることになっていて、その取り組み状況を管理職の人事評価に反映させています。 県職員の女性管理職の割合は2013年度までの6年間、およそ11%で推移していましたが、2014年度から徐々に増加し、今年度は603人の管理職のうち22.7%にあたる137人が女性となっています。 内閣府のまとめでは、女性管理職の割合は7年連続で全国1位です。
吉野さんは「入庁した当時、女性管理職は自分の周りにはいなかったが少しずつ増えてきたことで、経験を積んできた女性管理職にノウハウを教えてもらうことはあったし、相談しやすい状況になってきた。みんなで助け合う雰囲気や職場の環境は、どの職場にも引き継いでいきたい。部下が制度の利用をためらったり遠慮したりすることがないよう支援していきたい」と話していました。
「宮崎の男性が最も子育てに時間をかけている」。 子どもがいる女性が社会で活躍するうえで欠かせない「夫の子育て参加」。その時間が全国で最も長いのが宮崎県です。そんな結果が示されたのは国が5年に1度行っている「社会生活基本調査」です。 去年発表された最新の結果をみると、子どもがいる共働き世帯の夫が育児にかける時間は宮崎県は1日平均で30分。「たったそれだけ?」と思われるかもしれませんが、全国平均は20分で、宮崎県はその1.5倍。47都道府県の中で最も長くなっています。 宮崎県の夫はなぜ長い時間、子育てに参加しているのか。ジェンダーが専門の宮崎公立大学の四方由美教授が注目しているのが地方特有の「有利な事情」です。 まずは住まいと勤め先が離れておらず、通勤時間が短いこと。同じ調査で宮崎県の通勤・通学時間をみると片道およそ28分と山形県と並んで全国で最も短くなっています。 もうひとつが遅くまで働く人が少ないことで、2つの要素を合わせた「仕事を終えて家に帰り着く時間」を同じ調査で見ると宮崎県は午後5時57分。 トップの愛媛県と3分しか違わず、全国でも4番目に早くなっています。
ある平日の様子を、取材させてもらいました。 午後6時。春田さんは勤務先の宮崎市内のデザイン会社を定時で退社し、マイカーを運転して30分ほどで自宅に帰り着きました。 先に仕事が終わる妻の遥香さん(28)が作った夕飯を3人で食べると、春田さんは皿洗いや翌日のお弁当の具材づくりをしたあと長女の虹香ちゃんをお風呂に入れます。 午後9時すぎ。虹香ちゃんが寝つくまで一緒に過ごしていました。 春田さんは「2人の子どもを2人で育てるのは当たり前で、家事や育児も半分ずつ、お互いが余裕を持ってできるようにと考えています。周りでも午後7時ぐらいには家に帰っている人が多く、通勤に時間がかかる都会に比べると、宮崎はのびのびと育児をしやすい場所なのかなと思います」と話していました。
遥香さんは「店を開く勉強のために学校に通いたいと考え、夫に『子どもがまだ小さいけどどうかな』と相談したら、全然大丈夫だよと言ってくれました。夫のサポートもあってやりたいことに踏み出しやすくなっています」と話していました。 春田さんが働く会社が残業なしの定時での退社を原則としていることも男性社員の子育て参加につながっています。 この会社ではこうした取り組みを理解せず、無理な納期を指定してくる取引先からは受注を受けないようにして、定時退社を実現しているということです。 竹原沙織専務は「当初は社員も独身ばかりで残業が当たり前でしたが、いずれ家庭を持ったり、介護が始まったりして『このままの働き方では会社の未来がない』と考えました。私もいつも午後5時には退社して、『こういう働き方でいいんだ』という空気を作るようにしています」と話していました。
このうち行政分野で1位になった鳥取県について三浦教授は、長い年月をかけて女性の管理職登用に取り組んできた成果だと分析しています。 その上で、「女性の管理職を増やすには働き方と上司の意識の改革が必要だ。忙しい時期に仕事が集中しないよう年間を通じて仕事を分散させたり、男性に積極的に育児休暇をとってもらうなど工夫することが必要だ」と話していました。 また、「政治や行政の指標は、自治体のトップが数値目標を掲げたり条例を作ったりするなど、変えようと思えば比較的変えやすい分野でもある。いまは男女格差が大きくても3年後、5年後にどのように変わるかチェックすることが重要だ」と話していました。
イギリスの経済誌「エコノミスト」が、主要な29か国の「女性の働きやすさ」について、男女の賃金格差や労働参加率の差など10の指標に基づいて評価したランキングを発表し、日本は最下位から2番目にとどまりました。 日本は企業の管理職と、下院にあたる衆議院の議員の女性の割合が29か国中最も低いなど、半分以上の指標でOECD加盟国の平均を下回り、29か国中、28位となりました。 最下位は韓国でした。 この結果についてエコノミストは「いまだに女性が家族かキャリアのどちらかを選ばなければならない韓国と日本が下位を占めた」としています。 一方で、女性が最も働きやすい環境だとされたのは、アイスランドで、企業の要職などにおける女性の割合が高いとしています。 このほか、スウェーデンが2位、フィンランドが3位など北欧の国々が上位を占めています。
行政1位の鳥取県は「イクボス・ファミボス宣言」
鳥取県の女性課長“みんなで助け合う雰囲気・職場環境を”
「夫の子育て参加」トップは宮崎県 そのワケは?
「夫の子育て参加」どう実現?
専門家 “好事例に学び、全国で平等に向けた取り組みを”
「女性の働きやすさ」世界では? 日本ワースト2位に
上智大学の教授らのグループが、地域ごとの男女平等の度合いを分析した「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」を公表しました。男女の格差は、都道府県ごとにどのような違いがあるのか。そして、格差を縮めるヒントは。
男女格差が小さいとされた都道府県は