大幅に減っていた参加者
マクロン政権に抗議するデモは去年11月から毎週続いていますが、16日のデモの参加者は全国で3万2000人余り。24万人以上が参加した去年11月のデモに比べると大幅に減っています。マクロン大統領も長期にわたるデモの沈静化を図るため、ことし1月から地方都市に出向いて自治体のトップや市民と直接対話する集会を続けていて、一時、20%台前半まで落ち込んだ大統領の支持率は、回復傾向を見せていました。
SNSでてこ入れ
先細り感が出始める中、「黄色いベスト運動」に共感する市民たちは今回のデモに向けて、SNSでパリの複数の場所に同じ時間に集まるよう呼びかけを行いました。
午前中から大勢の人たちが中心部のシャンゼリゼ通りなどを埋め尽くす結果になったのは、こうしたてこ入れの成果もあったのかもしれません。
デモに参加したほとんどは平和的な参加者でしたが、パリでは結果的に破壊行為などで230人以上が拘束されています。
高級ブランド店やレストランなども、窓ガラスが割られたり店の中が黒く焼けたりして、一帯は発煙筒の煙に包まれました。
フランス政府に油断も?
カスタネール内相は、今回のデモでは中に破壊行為のプロが紛れ込んでいたと指摘しています。
デモは去年11月に始まって、ことし1月までは今回のような破壊行為が相次ぎましたが、その後は比較的、落ち着いていました。
しかし再び破壊行為が相次いだ事態に、政府の対応が不十分だったのではないかという声も聞かれます。
現に、マクロン大統領はこの週末、休暇でスキーに出かけていましたが、事態を受けて16日夜、急きょパリに戻り、内務省で緊急対策会議に出席しました。
今回の事態についてマクロン大統領は「シャンゼリゼ通りで起きたことは、もはやデモとは呼ばない」と述べ、再発防止に向けた措置を講じる姿勢を示しました。デモは今後も続く見通しで、いつ収束するかは見通せません。破壊行為が繰り返され、再び混乱が起きるおそれも否定できないのが現状です。