ノルウェーの南西部で23日の午後、海岸から2キロほど離れた沖合で、9階建ての豪華クルーズ船がエンジントラブルを起こし、航行できなくなりました。
ノルウェーの気象当局によりますと当時、現場近くの海域では、風速20メートルを超える非常に強い風が吹き、波の高さは8メートルに達していました。悪天候でエンジンが故障したとみられています。
船内で撮影された映像からは危険な状態がうかがえます。船が大きく傾いてソファーや装飾品が床の上を左右に激しく動き、ラウンジの天井が落ちる様子などが映されています。ところどころで窓ガラスが割れたため船の中に海水が流れ込み、救命胴衣を着た乗客の足元を海水が勢いよく流れる様子も映されています。
船には乗員、乗客合わせて1300人余りが乗っていて、レスキュー隊がヘリコプターで乗客の救出を続けています。地元メディアによりますと、これまでに300人以上が救出されましたが、17人がけがをして病院に運ばれ、このうち3人が重傷だということです。
一方、4つあるエンジンのうち3つが動くようになったため、船は現在、時速6キロの低速で航行し、このあとタグボートにつながれて近くの港に向かうということです。
一時座礁の危機に 地元メディア
ノルウェーのメディアは、エンジンが止まったクルーズ船が悪天候の海上を漂い、一時、海岸から100メートルの地点まで流され、座礁する危機があったと伝えました。
船舶の位置情報や、航路、それに速度などを公開するウェブサイト「ベッセル・ファインダー」の情報を基に船の動きを見ると、エンジンが故障したとみられる現地時間の午後1時ごろまで南西の沖合に向かっていた船は、急に海岸方向に向きを変えたことが分かります。
このあと船は、岩が多く船の座礁事故が多く起きている海岸から100メートルの地点まで流され、再び沖合のほうに向かっています。船は円を描くように海上を漂い、制御が利かなかったことをうかがわせています。