「ことしの10大だいリスク」を発表はっぴょう トランプ氏しの影響えいきょうも 米べい調査ちょうさ会社かいしゃ

国際こくさい政治せいじ学者がくしゃのイアン・ブレマー氏しが率ひきいるアメリカの調査ちょうさ会社かいしゃ「ユーラシア・グループ」は、恒例こうれいとなっている「ことしの10大だいリスク」を6日にち発表はっぴょうし、最大さいだいのリスクとして「深ふかまるGゼロ世界せかいの混迷こんめい」をあげました。

「Gゼロ」はブレマー氏しが国際こくさい秩序ちつじょを主導しゅどうする国家こっかが存在そんざいしない状態じょうたいをさして使つかってきた用語ようごで、ブレマー氏しはオンラインでの会見かいけんで、「アメリカは世界せかいで圧倒的あっとうてきな強国きょうこくだが、きたるトランプ政権せいけんが単独たんどく主義しゅぎを志向しこうするなか、外交がいこう政策せいさくはより取引とりひき的てきになり、多国たこく間かん主義しゅぎや国際こくさい機関きかん、法ほうの支配しはいなどへの支持しじを放棄ほうきするようになるだろう」と指摘してきしました。

一方いっぽう、中国ちゅうごくについても「より内うち向むきになっている」と述のべ、経済けいざい問題もんだいや国内こくないの課題かだいに専念せんねんせざるをえないという見方みかたを示しめしました。

そのうえで「ことしは冷戦れいせん初期しょき、さらには1930年代ねんだいに匹敵ひってきする地政学ちせいがく的てきに最もっとも危険きけんな一いち年ねんになる」と述のべリーダーシップの不在ふざいによる混迷こんめいに警鐘けいしょうを鳴ならしています。

また2番目ばんめ以降いこうのリスクも、「トランプの支配しはい」や「米べい中ちゅう決裂けつれつ」などトランプ氏しの返り咲かえりざきに伴ともなうものが多おおくを占しめ、それ以外いがいではロシアやイランの動向どうこうのほかAI＝人工じんこう知能ちのうが制御せいぎょできなくなることへの懸念けねんなどが10大だいリスクとしてあげられました。

【詳細しょうさい】ことしの10大だいリスク

アメリカの調査ちょうさ会社かいしゃ「ユーラシア・グループ」が6日にちに発表はっぴょうした「ことしの10大だいリスク」は、以下いかのとおりです。

1 深ふかまるGゼロ世界せかいの混迷こんめい

世界せかい的てきな課題かだいへの対応たいおうを主導しゅどうし国際こくさい秩序ちつじょを維持いじする国家こっかは存在そんざいしない状態じょうたいで地政学ちせいがく的てきな不安定ふあんていが常態じょうたい化かする。新あらたな世界せかい大戦たいせんすら起おきるリスクはかつてないほど高たかまっている。1930年代ねんだいや冷戦れいせん初期しょきに匹敵ひってきする危険きけんな時代じだいに突入とつにゅうしつつある。

2 トランプの支配しはい

司法省しほうしょうやFBIといった政治せいじ的てきに権力けんりょくを持もつ組織そしきにトランプ氏しに忠誠ちゅうせいを誓ちかう人物じんぶつを据すえようとしている。行政ぎょうせい権力けんりょくに対にたいする独立どくりつしたチェック機能きのうが低下ていかし法ほうの支配しはいが弱体じゃくたい化かする。また政治せいじ的てきに近ちかい企業きぎょう家かを優遇ゆうぐうすれば市場しじょう競争きょうそうではなく権力けんりょくへの近ちかさが成功せいこうを左右さゆうするシステムが生うまれる可能かのう性せいがある。

3 米べい中ちゅう決裂けつれつ

トランプ氏しの返り咲かえりざきにより米べい中ちゅう関係かんけいの安定あんていは崩くずれるだろう。経済けいざいの混乱こんらんや危機ききのリスクが高たかまることになる。トランプ氏しは、今後こんご、中国ちゅうごく製品せいひんに高たかい関税かんぜいを課かすことを実行じっこうに移うつすだろう。

4 トランプノミクス

関税かんぜいの大幅おおはばな引き上ひきあげは、サプライチェーンを混乱こんらんさせ企業きぎょうと消費しょうひ者しゃのコストを押し上おしあげる。また不法ふほう移民いみんの大量たいりょう送還そうかんなどによってアメリカの労働ろうどう力りょくが減少げんしょうし賃金ちんぎんや物価ぶっかが上昇じょうしょうするだろう。インフレ率りつの上昇じょうしょうと成長せいちょうの減速げんそくで経済けいざいの強つよさを損そこなうことになるだろう。

5 ならず者ならずもの国家こっかのままのロシア

ウクライナで停戦ていせんが成立せいりつする可能かのう性せいは高たかいが、ロシアはアメリカ主導しゅどうの世界せかい秩序ちつじょを弱体じゃくたい化かさせる政策せいさくをさらに推進すいしんするだろう。ロシアは占領せんりょうした領土りょうどを事実じじつ上じょう支配しはいしたままにするだろう。

6 追い詰おいつめられたイラン

おととしのイスラム組織そしきハマスによるイスラエルへの奇襲きしゅう攻撃こうげき以降いこう、イランの地政学ちせいがく上じょうの立場たちばは壊滅かいめつ的てきな打撃だげきを受うけた。イランはここ数すう十じゅう年ねんにないほど弱体じゃくたい化かしていて、中東ちゅうとうは依然いぜんとして不安定ふあんていな情勢じょうせいが続つづくだろう。

7 世界せかい経済けいざいへの負まけの押し付おしつけ

トランプ次期じき大統領だいとうりょうが就任しゅうにんするアメリカと経済けいざいが低迷ていめいしている中国ちゅうごくの混乱こんらんがほかの国々くにぐににも波及はきゅうし世界せかい経済けいざいの回復かいふくを妨さまたげ地政学ちせいがく的てき分裂ぶんれつを加速かそくさせることになるだろう。

8 制御せいぎょ不能ふのうなAI

AIの性能せいのうはさらに向上こうじょうする一方いっぽう、規制きせい緩和かんわによって大だい惨事さんじにつながる事故じこや制御せいぎょ不能ふのうなAIの「暴走ぼうそう」のリスクが高たかまるだろう。

9 統治とうちなき領域りょういきの拡大かくだい

アメリカが世界せかい的てきなリーダーシップを放棄ほうきしていて、より深刻しんこくな地政学ちせいがく的てき対立たいりつや不安定ふあんていを引き起ひきおこし、ならず者ならずもの国家こっかや非ひ国家こっか主体しゅたいを勢いきおいづかせる。

10 アメリカとメキシコの対立たいりつ

メキシコは財政難ざいせいなんが続つづくなか、トランプ次期じき大統領だいとうりょうの関税かんぜい措置そちや不法ふほう移民いみんなどの取り締とりしまりといった困難こんなんな課題かだいに直面ちょくめんすることになり、アメリカとメキシコの関係かんけいはさらに険悪けんあくになるだろう。

過去かこの10大だいリスクは