病気やけがをした
人の
救急搬送に
かかる時間が
短縮傾向にあった
名古屋市で、
新型コロナウイルスの
感染が
拡大して
以降、
搬送時間の
平均が40
秒以上長くなっていることが
分かりました。けがも
含めて、
症状の
種類に
関わらず、
感染の
疑いがないかを
確認する
必要が
出ているのが
要因だということです。
名古屋市は119
番通報を
受けてから
病気やけがをした
人を
医療機関に
救急搬送するまでの
時間の
短縮に4
年前から
本格的に
取り組み、
新システムの
導入や
救急隊員が
身に
つける酸素ボンベの
小型化・
軽量化などの
結果、
去年の
搬送時間の
平均は31
分6
秒と4
年間で
およそ1
分40
秒短縮しました。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大後のことし3月から5月までの平均時間は、速報値で、去年より40秒以上長い31分48秒となり、3年前の数字に戻りつつあるということです。
要因として、市は、
▽救急隊員がけがも含めて症状の種類に関わらず、搬送する患者が新型コロナウイルスに感染している疑いがないかを確認していることや、
▽救急隊が医療機関に患者の受け入れを要請する際にも医療機関側から同様の問い合わせがあることを挙げています。
名古屋市は、救急搬送の時間が長くなっていることについて、「感染防止のために必要な時間だ」としながらも、引き続き、搬送の手順を見直すなどして時間の短縮に努めたいとしています。
搬送時間 4年間で約1分40秒短縮 しかしコロナで…
名古屋市消防局によりますと、市内で、119番通報を受けてから病人やけが人を医療機関に救急搬送するまでのおおよその平均時間は、5年前には32分48秒でした。
その後、名古屋市は、4年前から本格的に搬送時間の短縮に取り組み、新たなシステムの導入のほか、消防署の仮眠室を2階から1階に移すなどの対策を実施し、3年前には、平均時間が32分を切ります。
この数字について名古屋市は、東京・大阪・京都・神戸の4つの都市と比べて最も短い時間だとしています。
その後も、救急隊員が身につける酸素ボンベの小型化・軽量化に取り組むなどして時間を短縮し、去年は、31分を切ることをうかがう状況にまでなっていました。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で状況は一変し、ことし3月から5月の平均時間は、ほぼ3年前の数字に戻りました。
救急隊員「未知のウイルスに緊張感や警戒感が高まった」
名古屋市消防局は、先月までに、74人の感染者を救急搬送してきました。
救急隊員たちは、感染者や感染の疑いがある人を運ぶ際には防護服を着用し、搬送後も、患者が寝たストレッチャーや触れた手すりなどを中心に救急車の消毒を繰り返しました。
3月になり、従来から使用していた消毒液が品薄になると、95%の高い濃度のアルコールを購入し、現場で薄めて消毒に使うなどの対応も行ってきました。
名古屋市消防局の本部救急隊の山崎仁文さんは、「感染症に関してはふだんから万全を期しているので恐れることはないと言いつつも、未知のウイルスなので緊張感や警戒心が徐々に高まっていった」と振り返りました。
そのうえで、救急搬送の時間が長くなっていることについて、「転んでけがをした、腰が痛いというような人にも新型コロナウイルスの感染が疑われるような症状がないか確認を取り、病院側からもそうした確認を要求される。医療機関でクラスターが発生すると、病院が受診不能になってしまうので、初期段階で対応する私たちがしっかり対応しなければと思っている」と話していました。