政府は25日朝、総理大臣官邸ですべての閣僚による総合対策本部の会合を開きました。
この中で石破総理大臣は、アメリカの関税措置について「国際社会が培ってきた自由で公正な経済秩序のあり方を根本から変容させかねない。自動車や鉄鋼などの国内産業や世界経済全体に大きな影響を及ぼしかねず見直しを強く求めていくことが極めて重要だ」と指摘しました。
その上で、日米双方の利益につながる成果を目指し次回の閣僚交渉への準備を進めるよう赤澤経済再生担当大臣らに指示するとともに、関係する業界とも連携して日本企業の投資や雇用創出がアメリカ経済に貢献していることをさまざまなルートで伝えるよう関係閣僚に求めました。
また会合では、企業の資金繰りや雇用維持の支援などを柱とした「緊急対応パッケージ」を決定しました。
この中では、影響を受ける企業への資金繰り支援を強化するとして日本政策金融公庫の利用要件の緩和に加え、業績が悪化した場合、来月以降の適切なタイミングで公庫の貸し付けの金利引き下げの対象拡大を検討するとしています。
また、雇用を維持していくため休業手当の一部を国が助成する「雇用調整助成金」の適用要件の緩和を検討することなども盛り込んでいて、石破総理大臣はパッケージをもとに必要な支援に万全を期すよう指示しました。
2回目交渉へ 赤澤経済再生相 “率直かつ建設的な姿勢で協議に”
赤澤経済再生担当大臣とベッセント財務長官らとの2回目の閣僚交渉は、アメリカ側と調整がつけば日本時間の来月1日に行われる見通しです。
赤澤大臣は、閣議のあとの会見で、次回の閣僚交渉について「引き続き一連の関税措置の見直しを強く申し入れるとともに、『投資など関税とは違うウィンウィンのやり方を考えよう』というメッセージを投げかけており、日米双方にとって利益となる合意ができるよう率直かつ建設的な姿勢で協議に臨みたい」と述べました。
一方、25日決定した「緊急対応パッケージ」に関連して「国民生活への影響などを注視しちゅうちょなく追加的に対応していく。必要に応じて予備費を活用し、対応することはある」と述べました。
江藤農相 “米産農産物の輸入拡大 安易に妥協すべきでない”
次回の閣僚交渉では、農産物の扱いが焦点の1つになるとみられています。
これについて江藤農林水産大臣は、閣議のあとの会見で、農林水産省としての対応を問われたのに対し「大豆がどうしたとかさまざまな報道が出ているが、農林水産省として確たるものを決めているわけではない」と述べました。
そのうえで「これから食料自給率や生産性の向上を図っていこうというときに、マイナスになるような施策は、たとえ外交交渉であっても避けるべきだ」と述べ、アメリカ産農産物の輸入拡大については国内農業への悪影響を避けるために安易に妥協すべきではないという考えを強調しました。