噴火から5年となる27日、ふもとの長野県王滝村では、正午前から地元の自治体が主催する追悼式が行われ、慰霊碑の前に遺族や地元の関係者などが参列しました。
そして、噴火が起きた時刻と同じ午前11時52分にサイレンが鳴らされ、参列者全員で黙とうをささげ、犠牲になった人たちを悼みました。
ことしは、長野県木曽町が噴火後初めて夏山シーズンに立ち入り規制の一部を解除し、7月から来月半ばまで、山頂への登山が可能になりました。
御嶽山に登る人も増えていて、再び噴火が起きた際に迅速な避難をどう呼びかけるのかなど、安全対策が引き続き課題になっています。
さらに、いつ噴火が起きるかわからない火山であることへの意識を登山者それぞれにどのように持ってもらうかも課題で、ふもとの自治体などでは、安全確保のための情報発信に力を入れていくことにしています。
遺族会の代表「やっと5年」
噴火で義理の弟を亡くし、遺族などでつくる「山びこの会」の代表を務めるシャーロック英子さんは「5年前の噴火の日と同じくらい、いい天気です。振り返ると5年という時間はあっという間ですが、それぞれの遺族は噴火のあと、大変な思いをしているのでやっと5年がたったという思いも感じています」と話していました。
遺族「時間止まったまま」
噴火で息子の祐樹さん(当時26)と、息子の婚約者の丹羽由紀さん(当時24)を亡くした愛知県一宮市の所清和さんは「5年たっても遺族の時間は止まったままです。5年前、噴火が起きる前までは2人が楽しく登っていたと思うと複雑な気持ちになります」と話していました。
生存者「経験伝えたい」
5年前、御嶽山の山頂に登っていて噴火を体験した愛知県豊川市の小野田猛さん(57)は、きょう、山頂を訪れ、慰霊碑に手を合わせました。
当時、山頂にある神社の祈とう所の軒下に隠れた小野田さんは「山頂に来ると目の前で亡くなった人のことが思い出されて、なんとか助けられなかったのかなという気持ちになります。噴火の後も毎年、御嶽山に来ていますが、5年しかたっていないのにヘルメットをかぶらないで登る人がいるなど、火山への危機意識が薄れているように感じます。当時の話をするなど経験を伝えていきたいです」と話していました。