日本新聞: イラン外交的解決を模索もイスラエル攻撃強化の方針示す

イスラエルとイランの攻撃こうげきの応酬おうしゅうが激はげしさを増ます中なか、イランの外相がいしょうはイギリス、フランス、ドイツの外相がいしょうなどと協議きょうぎを行おこない、外交がいこう的てきな解決かいけつを模索もさくする動うごきも出でています。ただ、イスラエルは攻撃こうげきを強化きょうかする方針ほうしんを示しめし、事態じたいの打開だかいにつながるかは楽観らっかんできない状況じょうきょうです。

今月こんげつ13日にちにイスラエルがイランに対にたいする先制せんせい攻撃こうげきに乗り出のりだして以降いこう、双方そうほうの攻撃こうげきの応酬おうしゅうは激はげしさを増ましています。

こうした中なか、イランのアラグチ外相がいしょうは20日にち、イギリス、フランス、ドイツの3か国かこくの外相がいしょうとEU＝ヨーロッパ連合れんごうのカラス上級じょうきゅう代表だいひょうとの間まで協議きょうぎを行おこない、外交がいこう的てきな解決かいけつを模索もさくする動うごきも出でています。

ただ、イスラエル軍ぐんは20日にちもイランの西部せいぶや北西ほくせい部ぶにあるミサイルの保管ほかん施設しせつや発射はっしゃ設備せつびを空爆くうばくし破壊はかいしたと発表はっぴょうしました。

また、イスラエルのカッツ国防こくぼう相しょうは「イランの体制たいせいを弱体じゃくたい化かさせ、ミサイルの脅威きょういを抑止よくしする」として、イランの軍事ぐんじ精鋭せいえい部隊ぶたい、革命かくめい防衛ぼうえい隊たいや民兵みんぺい組織そしき「バシジ」に対にたいする攻撃こうげきをいっそう強化きょうかする方針ほうしんを示しめしました。

一方いっぽう、イランも20日にち、イスラエルに向むけて弾道だんどうミサイルや無人むじん機きを発射はっしゃし、イスラエルメディアは北部ほくぶハイファで23人にんがけがをしたと伝つたえています。

イランではこの日ひ、金曜きんよう礼拝れいはいに合あわせて首都しゅとテヘランで大だい規模きぼなデモが行おこなわれ、集あつまった人ひとたちは「イスラエルに死しを」などと声こえを上あげていました。

イランは、イスラエルが攻撃こうげきを続つづけるかぎり徹底てってい抗戦こうせんする姿勢しせいを示しめしていて、ヨーロッパ各国かっこくとの協議きょうぎが事態じたいの打開だかいにつながるかは楽観らっかんできない状況じょうきょうです。

イラン外相がいしょう「アメリカと話はなすことは何なにもない」

イランのアラグチ外相がいしょうは、イギリスやフランスなどとのスイスジュネーブでの協議きょうぎを前まえに、イラン国営こくえいテレビの取材しゅざいに応おうじました。

この中なかでアラグチ外相がいしょうは、アメリカとの間まで核かく協議きょうぎが続つづいている中なかで攻撃こうげきを受うけたことについて「外交がいこうのさなかだったのに何なにに戻もどれというのか？」と述のべて、欧米おうべいの対応たいおうを非難ひなんしました。

また、イスラエルを支持しじするアメリカについては「この犯罪はんざいの共犯きょうはん者しゃであるアメリカと話はなすことは何なにもない」として、アメリカとの協議きょうぎを否定ひていしました。

ジュネーブでの協議きょうぎでは核かく開発かいはつと地域ちいき情勢じょうせいが議題ぎだいになるとしたうえで「イラン国内こくないでのウラン濃縮のうしゅくの継続けいぞくについては誰だれの許可きょかも必要ひつようとしない」と述のべ、濃縮のうしゅく活動かつどうを続つづける考かんがえを強調きょうちょうしました。

また、イランへの攻撃こうげきが止とまらないかぎり対話たいわは無む意味いみだとして、イスラエルによる攻撃こうげきをやめさせるよう求もとめました。

トランプ大統領だいとうりょう “イランが話はなしたい相手あいてはわれわれ”

アメリカのトランプ大統領だいとうりょうは20日にち、東部とうぶニュージャージー州しゅうで記者きしゃ団だんに対にたいし、イギリス、フランス、ドイツの外相がいしょうなどがイランのアラグチ外相がいしょうと協議きょうぎを行おこなったことに関連かんれんし「イランはヨーロッパの国々くにぐにと話はなしたくはない。

彼かれらが話はなしたい相手あいてはわれわれだ。ヨーロッパは助たすけにならないだろう」と主張しゅちょうしました。

一方いっぽうで、イラン側がわがイスラエルによる攻撃こうげきをやめさせるよう求もとめていることについて、トランプ大統領だいとうりょうは「勝かっているほうにそのような要求ようきゅうをするのはとても難むずかしいと思おもう」と述のべて、否定ひてい的てきな考かんがえを示しめしました。

そのうえで「われわれは用意よういができていて意思いしもある。

イランとすでに話はなしをしている。どうなるか様子ようすを見みてみよう」と述のべました。

また「2週間しゅうかんのうちにアメリカがイランに対にたいして攻撃こうげきすることはあるのか」と質問しつもんされたのに対にたいしては「私わたしは彼かれらに一定いっていの期間きかんを与あたえているが、2週間しゅうかんが最大さいだいだ」と述のべるにとどめました。

国連こくれん安保理あんぽりが緊急きんきゅう会合かいごう IAEA イランの原発げんぱつへの攻撃こうげきに懸念けねん

中東ちゅうとう情勢じょうせいをめぐって国連こくれんの安全あんぜん保障ほしょう理事りじ会かいでは20日にちにイランの要請ようせいで緊急きんきゅう会合かいごうが開ひらかれ、冒頭ぼうとう、国連こくれんのグテーレス事務じむ総長そうちょうは「平和へいわにチャンスを」と述のべ、戦闘せんとうの停止ていしを求もとめました。

そして、核兵器かくへいきを求もとめていないというイランの主張しゅちょうに対にたいして「信頼しんらいの溝みぞがある」と指摘してきし、それを埋うめるには外交がいこうで解決かいけつ策さくを探さぐるしかないと呼よびかけました。

続つづいてIAEAのグロッシ事務じむ局長きょくちょうが、イランの核かく関連かんれん施設しせつの被害ひがい状況じょうきょうについて、現時点げんじてんで市民しみんへの影響えいきょうはないものの、今後こんご、イラン南部なんぶで稼働かどう中ちゅうのブシェール原発げんぱつや発電はつでん所しょへの送電そうでん線せんが破壊はかいされた場合ばあいは「放射ほうしゃ性せい物質ぶっしつの大量たいりょう放出ほうしゅつを引き起ひきおこす可能かのう性せいがある」と強つよい懸念けねんを示しめし、核かく関連かんれん施設しせつへの攻撃こうげきをやめるよう訴うったえました。

これに対にたいし、イスラエルのダノン国連こくれん大使たいしは「われわれはイランの核かく関連かんれん施設しせつを攻撃こうげきしたことを謝罪しゃざいしない。

核かくの脅威きょういが取り除とりのぞかれるまでやめない」と述のべ、攻撃こうげきを続つづける姿勢しせいを示しめしました。

一方いっぽう、イランのイラバニ国連こくれん大使たいしは「イスラエルの攻撃こうげきは国連こくれん憲章けんしょうや安保理あんぽり決議けつぎに違反いはんし、核かく不ふ拡散かくさん体制たいせいに対にたいする攻撃こうげきだ」と非難ひなんしたうえで「イランの核かく開発かいはつは平和へいわ的てきなもので、最もっとも広範こうはんなIAEAの査察ささつを受うけてきた」と強調きょうちょうしました。