妻つまの手てに救助きゅうじょローブ巻まきつけたあと…亡なくなった81歳さい男性だんせい 熊本くまもと

妻つまの節子せつこさんや長女ちょうじょによりますと、三郎さぶろうさんは夫婦ふうふ2人にん暮くらしで今月こんげつ4日にちの午前ごぜん9時じごろ、夫婦ふうふで避難ひなんしようと家いえを出でたところ、球磨くま川がわの氾濫はんらんや用水路ようすいろからあふれた水みずにつかって動うごけなくなり、近所きんじょの住民じゅうみんが投なげたロープに節子せつこさんの手てを巻まきつけて助たすけたあと、そのまま濁流だくりゅうに流ながされて亡なくなりました。

三郎さぶろうさんは温厚おんこうで優やさしい人柄ひとがらで周囲しゅういから慕したわれ、毎日まいにち、夫婦ふうふそろって人吉ひとよし市内しないの公園こうえんを散歩さんぽをしていたことから、近所きんじょの人ひとたちに『おしどり夫婦おしどりふうふ』と呼よばれることもあったといいます。

妻つまの節子せつこさんは「出でかけるときはいつも一緒いっしょで、ずっと夫おっとに頼たよってきたので、1人にんになったらどうなるのだろうと思おもいます。きょう寺てらに遺骨いこつを預あづけてお別わかれをしましたが、『行いかないで』と声こえをかけました。力尽ちからつきて流ながされていく姿すがたが今いまも目めに焼き付やきついています」と声こえを震ふるわせていました。

やっと水みずの中なかから救助きゅうじょされたのに…

熊本くまもと県けん芦北あしきた町まち佐敷さしきでは、記録きろく的てきな大雨おおあめによって町内ちょうないを流ながれる佐敷さしき川がわの水みずがあふれ、自宅じたくにいた酒井さかい民子たみこさんが（82）犠牲ぎせいとなりました。

酒井さかいさんの実みの姉あねの大瀬おおせ妙子たえこさんによりますと、当時とうじ、大雨おおあめで自宅じたくに水みずが入り込はいりこんできたことから、隣となりに住すむ酒井さかいさんを窓まどから助け出たすけだしました。

2人にんで大瀬おおせさんの平屋ひらや建だての自宅じたく1階かいで助たすけを一緒いっしょに待まつことにしましたが、その後そのご、水みずはどんどん入り込はいりこみ、胸むねのあたりまで達たっして身動みうごきが取とれなくなったということです。

4日にち午前ごぜん9時じごろ、近所きんじょの人ひとがボートでやってきて水みずに浸つかってからおよそ5時間じかん後ごに2人にんは救助きゅうじょされましたが、酒井さかいさんの唇くちびるは紫色むらさきいろで意識いしきがもうろうとしていました。

酒井さかいさんはその後そのご病院びょういんに運はこばれましたが、帰かえらぬ人ひととなりました。

大瀬おおせさんは、「午前ごぜん3時半じはんくらいからあっというまに水みずに浸つかってしまったので、天井てんじょうを破やぶって息いきができるようにして、流ながされないようにしました。一生懸命いっしょうけんめい、2人にんで手てを握にぎって離はなさないよう頑張がんばりましたが、妹いもうとは力尽ちからつきてしまいました。今いまの気持きもちは、ことばにできません」と話はなしていました。

酒井さかいさんの人柄ひとがらについて大瀬おおせさんは「私わたしとは性格せいかくが正せい反対はんたいで、子こどもの時ときから男の子おとこのこみたいな、とても活発かっぱつな性格せいかくでした。いつも言い合いいあったりする姉妹しまいでしたが仲なかはよかったです」と話はなしていました。

熊本くまもと 芦北あしきたでは夫婦ふうふが犠牲ぎせいに

熊本くまもと県けん芦北あしきた町まち女島めしまでは記録きろく的てきな大雨おおあめによって土砂崩どしゃくずれが発生はっせいし、小崎おざき清一せいいちさんと（69）妻つまの峰子みねこさんが（68）犠牲ぎせいとなりました。

2人にんは三さん女じょと自宅じたくにいたところ、土砂崩どしゃくずれに巻き込まきこまれましたが、三さん女じょは倒壊とうかいした家屋かおくの中なかに閉じ込とじこめられたところを救出きゅうしゅつされました。

救出きゅうしゅつにあたったのは家いえの近所きんじょに住すむ小崎おざき陽介ようすけさんで（25）土砂崩どしゃくずれの瞬間しゅんかんを目撃もくげきしていました。

小崎おざきさんは「午前ごぜん5時じ前まえくらいにすごい地鳴じなりがしたので、慌あわてて外そとを見みたら、土砂どしゃが崩くずれてきました。そのあとすぐ消防しょうぼうに通報つうほうしましたが、道みちが寸断すんだんされて、来くることができず、近ちかくにいる人ひとたちで救出きゅうしゅつにあたり、家いえの2階かいの窓まどを屋根やね瓦かわらで割わって中なかに入はいり、三さん女じょを救出きゅうしゅつできました。清一せいいちさん夫婦ふうふが1階かいにいるということで、階段かいだんから下したに向むかって大声おおごえで叫さけびましたが、応答おうとうはありませんでした」と話はなしていました。

清一せいいちさんの人柄ひとがらについて、小崎おざきさんは「穏おだやかで物腰ものごしの柔やわらかい方ほうでした。夫婦ふうふで仲なかよく近所きんじょを散歩さんぽしていて、寡黙かもくでしたがあいさつは欠かかさない人ひとでした」と話はなしていました。

また、峰子みねこさんについては「明あかるくて穏おだやかで笑顔えがおもすてきでとてもやさしい方ほうでした。私わたしが栽培さいばいしたみかんをおすそわけに行いくと、いつも丁寧ていねいにお礼おれいをいいに来きてくれました」と話はなしていました。