うがい薬やく 官房かんぼう長官ちょうかんは検証けんしょう注視ちゅうし 専門せんもん家か「防御ぼうぎょ力りょく落おちる可能かのう性せい」

菅かん官房かんぼう長官ちょうかん「重症じゅうしょう化かの予防よぼう効果こうかを検証けんしょうの研究けんきゅうを注視ちゅうし」

殺菌さっきん効果こうかのあるうがい薬やくでうがいをすると、新型しんがたコロナウイルスが減へったとする研究けんきゅう結果けっかを大阪おおさか府ふが発表はっぴょうしたことについて、菅かん官房かんぼう長官ちょうかんは、今後こんご行おこなわれる予定よていの重症じゅうしょう化かの予防よぼう効果こうかを検証けんしょうするための研究けんきゅうを、注視ちゅうししていく考かんがえを示しめしました。

大阪おおさか府ふの吉村よしむら知事ちじは、4日にち、宿泊しゅくはく施設しせつで療養りょうよう中ちゅうの軽症けいしょうや無む症状しょうじょうの患者かんじゃが、殺菌さっきん効果こうかのあるポビドンヨードが含ふくまれたうがい薬やくでうがいをしたところ、新型しんがたコロナウイルスが減へったとする研究けんきゅう結果けっかを発表はっぴょうしました。

菅かん官房かんぼう長官ちょうかんは、5日にち午前ごぜんの記者きしゃ会見かいけんで「今後こんご、宿泊しゅくはく療養りょうよう施設しせつの臨床りんしょう研究けんきゅうを拡大かくだいし、有効ゆうこう性せいや安全あんぜん性せいを含ふくむ、重症じゅうしょう化かの予防よぼう効果こうかの検証けんしょう研究けんきゅうを行おこなっていく旨むねの発表はっぴょうがあったと承知しょうちしている」と述のべました。

そのうえで、今後こんご行おこなわれる予定よていの重症じゅうしょう化かの予防よぼう効果こうかを検証けんしょうするための研究けんきゅうを、政府せいふとしても、注視ちゅうししていく考かんがえを示しめしました。

専門せんもん家か「かえって防御ぼうぎょ力りょくが落おちてしまう可能かのう性せいも」

うがいとかぜの関係かんけいについて詳くわしい京都きょうと大学だいがくの川村かわむら孝たかし名誉めいよ教授きょうじゅによりますと、ポビドンヨードのうがい薬くすりで重症じゅうしょう化かを防ふせぐことができるかどうかについて、「うがい薬やくを使つかえば口くちの中なかのウイルスが減へるのは当然とうぜんの結果けっかだが、ウイルスは鼻はなやのど、それに肺はいに届とどくと速すみやかに細胞さいぼうに入はいっていってしまうため、あとからうがいして意味いみがあるかについては今いまのところ分わかっていない。一方いっぽうで、ポビドンヨードは、ウイルスだけではなく、もともと口くちの中なかにいる細菌さいきんを根ねこそぎ絶たやしてしまいかえって防御ぼうぎょ力りょくが落おちてしまう可能かのう性せいもあるのではないか」と指摘してきしました。

川村かわむら名誉めいよ教授きょうじゅたちのグループは以前いぜん、全国ぜんこくのおよそ390人にんを対象たいしょうにうがいとかぜの関係かんけいについて研究けんきゅうを行おこなった結果けっか、毎日まいにち、水みずでうがいをした人ひとは何なにもしない人ひとに比くらべてかぜにかかった人ひとがおよそ40％減へったということです。

一方いっぽうで、ポビドンヨードのうがい薬くすりでうがいをしていた人ひとではかぜにかかる人ひとは減へらなかったということです。

また、うがい薬やくで感染かんせんの拡大かくだいを防ふせぐことができるかについて、川村かわむら名誉めいよ教授きょうじゅは「口くちの中なかにウイルスがあれば飛ひまつを通をとおしてほかの人ひとに感染かんせんをさせるおそれはある。感染かんせんを防ふせぐという観点かんてんからは、効果こうかがあるかを研究けんきゅうする価値かちは十分じゅうぶんにあると思おもう。ただ、ウイルスが感染かんせんする仕組しくみは複雑ふくざつで効果こうかの検証けんしょうには大だい規模きぼな研究けんきゅうが必要ひつようになってくるため、結果けっかを利用りようする際さいには慎重しんちょうな判断はんだんが必要ひつようだ」と話はなしました。

厚あつ労ろう省しょう「国くにとして推奨すいしょうする段階だんかいではない」

厚生こうせい労働ろうどう省しょうの担当たんとう者しゃは、野党やとう側がわが国会こっかい内ないで開ひらいた会合かいごうで「一般いっぱん論ろんとして、消毒しょうどく薬やくを使つかったうがいはウイルスを消失しょうしつする効果こうかがあると指摘してきされ、手洗てあらいとともに感染かんせん症しょうの予防よぼうには有効ゆうこうだ。今後こんご、研究けんきゅうが拡大かくだいされ、より確たしかな証拠しょうこが出でることを期待きたいしているが、国くにとして推奨すいしょうする段階だんかいではなく、現時点げんじてんで効果こうかがあるというのは時期じき尚早しょうそうじゃないかと思おもう。『コロナウイルスに効きく』と推奨すいしょうするには、ある程度あるていどの科学かがく的てき根拠こんきょを出ださないといけない」と説明せつめいしました。

医師いし会かい「エビデンスが不足ふそくしている」

日本にっぽん医師いし会かいの中川なかがわ会長かいちょうは、記者きしゃ会見かいけんで「大阪おおさか府知事ふちじの発言はつげんは現時点げんじてんではエビデンス＝根拠こんきょが不足ふそくしていると考かんがえている。発信はっしん力りょくの強つよい方ほうが発言はつげんをすると、店頭てんとうから薬くすりが消きえてしまうということが起おこる。国民こくみんに極力きょくりょく混乱こんらんがないよう慎重しんちょうに対応たいおうすべきだ。医師いし会かいとしても効果こうかを検証けんしょうしたい」と述のべました。

政府せいふ分科ぶんか会かい 尾身おみ会長かいちょう「検証けんしょうしてから判断はんだんしたい」

政府せいふの分科ぶんか会かいの尾身おみ茂しげる会長かいちょうは「分科ぶんか会かいとしてうがい薬くすりが良よいか悪わるいか判断はんだんするには情報じょうほうが少すくなく、もう少もうすこし検証けんしょうしてから判断はんだんしたい」と述のべました。

大阪おおさか府ふ「本格ほんかく的てき研究けんきゅう進すすめる」

大阪おおさか府ふは、殺菌さっきん効果こうかのあるうがい薬やくでうがいをすると唾液だえきのなかの新型しんがたコロナウイルスが減へり、人ひとにうつしにくくなる可能かのう性せいがあるとして、本格ほんかく的てきな研究けんきゅうを進すすめることを明あきらかにしました。

大阪おおさか府ふの吉村よしむら知事ちじは、4日にちの記者きしゃ会見かいけんで「うそみたいなほんとの話はなしをするが、うがい薬やくでうがいをすると新型しんがたコロナウイルスの陽性ようせい者しゃが減へっていくのではないかという研究けんきゅう結果けっかが出でた」と述のべました。

それによりますと、ことし6月つきから先月せんげつにかけて宿泊しゅくはく施設しせつで療養りょうようしていた軽症けいしょうや無む症状しょうじょうの患者かんじゃ、40人にん余あまりを対象たいしょうに、殺菌さっきん効果こうかのあるポビドンヨードが含ふくまれたうがい薬やくで、1日にちに4回かい、うがいをしてもらったところ、そのほかの患者かんじゃよりも唾液だえきの中なかのウイルスが減へったということです。

具体ぐたい的てきには、うがいをした患者かんじゃは4日にち目めに唾液だえきのPCR検査けんさの陽性ようせい率りつが9％ほどになったのに対にたいし、うがいをしなかった患者かんじゃは陽性ようせい率りつが40％だったということです。

このため大阪おおさか府ふは、軽症けいしょうや無む症状しょうじょうの患者かんじゃを対象たいしょうに千せん人にん規模きぼの研究けんきゅうを進すすめ、うがいの効果こうかを検証けんしょうしたいとしています。

担当たんとうする「大阪おおさか府立ふりつ病院びょういん機構きこう大阪おおさかはびきの医療いりょうセンター」の松山まつやま晃あきら文ぶん次世代じせだい創そう薬やく創そう生せいセンター長ちょうは「唾液だえきのウイルスを減へらすことで、家庭かていでの身近みぢかな人ひとどうしの感染かんせんなどを減へらす効果こうかがあるのではないかと期待きたいしている。数かず十じゅう例れいや数すう百ひゃく例れいでははっきりとは言いえないので、大だい規模きぼな研究けんきゅうで確たしかめたい」と話はなしました。

一方いっぽうで、松山まつやまセンター長ちょうは、記者きしゃ団だんに対にたいし「うがいをしたあと、1時間じかん程度ていどでウイルスの量りょうが再ふたたび増ふえるケースもある。うがい薬やくを使つかって何なん回かいもうがいをすると喉のどを痛いためる可能かのう性せいもあるので、注意ちゅういが必要ひつようだ」と述のべました。

吉村よしむら知事ちじ「予防よぼう効果こうかがあるとはひと言ひとことも言いっていない」

吉村よしむら知事ちじは5日にちの定例ていれいの記者きしゃ会見かいけんで、軽症けいしょうや無む症状しょうじょうの患者かんじゃにうがいをしてもらったところ、そのほかの患者かんじゃよりも唾液だえきの中なかのウイルスが減へったという研究けんきゅう結果けっかを改あらためて説明せつめいしたうえで、うがい液えきを使つかうことで、唾液だえきを介かいしての感染かんせん拡大かくだいなどの防止ぼうしに寄与きよする可能かのう性せいがあるとして、引き続ひきつづき研究けんきゅうを進すすめる考かんがえを重かさねて示しめしました。

一方いっぽう、吉村よしむら知事ちじはうがい薬やくについて、「誤解ごかいされてはいけないことだが、うがいをすることで、体内たいないに広ひろがっているウイルスを抑おさえたり、予防よぼうできたりするわけではなく治療ちりょう薬やくでもない。感染かんせんを防ふせぐ効果こうかが認みとめられたわけでもない」と述のべました。

そのうえで、使用しようする際さいには医師いしの指示しじや製品せいひんの使用しよう上じょうの注意ちゅういを守まもるとともに、買い占かいしめや転売てんばいはやめるよう呼よびかけました。

また吉村よしむら知事ちじは、記者きしゃ団だんが、各地かくちでうがい薬やくの買い占かいしめが起おきていることについて、4日にちの知事ちじの発言はつげんが誤解ごかいを招まねいたのではないかなどと質問しつもんしたのに対にたいし、「予防よぼう効果こうかがあるとは、ひと言ひとことも言いっていない。ぼくが感かんじたことをしゃべり、『それは間違まちがいだ』と言いわれたら、ぼく自身じしん、言いいたいことが言いえなくなる」と述のべました。

うがい薬やくの品切しなぎれ相次あいつぐ

ドラッグストアなどでは該当がいとうするうがい薬やくの品切しなぎれが相次あいついでいます。

このうち、大阪おおさか市内しないにあるドラッグストアでは、4日にちの記者きしゃ会見かいけんの直後ちょくごから売り場うりばに人ひとだかりができて、用意よういしてあったうがい薬やくがすぐに売り切うりきれたということです。

店みせの担当たんとう者しゃによると、4日にちは閉店へいてん時間じかんまで客きゃくからうがい薬やくの在庫ざいこや入荷にゅうか時期じきについての問い合といあわせが相次あいついだということです。

またSNS上じょうでも「ホームセンターに行いったらうがい薬やくの棚たなが空そらだった」とか、「ふだん使つかっているうがい薬やくが売り切うりきれて困こまる」といった書き込かきこみも見みられました。

うがい薬やくの高値たかね転売てんばいケース相次あいつぐ

大阪おおさか府ふの吉村よしむら知事ちじが4日にち、本格ほんかく的てきな研究けんきゅうを進すすめると明あきらかにしたことを受うけて、インターネット上じょうではうがい薬くすりが高値たかねで転売てんばいされるケースが相次あいついでいます。

「ポビドンヨード」が含ふくまれたうがい薬やくは医薬品いやくひんで、許可きょかをうけた業者ぎょうしゃしか扱あつかえません。

5日にちの午後ごご3時じ現在げんざい、フリーマーケットアプリなどには「ポビドンヨード」が含ふくまれていない、指定してい医薬いやく部外ぶがい品ひんの複数ふくすうのメーカーのうがい薬くすりが出品しゅっぴんされています。

これらの多おおくの商品しょうひんの価格かかくは1本ほん1000円えん前後ぜんごですが、2000円えんに近ちかい価格かかくで転売てんばいされているものもあります。

また、オークションサイトでは1本ほん5000円えんと、かなりの高値たかねで取り引とりひきされているものも見みられます。

ただし、厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと、「ポビドンヨード」を含ふくまないうがい薬やくについても、殺菌さっきん効果こうかをうたい、かつアルコールを含ふくんでいる場合ばあいは、転売てんばいすると法律ほうりつに違反いはんする可能かのう性せいがあるとしています。

ポビドンヨード含ふくむうがい薬やく 転売てんばいは許可きょか受うけた業者ぎょうしゃに限かぎる

厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと、「ポビドンヨード」が含ふくまれるうがい薬やくは医薬品いやくひんに該当がいとうするため薬局やっきょくか、許可きょかを受うけた業者ぎょうしゃでなければ販売はんばいできません。

転売てんばいなどを行おこなうと医薬品いやくひん医療いりょう機器きき法ほう違反いはんに問とわれ、3年ねん以下いかの懲役ちょうえきまたは300万まん円えん以下いかの罰金ばっきんが科かされます。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは4日にち、「ポビドンヨードを含ふくむうがい薬やくが、フリマサイトで転売てんばいされている」という情報じょうほう提供ていきょうを受うけて、複数ふくすうの事業じぎょう者しゃに削除さくじょを要請ようせいしたということです。

また、ポビドンヨードを含ふくまないうがい薬やくについても、消毒しょうどく効果こうかをうたい、かつアルコールを含ふくんでいる場合ばあいは、転売てんばいすると法律ほうりつに違反いはんするおそれがあります。

新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいで一時いちじ的てきに転売てんばいが禁止きんしされている「アルコール消毒しょうどく製品せいひん」に該当がいとうする可能かのう性せいがあるためで、違反いはんが認みとめられると1年ねん以下いかの懲役ちょうえきまたは100万まん円えん以下いかの罰金ばっきんが科かされることになります。

オークションサイト運営うんえい各社かくしゃの対応たいおうは…

うがい薬やくの不適切ふてきせつな転売てんばいを防ふせぐため、「メルカリ」や「ヤフー」などフリマアプリやオークションサイトを運営うんえいする各社かくしゃは、削除さくじょや利用りよう停止ていしの対応たいおうをとると発表はっぴょうしました。

このうち、フリマアプリ大手おおての「メルカリ」は、ポビドンヨードの成分せいぶんを含ふくむ医薬品いやくひんのうがい薬くすりの出品しゅっぴんを、もともと禁止きんししているため、出品しゅっぴんが分わかった場合ばあいには削除さくじょするほか、医薬品いやくひんではないうがい薬やくも高値たかねでの出品しゅっぴんは不適切ふてきせつな行為こういと判断はんだんし、削除さくじょや利用りよう停止ていしの対応たいおうをとると発表はっぴょうしました。

また、楽天らくてんが運営うんえいするフリマアプリの「ラクマ」は、医薬品いやくひんのうがい薬くすりだけでなく、「消毒しょうどく」や「殺菌さっきん」などの効果こうかをうたう医薬品いやくひんではないうがい薬やくやスプレーの出品しゅっぴんも禁止きんしし、出品しゅっぴんが分わかった場合ばあいは削除さくじょや利用りよう停止ていしの対応たいおうをとると発表はっぴょうしました。

オークションサイトを運営うんえいする「ヤフー」も、「ポビドンヨード」の成分せいぶんを含ふくむ医薬品いやくひんのうがい薬くすりの出品しゅっぴんが見みつかりしだい、直ただちに削除さくじょするほか、医薬品いやくひん以外いがいのうがい薬やくも、高値たかねと判断はんだんした場合ばあいは削除さくじょなどの対応たいおうをとると発表はっぴょうしました。

医薬品いやくひんであるうがい薬やくの転売てんばいは違法いほうのおそれがありますが、削除さくじょする措置そちが追おいついていないケースもあり、各社かくしゃは改あらためて出品しゅっぴんをしないよう呼よびかけています。

消費しょうひ者しゃ庁ちょうも注意ちゅういを呼よびかけ

うがい薬やくが各地かくちで売り切うりきれ、高額こうがく転売てんばいされていることについて消費しょうひ者しゃ庁ちょうは、医薬品いやくひんの場合ばあいは転売てんばいすると違法いほうになるおそれもあるとして注意ちゅういを呼よびかけています。

消費しょうひ者しゃ庁ちょうの伊藤いとう明子あきこ長官ちょうかんは、5日にちの定例ていれい会見かいけんで「必要ひつようなものが、必要ひつようとする人ひとに届とどくことが大事だいじなので、不要ふような買い占かいしめはやめてほしい。転売てんばいについては、医薬品いやくひんに指定していされているうがい薬やくを転売てんばいすると個人こじんであっても法律ほうりつ違反いはんとなるおそれがある。十分じゅうぶん注意ちゅういしてもらいたい」と述のべました。

消費しょうひ者しゃ庁ちょうによりますと、うがい薬やくには「医薬品いやくひん」にあたるものや「指定してい医薬いやく部外ぶがい品ひん」のものなどがありますが、医薬品いやくひんの場合ばあいは許可きょかを受うけた業者ぎょうしゃでなければ販売はんばいすることができないということです。

さらに、伊藤いとう長官ちょうかんは「うがい薬やくを使用しようする際さいには、用法ようほう用量ようりょうを確認かくにんして、過敏かびん症しょうの方ほうは控ひかえるなど適切てきせつに使つかってほしい」と述のべ、冷静れいせいな対応たいおうを呼よびかけました。

専門せんもん家か「真摯しんし（しんし）な姿勢しせいとは言いえない」

大阪おおさか府ふの発表はっぴょうについて、感染かんせん対策たいさくに詳くわしい聖ひじり路ろ加か国際こくさい病院びょういんのＱＩセンター感染かんせん管理かんり室しつの坂本さかもと史ふみ衣ころもマネージャーは「厳きびしい試験しけんを経へたわけではない段階だんかいの研究けんきゅうについて一般いっぱんの人ひとたちに広ひろく発信はっしんする場ばで有効ゆうこう性せいに言及げんきゅうするのは、科学かがく的てきに真摯しんし（しんし）な姿勢しせいとは言いえないのではないか」と指摘してきしています。

有効ゆうこう性せいを確たしかめる際さいの世界せかい的てきな標準ひょうじゅんとなっているのは「ランダム化か比較ひかく試験しけん」という方法ほうほうで、研究けんきゅうの対象たいしょうとなる人ひとたちを無む作為さくいに2つのグループに分わけ、一方いっぽうのグループには新あらたな薬くすりなどの治療ちりょう法ほうを試ためし、もう一方いっぽうのグループには色いろや形かたちが全まったく同おなじ偽にせの薬くすりや偽にせの治療ちりょう法ほうを試ためすなどします。

この試験しけんでは、新あたらしい治療ちりょう法ほうを受うける人ひとたちにも医師いしにも、誰だれがどちらのグループに入はいっているかわからないようにして、「治療ちりょうを受うけた」という心理しんり的てきな効果こうかや医師いしが「治療ちりょうを施ほどこした」という先入せんにゅう観かんによって、結果けっかに影響えいきょうが出でることを防ふせいで評価ひょうかします。

こうして2つのグループで、症状しょうじょうの改善かいぜん度どや死亡しぼう率りつ、生存せいぞん率りつなどにどれくらいの差さがあるのか、第だい三さん者しゃが検証けんしょうすることで、有効ゆうこうかどうか客観きゃっかん的てきに厳きびしく評価ひょうかします。

坂本さかもとマネージャーは「厳きびしく方法ほうほうが定さだめられた研究けんきゅうが複数ふくすう行おこなわれ、それを第三者だいさんしゃが厳密げんみつに解析かいせきするといった試練しれんをくぐり抜くぐりぬけて、初はじめて『有効ゆうこうではないか』という結論けつろんが導みちびかれる」と話はなしています。

また、発表はっぴょうされた研究けんきゅうの科学かがく的てき根拠こんきょのレベルを考かんがえることが重要じゅうようだと指摘してきする専門せんもん家かもいます。

科学かがく的てきな根拠こんきょは信頼しんらい度どによって「エビデンスレベル」と呼よばれ、治験ちけんなどに詳くわしい日本にっぽん医科いか大学だいがく武蔵むさし小杉こすぎ病院びょういんの勝俣かつまた範之のりゆき教授きょうじゅによりますと、5段階だんかいに分わけられるとしています。

このうち、最もっとも高たかい「レベル1」と位置いちづけられるのは、治験ちけんなど、「参加さんかする患者かんじゃ数すうの多おおいランダム化か比較ひかく試験しけん」で証明しょうめいされた治療ちりょう法ほうで、続つづいて、「患者かんじゃ数すうの少すくないランダム化か比較ひかく試験しけん」で証明しょうめいされた治療ちりょう法ほうがレベル2とされています。

そして、「レベル3」が比較ひかく対照たいしょうのない臨床りんしょう試験しけんで出だされた結果けっか、「レベル4」が2例れい以上いじょうの観察かんさつ研究けんきゅうや事例じれいの報告ほうこくで、「患者かんじゃの体験たいけん談だんや医師いしの治療ちりょう経験けいけん、動物どうぶつ実験じっけんなどの基礎きそ研究けんきゅう」は治療ちりょう法ほうの科学かがく的てき根拠こんきょとしては最もっとも低ひくい「レベル5」と位置いちづけられます。

勝俣かつまた教授きょうじゅによりますと、新型しんがたコロナウイルスの治療ちりょう法ほうなどのエビデンスレベルは、「レムデシビル」や「デキサメタゾン」は治験ちけんの結果けっかを受うけて、厚生こうせい労働ろうどう省しょうに承認しょうにんされているため最もっとも高たかい「レベル1」となる一方いっぽう、うがい薬やくの研究けんきゅう結果けっかは、観察かんさつ研究けんきゅうとして行おこなわれたため、現時点げんじてんでは「レベル3」から「レベル4」に分類ぶんるいされるとしています。

勝俣かつまた教授きょうじゅは、「治療ちりょう法ほうの有効ゆうこう性せいについて発表はっぴょうが行おこなわれるとき、どれくらい信頼しんらいできる根拠こんきょに基もとづいているか、情報じょうほうを伝つたえる側がわも受け取うけとる側がわも意識いしきする必要ひつようがある」と指摘してきしています。